グール再び
36話 グール再び
食事の時ティアーナはオレの隣に。
いつもは反対側の隣に居るグッピーの隣だ。
グッピーが、横から小声で。
「ロラン、あのプレゼント。かなり効いたな。おまえがティアに気があったとは……ムヒヒヒヒ」
「違う、誤解があったんだ。変な笑い方するな」
そうだ。誤解だ、メイドのアンといい、なんでか妙な誤解が続く。
食事の後。
「ロラン、ちょっと」
ミシェールに呼ばれた。
三階のミシェールの部屋。
オレたちは二階だが、外がよく見える所と上の階の部屋を選んだミシェールだ。
窓を開けた。
「今朝アレを見た」
「アレ?」
「グール……」
「奴らがココまで……」
「どうするの」
「出るか、この町を」
「私はどちらでもいいけど。あの高い塀は使える」
「村と違い、あの壁で奴らの侵入を防ぐのか」
ミシェールはうなずいた。
「その像は、渡す気ないのでしょ。まあ渡してはダメなんだけど」
「奴らの狙いは、像なんだよな。オレがこいつを持って出ていけば……」
「もう遅い。見て」
壁の向こうに巻き上がる砂埃の波が見えた。
町の壁の上。
町の警備をする役人が。
『アレは?!』
『グールという怪物の群れだと』
『怪物?! あんなのこちらには居ないが、ゴブリンや小鬼の類か?』
『まあそんなトコです』
ヴィルヘルムに、通訳を頼み門の警備兵にグールの出現を知らせた。
「来た、来た。久々に見るぜ」
「奴らまるで、あたしらを追って現れたみたいね」
わるいなルル、そうなんだ。
「アレが話しに聞いたグールですか、サルの身体に獅子の頭……」
「私の初陣の相手はバケモノか……」
「お嬢様は、わたくしの後方に」
「おい、あの後ろのデカいのなんだ?! わかるかロラン」
「森で勇者マット・ボンダーが倒したのよりデカい」
今度は、群れにデカいのが。
「ロラン、手伝って!」
「なんだソレはアニタ」
アニタとミンが、筒にオケを付けたような変な物を持ってきた。
『すみません。皆さんこのカゴに小石を集めてくれます』
『わかった。おい石を集めろ!』
『いったい、ナニが始まるんだい?』
『西から怪物が来るんだと』
「昨日から徹夜で作ったんだよロラン」
「ミンがか……コレは?」
「そこへ置いて。まだ、外での試し撃ちはしてないんだ、うまく飛ぶかな……ココに小石を入れて、このハンドルを回すと」
おお、筒から連続して小石が飛び出した。
「昨日の石礫を見て、有り合わせの物で作って見ました。弩より、簡単に撃てます」
なんだか凄い物を作ったな。
コレが有れば石礫の練習いらないなぁ。
しかしデカいな。とっさには使えない。
『おお、来たぞ! 弓を』
警備兵が一斉に弓を放った。
兵隊と違い矢の嵐の中を怯むことなく奴らは進む。
壁までたどり着くと、登りはじめた。
ミンの石礫機械で壁の下を撃った。壁に登ろうとした奴を何匹か落とした。
「あれ、動かない石がつまったかな」
壁を登って来た奴は、斬る。
「群れが多い! ミシェール」
冷たい風が、ミシェールが例の魔法を!
壁の下に白い風が巻き上がった、壁から次々に落ちていくグール。
門の前で倒れるグール。
グワァラァガアア
なに、巨大な一匹は、体に穴が出来ながらも壁に張りつき登りはじめた。
壁の上に血だらけの醜怪で巨大な顔を出した。
「ヒイャアーハ!」
その顔をティアーナが双剣で斬り先、ティアーナの肩を踏み台にグッピーが頭に乗り槍を脳天に。
グギッ
「固え頭だ」
「あたしは強い!」
巨大グールの肩に乗ったティアーナは首を斬った。
オレは、反対側の肩に乗り逆の側の首を。
頭から首の後ろに降りたグッピーは後頭部を刺した。
「よし、直った!」
ミンが石礫機械を巨大グールの顔面に撃ちまくった。
ウンガァア
「とどめ!」
「お嬢様!」
レオ姫が飛礫をくらい上がったアゴの下へ入り首を斬り裂いた。
大量の血飛沫あがった。
「ひっ!」
巨大グールは壁から落ちた。下のグールたちは下敷きだ。
門を開け、警備兵たちと残ったグールを始末した。
何匹かは、土に潜り込み逃げたが、終わった。
壁のおかげで平民たちには被害はなかった。
「ミシェール、ここを出る!」
「そうね」
「しかし、奴らはこの像を手に入れてどうするんだ」
「どうするか、わからない。が、奴らは魔女の復活を願ってる」
「魔女。グールは魔女の使い魔と聞いたが……コレはやはり魔女の像なのか」
「そう」
「しかし、あの連中がこの像を手に入れて、どうやって魔女を復活させるんだ?」
「私にはわからない。とにかくソレを奴らの手には渡せない」
つづく




