牧場の死闘
12話 牧場の死闘
「オイ、おきろ!」
「なんだ?」
「アレはおまえらの仲間か!」
「はあぁなんだ。仲間はみんなココに」
納屋の外へ出ると、あのバカ女が、剣を上げて牛を追い回して遊んでいる。
「アレは仲間なんかじゃない!」
「なんとかしてくれ、あんなことされたら乳の出が悪くなる」
「ったくよーあのバカ、困ったもんだ」
グッピーが、槍をかついで女のとこへ。
「ギャハハハ。やっと起きたか槍男」
「ヤリ・オトコぉお。人を変態みたく呼ぶなバカ女」
「勝負しろ! 槍男」
「ああ、面倒なんで今日こそけりをつける!」
ああ、あいつ寝起きでヤル気だ。
フワァア。
「あっおはよう。ミシェール。夕べは何処で寝たんだ」
「おはよう。アレは?」
「ああ、なんだか朝から因縁の決闘だ。いつまでたっても決着がつかないそーだ」
「……」
「おっさん、朝メシは食えるかい?」
「金払ってくれたら出すよ。1ニーニョでももらえれば」
あの安宿の値段と同じか。でも、ゆっくり寝れたし、めし付きなら安いか。
「ああ、三人分たのむ」
「あの女の分は?」
「アレは連れじゃない」
しかし、陽も真上に上がってるのにグッピーは朝メシを食べに来なかった。
「見てとおちゃん、あの二人にらみ合ったまま動かないよ」
「ああ、ほっとけ。とうちゃんは武術のコトは何もわからねぇから」
二人は朝メシを食わず陽がかたむきだしても決着がつかずに。闘ってたが、ピタッとお互い剣と槍をかまえたまま止まった。
オレは牧場の子供たちと見学した。が、動かなくなってから大分なるのでつまらない。子供らは、あきて帰ってしまった。
驚くなかれ、もうまる二日、ああしている。
「奴ら腹へんないのか?」
「お互い、あと一手で決めるつもりだ」
「ミシェールは武術がわかるの?」
「あまりわからない。昔武人の友人がいた」
昔って、いくつなんだミシェールは。
夕食食べて、見に行ってみるとまだ同じだ。
「大丈夫か、グッピー。そろそろやめたらどゔた」
「おい、女。腹減った。そろそろやめねーか」
「あたしもだ。ナニか食べたい」
「俺は逃げねー。ここは一時休戦としよーや」
「よし」
二人はお互い武器をおろした。
その瞬間二人は倒れた。
二人を納屋に運び翌朝、乳スープで起きた二人は。
「また、始めるのか?」
「うーん……体が本調子になってからにするか。おまえは?」
「ああ。でも、逃げるな」
「おおよ、言った。逃げない。いつでも勝負してやる」
とか、約束したばかりに。女は。
朝食を終え、牧場を出た。
女が、あとからついてくる。
「おいグッピー。アレどうするんだ」
「いつでも勝負すると言ったから、コソコソ隠れて追って来ないんだろう」
途中河原で休憩した。
「おい、あいつボロマントを取って行水してるぞ」
「おお! けっこうイイ乳してんなぁ。しばらくご無沙汰だからか、あんな奴でも興奮するぜ! なあ……ロラン。おまえまさかその背中の像で」
「何の話だグッピー。休憩は終わりだ行くぞ。夜までに次の町に着けるかなぁ」
けっきょく暗くなるまで歩いたが、町はなかった。
東の国とは国交がないせいか辺境には町や村が少ない。
また、森で野宿だ。火をおこし湯を沸かし、茶を飲みながら牧場で買った乳パンを食べた。
ゴホゴホッ
女は、少し離れたとこで火をおこしてるが、うまくいってないみたいだ。煙しか見えない。
「おーい。こっち来いよ」
「おい、呼ぶのか。いきなりバッさりこねーだろうなー」
「大丈夫だろ、やるならもうやってるだろうから」
女は焚き火の近くで枝を拾い始めた。
「いいよ、枝なら集めた」
女は腰のベルトの背の方の袋から、魚を出し枝を刺して焚き火で焼き出した。
「あんたの夜食か……」
「河で沢山獲った、おまえらも食え」
あの行水の時に。
オレたちも枝を刺し焼いた。
行水したせいか顔がきれいだった。長い前髪に隠れた顔は意外と美人だった。
「あんたは何処の人間だ、その剣術は東方の双剣術と似ていて戦いやすかったが、師匠とかいるのか?」
「剣は東方出の母ちゃんに習った。父ちゃんは北の男でハンターだった。今は二人はいない」
「やはりな。俺の師匠も東方の人間だった」
「ところで、あんた名は?」
「名……しばらく呼ばれても名のってもない……ティア」
「ティアか」
「いや、ティアーナ・ギガルだ」
つづく




