黒サメ号
50話 黒サメ号
馬車は馬とカウカウのルルごと町のはずれにある牧場にあずけ、例の雑貨屋へ。
「港から出るのではないのねヴィルヘルム」
「はい、海賊船ですから」
ヴィルヘルムはレオ姫の着替えやら入ったカバンを両手に。それでも無理だったのでセンにも持たせ。
いったい何が入ってるんだ。着替えだけなのか?
それミシェールの「なんでも袋」に入るのでは。
そう言ったが、お姫様のプライドか、なんだか、知らないが自分の衣類を得たいの知れない魔法グッズに入れるのをはいやだと拒否。
袋があるからか、ミシェールは相変わらず手ぶらだ。
ミンも大きなリュックに傘やら何やら。
グッピーやティアーナも相変わらず武器の槍と剣さえあればな荷物は小さな布袋だけ。
オレ同様航海は初めてのルルとアニタの姉妹は最低限の衣類の着替えを。オレも似たような物だ。違うのはいつも背にしている美人像だけだ。
こいつを手にいれたから、この航海に出るのだが。
湖や川を渡る舟は何度か乗ったが。
そうだ、海の水が塩からいというのもまだ経験してない。
アイリーンの船マーマレース号は、ちょっとした海賊船よりはやや大きいらしい。
他に海賊船を見たことがないので比べようがないが。
部屋は女性は部屋を一つ。男たちは、他の水夫たちと一緒の寝床だけの船室だ。
予定だと三日もかからないと。野宿と、どっちがましやら。
しかし、それほど遠くもない島国へ行くのが、なぜ困難なのか。
「見て、ロラン。あそこから先、海の色が違う」
あのカーテンの近くまで来た頃。
「船長! 南の方角に船が」
「なにっ」
船長アイリーンが使いなれてるのと。
船員を集めたのが西方だということもあり、船内では西方語が使われていた。
「あれは黒サメ号だ」
アイリーンは、古くから伝わる技術で作られた望遠鏡を覗いた。たまに遺跡から出る高価な物だ。
「黒サメ号? なんなんだ」
「敵だ、商売がたきだ」
「あっちも海賊か?!」
「そうだ、一線交えるかもしれん覚悟はしとけ」
「戦えるのか、わくわくする」
「ティアーナ、先に手を出すなよ」
「頼もしいな……おまえの仲間は」
アイリーンは半分バカにした笑みをうかべて言った。
黒サメとかいう船が近づき、見るからに悪そうなあごヒゲの男が船頭に立った。
「久しぶりだな、アイリーン!」
「オーク、相変わらず汚い船だな」
「これでも洗ったばかりだ!」
そばに居た水夫が教えてくれた。
奴は黒サメ号の船長のオーク・デボと。海賊の中でも評判が悪い奴らしい。
「妙な航路通ってんじゃねーか。何処へ行くつもりだ!」
「おまえには関係ない!」
「まさか、カーテン越える気か? おめぇがあっちでお宝手に入れて帰って来た話はよく聞くが、ホントにあっちに行ったのか?」
「あっちのお宝が欲しいのなら自分で行ってとってきな!」
「アイリーン、おめぇだけが知ってるルートがあるそうだな」
「そんなもの、あるか。あってもおまえだけには、おしえないよ!」
「知ってんのか、おいコラッ」
「知らないよ」
「お宝ルート、おしえてもらおう」
「だから、知らないと」
「おめぇ捕まえて裸にして吊るし、はかせてやる!」
なんだか、一方的な奴だ。
「船を着けろ!」
やっぱりやる気だ。
つづく




