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インアルの町

33話 インアルの町


「ん……あれは」

「わかるのかアニタ」


 アニタが走り寄った、知り合いか?


「おや、あれは」


「ヴィルヘルム、見えるのか?」


「あれは……あの少女」


「少女?」


 少女って、誰だ。あのアニタを助けた。


「アニタが、人影に」


「おや、あれは。なんでだ? ありえねー」


「グッピー誰だ?」


「わかんねーのロラン? おまえ、目はイマイチだな。アレはあの子だ」


「あの子って、誰だ? あ、アレはミン?」


「だよな、西に行ったよなーあの子」


 そうだ、西に向かったミンが南から帰ってきた。

 どういうコトだ?


 アニタと手をつないで帰ってきたミンに、事情を聞いた。


「わかりません。西を目指してたんですけど、いつの間に……」

「そうなのか、遺跡とやらが見つからないわけだ」

「なんです、その笑顔は?」


「ロランは、あんたが無事に戻って嬉しいのさ。な、ロラン」


「別に戻ったつもりはありませんけど……」


「ロラン、ミンのこと心配してたアニタもだよミン」

「そうですか縁もゆかりも無い私を……」


「ミン、あんた方向音痴なんじゃ」

「方向音痴……まあ町中でよく道を間違える程度ですが」

「そういうのが、そうだ。とくに、荒れ地で場所とかを示すものが何も無い。町中の方がましだ」

「あなた方は、この荒れ地や砂漠で迷わずに来れたのは?」

「陽を見て来た。太陽が上がった方が、東だ」


「目が冷めたら太陽が上がってて、何処から上がったかわからないとか、なかったのですか?」

「オレは早起きなんだ」


「ウソつけ、あんたいつも昼まで寝てたでしょ」


「いつの話だルル。ソレはウチで寝ていたからだ」


「あの、実は……。馬車の中に羅針盤がありまして、いままで間違えずに来れました」


「そうなの馬車なら。早く手で簡単に持ち歩けるのを作らないとダメねボクは……」


「さすがヴィルヘルムね、いつもルルとしっかり先頭を歩いてたものね。彼と一緒で良かったわ」



 戻ったミン・シーレにミシェールの「なんでも袋」に入ってた金属ゴミを見せた。

 あの穴には錆びたホントにゴミな物しか残ってないと話した。

 ミンは、袋から出した金属ゴミの山を宝の山を見るような目であさった。


「凄い錆びてないバネだ。ギアに使える大小の歯車やネジ。ん、コレはなんだ?」


 あーやっぱり。あの山のダンジョンへ行かなくても良かったんだ。

 ミンが方向音痴で良かった。


 ミン・シーレも加わり町があるという方向に行く。

 大丈夫なのかと、心配したが、しばらく行くと。

 大きな石が。

 石にインアルと彫られ、矢印も。


「ここまで来るとコレがあるから荒地に来れた」


 とか、言ってるが、ここからあとは奇蹟で行けたのでは、いや。オレたちが通ったのが奇蹟だな。


 イイ運を持った奴だ。


「ここから、インアルの町まで半日くらいかな」


 半日どころか、その半分くらいで町が見えた。

 半日迷ってあの石まで行ったのか? ミンは。


 大きな高い壁が目立った町だ。


「ねえ、ミン。インアルって王都?」

「違う、ただの田舎の町よ」

「あの高い壁はナニ?」


「アレは風と砂埃避けよ。まああまり効果ないんだけど、町全体に屋根でも付けないとダメね」


「モンスター避けじゃないのね」

「そんなのは来ない」


 町の入り口には木の扉が。門番らしいのは居ない。


『ミン・シーレです。開けてください!』

 

 ミンは名前を行って門を叩いた。


『ミン・シーレか、よく無事で帰ってきたな』


 壁の上から声がした。


『その連中は?』


『旅の人たちよ。ボクの命の恩人だ』


 扉が開いた。

 門番は壁の上と中に。


『旅人か。何処から来た?』


 門番はオレたちをジロジロ見て、馬車に。


『開けろ』


 ヴィルヘルムが馬車のドアを開けると着飾ったドレス姿のレオが。


『我々は西方から来た。ある高貴なご令嬢のお忍び旅の途中で、周りの者どもはそのお供です』


『なるほど、が子供がおるが?』

『ソレは共の者の子供でして、仕事の修行中で一緒に』

『一家揃って仕事か、大変な家族だな。よし入れ!』


 ヴィルヘルムがうまいこと言ったらしい。


 町に入るとミンの家へ。

 町外れのけっこう大きな屋敷だった。


「コレがミンの家。大きい。アニタの家より倍はある」

「倍どころじゃないわよ」


「あの壁、父が設計して建てた。あと、いろいろ発明もして儲けた財産で建てた家だ」


「それではご両親に、ご挨拶を」

「父も母も亡くなった。荒れ地の遺跡へ行ったきり帰らなかったのです」

「それは申し訳ございません」


「その遺跡は、ミンが行こうとしていた遺跡か?」


「もうだいぶ前ですボクが子供の頃」


 家の入り口のドアが開いて女が二人と男が出てきた。


『お嬢様、よく無事で』

『この人たちに助けられてね。こちらは西方からのお客人だ』

『ありがとうございますお客様方』

『食事の用意とお風呂もお願い』

『かしこまりました。では、すぐに』


 よく見ると二人目の女は若い。親子かな、では三人は家族? 三人はオレたちに頭をさげて家に戻った。


「ウチの住み込みで働いてる、お手伝いさん一家だ、今は彼らだけ、昔は大勢居たけどね。食事とお風呂の用意をさせました」


「ありがたいわ」


 レオがご令嬢姿で馬車から降りた。


「あっちに馬小屋だったとこがあります馬車はそっちに」


 しかし、驚いたミンがこんな大きな家に。

 父親が西方だったこともあり、東方と西方の交じった、町の中でも奇妙なかたちの家だ。

 ココまで来る途中の建物も両方の特長が交ざり合ってたが、この家は特別変わっている。


「久々に屋根のある床で寝れるな。しかもタダだ。金の心配もいらねー」

「グルドン、食事前に一腹減らそう」

「バカか、おまえは。俺の腹は一つだ」

「ホラ、ヤッ!」

「やめろ、俺はやる気ねー」


「また二人、じゃれ始めたねロラン」

「ホントだ、あいつらの方がイイ夫婦になれる。グッピーはミシェールをあきらめた方がイイ。アニタもイイ男見つけろよ」

「もう見つけてる」

「だれだ?」

「ヒミツだ」

「そうか、そいつ離すなよ」

「うん」


 オレは久々に背中の袋から像の頭を出して見つめた。

 綺麗だ。

 キスしたかったが、さすがにここではやめた。


               つづく






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