剣難の相
26話 剣難の相
『宝探師……?』
『こっちの言葉では違うが。辺境を歩いてた時に聞いた。西方に遺跡から宝級の掘り出し物を見つける連中がいると。そいつらは「盗っ人」とか「宝探師」と呼ばれている』
「宝探師、アニタ宝探師」
『え、アニタは、宝探師なの?』
「宝探師」
『そうみたいだよシャン』
翌日、旅芸人たちが村に布幕を張った。
若い男が剣士を演じ、相手は娘。鮮やかな宮廷の衣装を着て歌う。
楽器を一人で担当する中年男。入り口で見料を取るのは、ごま塩頭の老人。その横でエラそうに椅子に座った中年男は座長か? たった五人の一座だ。
あたしはその幕の外で商売を始めた。
あたしの商売は占い。
あたしは裏導引術士の父から術を習い修行中の身。占いは術の一つ。
今お金になるのはコレくらいなんだけど。
幕の前に折りたたみの台を置き、今日は隣に二人が座ってる。
シャンとは修業の旅の途中で出会った旅仲間。それに砂漠で見つけたアニタ。
娯楽とか、あまりなさそうな辺境の村。旅芸人一行のおかげで人が集まり助かった。
異国の人マーとシャンは、アニタの名前と仕事がわかってくれた。
宿で一晩あかすと、マーは泊まってる人たちと、なんか話をして、村の広場へ。
広場で幕を張る人たち。
屋根がない大きなロランの家みたいだ。
この人たちは、キレイな服着て歌や踊りをはじめた。
そうか、この人たちは芸を見せる人たちなのね。
マーたちは幕の外に台を出してナニか始めた。
村人が芸を見に集まって来た。
コマゴマとした物を転がしたりなんかして、マーは前に立ったお兄さんになんか言ってる。
『あんた、ちかいうちに何かめでたいことあるでしょう』
『おう、あたりだ』
『でも、悪いことが……』
『ああ? なんだって』
『あんた、剣難の相が出てる……』
『俺は明日、結婚式なんだ。縁起でもねぇ事いうな!』
『でも、ホントだから……』
『こういう時には、世辞でも幸せになるとか言えよな!』
『あ、おい見料!』
ったく、ムカつく占い屋だ。
『邪魔だ、どけ!』
『ああ?』
どうやらマーの仕事は占いみたいだ。
父ちゃんが生きてた頃に見てもらったのを見た。
あ、お客。怒った。はずれたのかな。
『あんた、真ん中歩いてんじゃないわよ』
『ナニぃ〜。おあた!』
コンゴ・フーじやねーか。なんでまた。
『邪魔だ、どくだべェ』
『あ、す、すみません。腰が抜けてちょっと動けね……』
『あんた、耳が悪いのかしら。お頭様はどけと言ってるのよ。邪魔よ、おどき!』
バザッ
『うがっ』
『チャオ、そいつをどけて』
『へいっ』
相変わらずタイラの奴、ひでぇな。
しかし、面倒だ。斬らずにどかせば早いのに。
『よっこらしょ、運の悪い野郎だぜ』
そこの占い屋にでも頼むか。
『誰か、こいつを』
『誰か、村長をここへお呼び!』
あの怒った客が、馬で来た白い顔の変な男に斬られた。
白い顔の男の後ろには、やたらとでっかい太った変な顔のオヤジ。馬が重そうで可哀想だ。
その横には長い黒髪の女とナマズヒゲの男。どう見てもこいつら悪者だ。
こいつら、村に悪いコトしに来たんだ。
つづく




