ニール
13話 ニール
辺境の町 ニール
辺境だけあって珍しい物が道に並べ売られている。
国交がなくても、勝手に向こうから持ってきた物だろう。
オレたぢ宝探師でも、見たことない物も売ってる。
人も多い。あまりに見かけない肌の色の人種も居れば、魔族に近い連中も。
亜人との混血もいる。亜人によっては人と子供を作れると聞いたがホントに居るんだ。初めて見たぞ。耳が頭の上にあるヤツ。
「そうだ。ここから先の地図を手に入れよう」
「だな、ここから先は未知の土地だ」
道具屋で聞いてみると。
「東方の地図は、ないね。そもそも向こうへ行くのは難しい。山越えや砂漠越えをしないとな。山の地図も砂漠の地図もないよ。嵐で、しょっちゅう地形が変わるんだ」
「ってよ。どうする」
「お客さん、道案内人なら紹介出来るが、高いよ」
「道案内……」
「東方から来た連中だが、危険なんで高額を要求する」
「東方から来た……ミシェール! あんた道案内出来るか?」
「無理」
「なんでさ、東方から来たんだろ」
「来たとは言ってない……東方に居たことがあるだけ」
「意味がわからん。今、ここに居るんだから、あっちから来たんだろ。魔法で鳥になって来たとか、絨毯に乗って来たんなら道はわからないだろうが……」
「どちらでもない」
「ロランよー、案内人がいても道は変わってるとか、危険とか、金の無駄だろう。ミシェールだって、道が変わってたら、わからないんなら同じだ。お天道様が出てくる方向が東だ、そっちに進めばイイ」
「だな、地図はあきらめよう。案内人もいらない」
途中、森で捕獲した獣を食料品屋に持ち込み金に変えて宿を探した。
「あたしは、あそこの路地で寝る」
と、ティアーナは、干し肉を魚の礼にやると、さっさと路地に入り座り込んだ。
「あんなトコに寝たらまた汚れるな」
「ああいうヤツなんだろ。ほっとけ」
「ここは……」
「おい、ミシェール。そこはダメだ。見ろ女の裸の看板が下がってる。そこは娼館だ」
「キレイな宿だが……」
「これだから田舎のガキは。そこは女連れで入るトコじゃねー」
「中に女が沢山居るけど」
「あら、坊やいらっしゃい」
「泊まりたいんだが、ココは高いのか?」
「そんなコトないわよ、町のはずれにもう一軒あるけど、そこより安いわよ。泊まるの。豪勢ね、ボク」
また、ボクと呼ばれた年上の女は、年下をボクと呼ぶのか?
「おい、何やってんだ、行くぞ」
「なに? あんたたちひやかし」
「悪いな、姐さん。こいつまだ子供なもんで」
「そう、じゃ大人になったら又来てねボクちゃん。待ってるわ」
「ミシェールも娼館知らねーのか」
「知っている。けど、入ったことない。ここがそうとは知らなかった」
「まあそうだな、行ったことのある女なんてそういねーからな」
「ここは大人にならないと泊まれないのか。安いと言ってたぞ」
「ソレは別のトコよりだ。普通の宿より三倍くらい違うんじゃないか」
「そうなのか。じゃ他へ行こう」
朝、宿から出たらティアーナが待っていた。
「よく、ここがわかったな」
「鼻がきく。おまえの足の臭いがした」
「ホントかよ。ココは風呂が無かったからな」
と、グッピーは自分の足の臭いをかいだ。
「イイ香りじゃねーか」
「こんな宿でも三人で泊まったら、金が大分減った。この先稼ぐ手があるかわからない。ここで少し旅費を作ろう。獣の肉や毛皮が売れるようだし」
「狩りで稼ぐか。来る時あっちで荷車を貸してた。借りてくる」
グッピーが町に入った道へ行くと、ティアーナがグッピーの後を追っていった。逃げたと思ったのか?
「あの、あなたロメーラじゃ」
「いえ、違います」
なんだ突然現れたこの細い女は。腕も脚も枯れ枝みたいに細い。
ミシェールのフードの下の顔を見た女が。
「ごめんなさい、背格好が似てたものだから」
「あんた、ロメーラという人を探してるのか」
「ええ、知ってるの?」
「いや、聞いたことある名だと」
「ソレは、この町で」
「違う。オレが生まれた村でだ」
「そこは何処?」
「ああ、村に居たというわけじゃない。村の近くの谷で絵を描いてた。ソレが変な女で、山を見ながら人の絵を描いてたんだ。オレは女に声をかけた」
『何処にそんな女が居るんだ』
『きみには見えない人よ』
『あんたには見えるのか?』
『見えるよ、だから描いてるの。ほら、美しい妖精よ。背には透明な羽があるわ』
『妖精? オレには見えない。でも、あんたの絵の妖精は綺麗だ』
『そう、ありがとう。コレきみにあげるよ』
『あんた、なんて名だい』
『ロメーラよ』
『ロメーラ。有名な画家か? コレ、お宝になるかなぁ』
『有名かしら? ま、持っていて大事にしてくれたら、おねえさんうれしいな』
「ってことだ。今は何処に居るか知らない」
「間違いないわ。ロメーラよ。その人。
彼女は王都では有名な画家よ。突然姿を消したので私は、こうして捜しているの」
「そういえばミシェールと同じ背格好だった。あんた家族かなんかかい?」
「いえ、わたしは彼女のモデルをしてたの。そして恋人」
「恋人? あんた女だよな?」
つづく




