風塵のシャン
29話 風塵のシャン
『馬車で、行けるのはここまでだ。ちょっと行けば砦が見える』
「馬車はここまでです」
「ヴィルヘルム、私も行くぞ」
「なりませぬお嬢様。危険です」
「聞けば相手は多勢だそうじゃないか。私もそなたに教えられた剣術を試したいしな」
「いいじゃないが、ヴィルヘルム。レオもココで待ってるよりは……。あんたが守ればいいさ。ソレが出来るのがあんただ」
コンゴ・フーの部屋。
ドン ドン ドン
『大変だ、お頭ぁ』
『うるさい、今はお楽しみ中だベェ』
『ソレが、侵入者を捕まえまして。お頭のことを変態ブタ野郎と』
『なにぃ〜どんな奴だべェ』
『今、ココに』
マー抱えてドアを開けたオヤジ。
ドアを開けたコンゴ・フーの腹にマーが乗っていて。
『やめて!』
シャンは持っていた見張りの槍でコンゴ・フーを刺そうとして止めた。
槍はマーの服を突いていた。
『こんなことだと思ったベェ。アグッ!』
槍を止めたシャンは蹴りをコンゴ・フーにはなった。蹴りは股間に命中。
コンゴ・フーはマーを離した。その瞬間に槍はコンゴ・フーの胸に。
『ウグッ』
コンゴ・フーは股間をおさえて倒れた。
『シャン、来てくれたんだね。ありがとう。怖かったよぉ。このブタ野郎に犯されそうになったんだ。ざまあみろ』
シャンが、助けに来た。マーは倒れたおやじを蹴飛ばした。アニタも。
「この、この、変態オヤジめ!」
『大変だ! お頭が殺ら』
悪党の仲間の男の首が落ちた。凄いシャン、ティアーナみたいだ。
『どうした、頭がなんだって?!』
『ナニが大変なんだ?!』
男の声が聞こえたようだ。
『まずい、奴らはどれくらいマー?!』
『正面から十人くらい、後方からも同じくらいだ、逃げようシャン』
『マー、ここは、大丈夫。あなたたちは、旅芸人の娘を捜して』
『でも、相手は』
『行ってマー!』
アニタとマーは、そこから細い通路を通って建物の後ろの方に。
「あ、マー。あそこは女たちが居るお風呂小屋だ」
『なぁあにアニタ、向こう?!』
アニタたち、小屋に入った。アニタにカバンを返してくれたおばさんに。
この人はアニタと同じ西の人。
「アニタたち、逃げてきた!」
「外が騒がしいのはそういう事かい。ココに居た男たちも出てったよ。こっちにおいで」
『あの高いとこ上がれない?』
『うわぁなんだこの女は』
『つえぇぞ!』
『ひいっ腕が』
『くそっなんてぇ女だ』
『ありえねぇ目をつぶったまま、双剣振り回しやがって、あぶねぇ』
『うがぁ!』
『アレは』
『村に居た盲の女ね、リーホワァ』
『強い、アレはへたな目あきより手強いよ。油断するなタイラ』
『なによ、どけなさい! その女はあたしが斬るわよホホホホ』
『キャホー。見事な双剣使いだこと』
『おまえは旅芸人たちを斬った』
『そおよっ』
バシッシュ
『あら、服だけ。上手く避けたわね』
バッ シュッシュ
『あら、上手く避けるのね、その目ホントに見えないの』
『おい、手を出すなタイラアニィに殺されるぞ』
『あの女は……つえぇ』
『タイラアニィに勝てるヤツなんていねぇよ』
シュバチッツ
『そんなに服が斬られたら、裸になっちゃうわよ。今度は肉を斬るわよホホホホ……えっ!』
『ナニ、タイラアニィの腕が!』
ポトッ
『ヒイィィィあたしの両手がァァァア』
バカなタイラの剣を持った手首を斬り落とすなんて。あの娘バケモノか。
ここなら。
『アニタは、小屋の中に居て、危ないから』
マーは小屋の屋根に上り、なにか始めた。
座り込んで目を閉じて何かつぶやき出した。ソレは聞こえなかった。聞こえてもわかんないだろうけど。
『シャン、助っ人を呼ぶわ』
マーは指を二本立て、胸元でまわして上に上げ叫んだ。
『天よ地よ風よ我は求めたり! 風よ歌え、砂よ舞え!』
何? 空が暗くなってきた。マーは魔法使い?
ゴゴゴゴゴゴ
ハアハア
『なにやってんだ、何十人も居て小娘一人殺れないのかい!』
ゴゴゴゴゴ
『ナニ、この音、うつ』
ズオオオ
『姐御、アレは』
『砂の壁だ!』
『あんな巨大な砂嵐?!』
『こっちに来るぞ!』
ズオォオオォォォ
『うわぁ……目が痛え』
『娘を見失うな斬れ!』
『姐御、砂で何も見えねぇ』
『ウギャー』
『手が斬られた!』
『ヒッ!』
『足がねぇ』
『コレは、砂嵐の中をあの娘は動いてる』
『女がそっちに行ったグガッ!』
この視界じゃ百人居よーがあの娘と同じ、いやあの娘の方が有利だ。とんだ砂嵐だ。
いいぞ、この砂嵐にまぎれてとんずらだ。
『ねえちゃん馬に乗りな』
『ありがとうチャオさん』
ズゴゴゴォー
『急げ、ハァ。おわぁたっ竜巻だ! すげぇ。こいつは砦を直撃するぞハァ あははは連中が竜巻でやられれば世のためだぜ。あははは』
『ナニか動いてる。そっちに行ったぞ!』
『ん、そこか!』
『ウギャー』
『タイラ! うわぁああ』
ズゴオーオオオ
「竜巻だ、これじゃ何もできねー」
「弓なんて使えないわよ!」
「あたしは平気! そばに来た奴を斬るだけ、いつてきまーす」
「建物に避難しましょう。外は危険です。へたをしたら同士討ちもありえますから」
つづく




