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ホラ吹きマスター

47話 ホラ吹きマスター


「さすがに会わせてはくれなかったなー」

「だろうな。今日あったばかりの人間だしな」

「が、あのマスター。けっこうなホラ吹きだって言うぜ。どこまで信用できるやら」

「あの向こうから来た人間の話も……」


「実はそういう話を私も聞いたことあります。向こうから来た人間は、やはり東方の顔だけど、こちらとは思想や宗教が違うと。まったく行き来出来ない場所ではないって事ですかね」


「だよな、向こうのコトを伝えたヤツがいるんだから、行けない所ではない。だなセン」


「そうですね」


「違う思想、宗教ねぇ。まあ違う国なんだから、当たり前だろ。女神様だってこっちとは違うだろーな」

「ホントに居るかな女神マコーナ」


 夕食の後、皆がオレやグッピーの部屋に集まった。


そして、酒場での話をした。あの店を出た後は何も収穫はなかった。

 しかし、ヴィルヘルムは。


「おもしろい話を聞きました。裏水夫に少しばかり握らせたら、情報が」


「裏水夫?!」


「正規の雇われ水夫ではない、罪人や外国人等です。まあまともな連中ではないのですが。今、町から離れた岩壁に海賊船が来てるそうです」


「海賊船……で?」


「海賊なら、別に決まった航路も関係なく海を行き来します。彼らに頼めば向こうへ航れるかもしれません」


「なるほど。海賊かぁ……どうやって頼む」


「その海賊船の水夫を見つけましょう。迂闊には海賊船には近寄れません。ヘタをすれば……」


「その海賊は強いのか、ならあたいが」


「まあ戦えば、どうか。奴らと敵対してはいけません。有効的に事を進めるんです。船を乗っ取っても。素人の私たちだけでは海を航れません」


「つまらん、海賊と戦えないのか」


「そうか。ヴィルヘルム、なんかあてはあるのか」


「特にありませんが、裏水夫の男が海賊が集まる店があると」


 翌日、来たのは昨日の店じゃないか。

 昨日、店に海賊が居たのか?


「よお、昨日のボーズ。なんだ今日はまた違った連れだな」


「オレの『宝探師』の仲間だ」

「ヴィルヘルムと言いますよろしく。この店で美味い酒が飲めると聞きまして」

「ま、こういうじーさんだが、ウデはイイ。昨日のアレ頼む」


「ありがとさん!」


 マスターはコップを三つカウンターに置いた。


「マスター、オレは酒は飲まない」


「そーいや昨日飲んでなかったな。じゃ何する」


「カウソーダあるか?」


「カウソーダ。子供の飲み物だな」


「マスター、こいつまだ……」


「酒は好きじゃないだけだ」


「まあいい。こっちは金さえ払えば何でも出す」


「それじゃ、こいつで昨日言ってた向こうから来たっていう人間に会わせてくれないか」


 オレはカウンターにレオの耳飾りを置いた。


「コレは……高価な品だな。ボーズが『宝探師』というのはウソではないらしいな……」


 マスターは昨日と同じように顔を近づけ小声で言った。


「あはは、気に入ったぜボーズ。実はな昨日のアレはホラだ」

「おっさんマジかよ」


「が、向こうに行って帰ってきたヤツを知ってる」

「そいつは本当なのか」

「ああ、こいつと引き換えなら教えてやる」

「本当なら」

「本当だヤツは海賊だ」

「海賊だって……」


 オレはヴィルヘルムの顔を見た。

 彼はうなずいた。


「マスター、海賊に知り合いが居るのか」


 マスターは耳飾りの宝石を確かめるように見てポケットにしまった。

 そしてニヤリとして。


「店の一番奥のテーブルで、ボーズと同じカウソーダ飲んでるメガネの娘が居るだろう」


 見ると頭に布を巻いたようなかぶり物したメガネをかけたオレくらいの女が白い飲み物飲んでる。って、アレは海賊じゃないだろう?


「なんだ、あの娘は、この店に似つかわしくないなー」


「まあアレはな、でもアレは海賊船の船長の相棒だ」


「相棒?! あの娘が船長の……愛人の間違いだろマスター」

「愛人にしちゃん若くないかグッピー」

「愛人に歳なんて関係ねーよ」


「あのなぁ間違いじゃねぇよ。オイッ!ハル。

あんたにお客だ」


「お客だぁ、娼婦じゃねーだろうな」

「あんた、そんなことコト言ったら殺されるぞ」


 奥の女が、こっちに来た。


「マスター、お客?」


 お、西方語だ、これなら話しやすい。


「なんだか、ハルと話したいそうだ」


「アンタたち、私を商売女と間違えてるの」

「違います。お嬢さん、あなたをその……船乗りと、このご主人に、お聞きしたものですから」


 初対面の人間はヴィルヘルムにまかせよう。


「はじめまして。わたくし、さるお嬢様の執事をしておりますヴィルヘルムと申します」


「お嬢様の執事……が、わたしになんのようですか?」


「執事? 宝探師じゃないのか」


「マスター。それは裏の仕事なんだ」


 と、オレはヘタな言い訳をした。


「私どもは、船に乗りたくてお願いしたく、貴方様に」

「船なら民間の船がいくらでもあるよね。お嬢様ならお金をつめば何処へでも」


「いやそれが、行き先が先なものですから、どこの船も」

「何処にいくの、南の極地でも行くの?」

「実は東の極地へ」

「はあぁそういうことね。で、わたしに。でも、ソレはわたしに頼むコトではないわ」


               つづく



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