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オアシス

23話 オアシス


「見て! 緑がある」


 目のイイ、アニタが走だした。


 はるか前方に緑が茂ってる場所があるのが見えた。


「うひょー」


 アニタの後をグッピーが追った。

 その後をティアーナが。


「まるで子供ね。あの二人」


 ルルはカウカウのそばを、反対側は黒服のジイさんヴィルヘルムが歩く。

 ルルはカウカウが気にいったようだ。

 長いこと隣に住んでてルルが動物好きだとは知らなかった。

 家では何も飼ってなかったし。


 オレたちと馬車が緑地に着くと。緑地の真ん中に池があった。

 アニタやグッピー、ティアーナが裸で水浴びしていた。


「おう、やっと来たか、おまえらも入れよ気持ちいいぞ」


「ねえ、あんたたち。その水を後で飲むのよ」


「泳ぎながら飲んでる」


「あきれたわ。あの汗まみれで汚れた連中が入った池の水飲むの?」


「一度沸かしましょう。おそらくこの辺の動物も入水してます」


「弓、ルルだったな。安心しろ。ろ過器がある」


「さすがお姫様。湧き水でお腹こわさずにすむわ」


 火をおこすのに、意外と枯れ枝がなく。

 なんとかみんなで緑地の周りから燃えそうな物を集めた。


「干し肉がこんなに美味く感じたのは久々だ。茶もある。けど、こっちの肉はかたくて、味も無いしまずいなぁ。なんの肉だ?」

「ソレはティアーナが、首を落としたモグラ」

「熊モグラですか。アレの肉は不味いしかたいのです。それならこちらの肉の方が」

「悪いな、いただく。おお、こっちの方がうめぇ~。何だこいつは。鳥か?」

「チュビラです。鳥に似て美味しい」


「ヴィルヘルム、あんたこっち側からダンジョンへ行ったか?」


「ダンジョン……岩壁の下の洞窟の事ですか。はい、そこでチュビラを」

「もしかして、熊モグラの首を斬らなかったか。あんた」

「ええ、一頭首筋を」

「あれは、あんたか。しかし、ダンジョンをそのなりで一人で。あんたすげえな。しかしよ、湧き水も有り、緑も有り、俺はこのままここで暮らしたい。嫁も居るし」


「おまえの嫁とは誰だ。その胸出し女か?」


「んな、わけねー。ミシェールだ」


「違う」


「魔法使いは、ロランの嫁ではないのか?」


「違う!」


「おまえの嫁には胸出し女が似合うぞ」


「ああ、こんなのゴメンだ」


「オレも最近そう思うぞグッピー」


「グルドンの嫁。悪くない。いつでも勝負出来る」


「グッピー。ティアーナはその気だよ!」


「だまれ、小娘。俺の嫁はミシェールだ」


「違う」


「ところでロラン。おまえがいつも背負ってるその袋、何が入ってるんだ。親の形見でも入ってるのか?」


「そーよ。あたしもまえから気になってたのロラン」


「アニタ知ってる。ロランの嫁」


「アニタ。ナニ言ってんだ」


「グッピーが言った。嫁が入ってっるって」


「嫁? 見せてくれ、ロラン」


 姫は、なぜかオレの名はしっかり憶えてる。


「ロラン、お姫さんが御所望だ見せてやんな」


「ああ、コレは遺跡で見つけたオレのお宝だ。詳しいコトは、わからない」


 オレは背中の袋から美人像を出した。


「おお、久しぶりに見たら、まえよりキレイにみがいてあるじゃねーか」


「ホントだアニタが見た時は、泥とコケだらけだった。キレイ」


「ほう、古い物なのか? 遺跡から出たとは。ヴィルヘルムがそういう物に詳しい」


「ほお、ちょっと見せていただいてもよろしいですかな」


 まあ、特に見せたくない理由もないのでヴィルヘルムに像を渡した。


「コレは……いったい何で出来てるのやら……宝石のような物ではないな……ナニか動物の骨とか牙にも似ている……」


「ほら、ロラン。そいつには価値なんてないだろ。昔の宗教の御神体だ。ガラクタさ」


「う〜ん。物によっては高価な物だ。彫りも綺麗だ。しかし、この像の顔は美しい。芸術的価値があるかもしれない」

「ヴィルヘルム、あんたにもわかるのか、この像の美しさが」


「どれどれ、あたしにも見せて。アニタが言っていた汚れた像ってソレだったのね」


 ヴィルヘルムの手からルルに。


「ふ〜ん。確かにキレイな人の彫り物ね。なんとなくあたしに似てない?」


「似てないよ。もういいだろ」


「アニタも見たい」

「ホラ、アニタ」

「キレイだ。すべすべする。コレは金でも銀でもないなロラン」


「ああそうだ金には、ならないがオレのお宝だ」


 頬ずりしてたアニタが臭いを嗅ぎだした。


「やっぱり、ロランの嫁だ。ロランの臭いがする」


「だな、ロランはそいつを抱いて寝てるからな。たまに股に挟んでんだろ? だから臭う」


「変なコト言いなグッピー。おまえが槍を抱いて寝てるのと同じだ」

「ああ、槍は俺の大事な相棒だからな。それに、いざという時にはすぐ使える」


「あたいも剣を抱いて寝る」


「庶民は大事な物を抱いて寝るのかヴィルヘルム」


「皆ではありません」


「子供、私にも見せておくれ」


 アニタは立ち上がり焚き火の反対側に居るレオ姫に持っていき渡した。


「『子供』じゃない、アニタだ。覚えて」


「そうかアニタ……は姓はあるのか?」

「アニタ・アポ」

「アニタ・アポか。覚えたぞ。で、私の名はアニタ」

「あ姫さん、じゃないか。レオ……レオーのシュターン?」

「違うぞアニタ。レオノール・デルヴィルだ、シュターンは国の名だ」


 そうだった。オレもレオしか憶えてない。


「確かに美人だなこの像。思ったより軽い。いったい何で出来てるのだ」


「さあ? そろそろ返してくれ」


 この緑地は居心地はイイ。

 オレたちはココで一晩あかした。


 さて、翌日。

 出発しようとした時に。緑地の先の砂漠に影が見えた。馬が十頭あたりか。


「アレは賊だな。まああのくらいの人数なら……」


 砂の丘を下りてきた。見た目からして確かに悪そうな連中だ。

 真ん中の男は丸坊主の髭面、黒い眼帯だ。


 馬の速さを変えた。

 連中は緑地の外側を囲んた。


『オイ、おまえらここはコンゴ・フー様のオアシスだ。勝手に使いやがって。代金を払ってもらおうじゃねーか』


「なんだって? 言葉がわからねー」


「ここは、コンゴ・フーとかいう者のオアシスだから使用代をよこせと言ってます」


              つづく 






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