ミン・シーレ
31話 ミン・シーレ
「ロラン、女の子だよ。大丈夫かな」
「熱射にやられたのでしょう。彼女を馬車の下に。布を濡らして冷やして」
『ああ、お水……』
「この子の顔にかけてるのは、メガネというやつ? アニタ初めて見た」
「そうなのか町で見かけなかったか」
「うん」
「そんなに珍しい物でもない。おい、大丈夫か」
布に湿らせた水を絞って口へ。
『あ……』
荒れ地で倒れていたメガネの少女は、一度気がついたが、その後夕方まで眠ったままだった。
『はつ、ここは?』
「あ、気がついた!」
『あなたがたは?』
『安心しなさい。旅の者です』
『旅人さんですか……あ、ボクのロバは?』
『あなたのそばには何も』
『それよりお茶を、食べ物もありますよ』
「あんた、名前は? わたし、アニタ。あっちはロランで、そのおじいちゃんはヴィルヘルム」
「ミン。ミン・シーレといいます」
「西のことば、わかるの?」
「わかります。ボクの父親は西方の人でしたから。小さい時から両方を習いました」
「そうなんだ。でも、ボクはあまり女の子は使わないよ。あんたは女の子だよね」
「そうなのね。でもなんか響が好きで。そう憶えてしまい。ええボクは女……」
「あんた、どこから来たんだ?」
この子は、混血だと。短い茶色い髪にメガネのレンズで少し大きく見える黒い瞳。どちらかと言うと顔は母親似なんだろう東方系だ。
「インアルという町から……砂漠にあるという遺跡へ」
「遺跡。あんたは『宝探師』なのか?」
「ああ、そういうのとは違います」
「遺跡にカラクリ道具を探しに……でも、カラクリどころか、遺跡さえ見つからず。道に迷い」
「カラクリ道具ってなんだ? ロラン」
「物を動かすのに使う部品よアニタさん」
朝になり回復したミンが、遺跡を探しに行くと。
「ヴィルヘルム、ここいらに遺跡なんかあったか?」
「そのような物は見かけませんでした」
「だよな。ミン、たいして食料も水も持たずに遺跡探しなんて無理だ。やめとけ。それにこの辺は悪い奴も多い」
「でも、ボクは道具が欲しいんです。ボクは町で色んな物を作りました。限界です。そろそろ新しい物が必要なんです」
ミン・シーレは、昨日より顔色もよくなり、見た目より大人なかんじだ。
歳はオレより、ちょっと上かも?
でも、女の子一人こんなトコで遺跡探しは無茶だ。
「ミンが言うカラクリとは、どんな物だ。オレは『宝探師』だ、いろいろ拾った」
「ミン、コレはカラクリか?」
アニタが、カバンから歯車を出した。
ソレを見た、ミンが。
「ちょっと見せて」
「金属製の歯車、珍しい物だわ。コレをドコで?」
「コレはモグラの穴にあったゴミの中から」
「モグラの穴?!」
「あの穴のゴミ山にはこんなのいっぱいあった、コレも」
「ネジとナットだわ、コレがゴミ山に」
「こっちの遺跡にはそういうの珍しいのか」
「ええ、こっちのは木製のが多いせいから古い物はのこらないの」
「そのモグラの穴を教えてくれないかな」
「別にいいけどミン一人じゃ行けないよ。砂漠の向こうだから」
「砂漠の向こうね、ありがとう]
「おい、おまえ頭おかしいんじゃないのか。徒歩で行けるかよ!」
つづく




