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盗っ人

1話 盗っ人


「ロラン、ロラン!」


「おうっ」


「コレはどうかな?」


「錆びたスプーンじゃないか。ダメダメ。スプーンやフォークなら、銀が金になる。ホラ、こういう黒いの」

「見せて。ふーん」


「この遺跡は、けっこうおもしろい物が、あるからよく探すんだ」


「そうか、黒い金属か……」


「うっわぁ!」


「ロラン?!」


「おーいアニタぁ ここだ穴に落ちた!」 


「ああホントだ、穴だ」


「アニタ、そこのオレのバッグからランプを落としてくれ!」


「アニタも降りる」


「なら、カバンごと下に。この穴は広そうだ」


 オレはロラン・ウニカ。

 相棒で、まだ見習いのアニタ・アポと、教会らしい遺跡に宝探しに来た。


 通称では、皆オレたちのことを「盗っ人」というが。ちゃんとした職名は「宝探師」だ。


 大昔この世界に大災害が起きて世界の半分以上が滅んだといわれている。詳しいことは知らないが、知ろうともおもわない。過去のコトはどうでもいい。


 オレの生まれた頃には両親は「宝探師」だった。

 事故で両親は死んだが、後をオレ一人でやってる。

 あ、今は相棒が。と言うほどまだ使えない。


「アニタ、先にランプを燈してから降りてこい」


「ハイ」


  ズバボロガタガタ


「おい、アニタ。大丈夫か?」


「大丈夫。ホラ、ランプも点いてる」

「あ、ロープは?」

「上のアニタのカバンに」

「それじゃ登るの一苦労だな。まあ瓦礫の下だから、かけるとこもないしな。なんとかなるか……」


「奥に道があるよ」

「ホントだ。こっちを照らして。なんだかが、あったような瓦礫の山が。このヘンは棚かな? アニタ、ランプ」


「祭壇のあとかな? 上の教会より古い感じがする」


 その崩れた瓦礫の山を掘ってみた。陶器の破れた皿とかが出てきた。


「うん?! コレは? 砕けた柱かな。違う、先の方が彫られている。人の顔のようだ」


「ロラン、ナニかあったの?」


「うん、なんだろう彫像みたいだ。汚れてて、顔とかよくわからない持って帰って洗って見るか」


「コレは銀?」

「どれどれ、燭台だな。銀のようだ持ってけ。あと、テキトーなの持って上がるか」

「奥も行ってみようよ」

「そうだな。穴が開いてんじゃ。明日に誰か来たら横取りされるかも。ひととおり見とくか」


 ランプを照らし奥の方に行くと階段があった。コレは上に行けるのか。穴を登らずにすみそうだ。


 階段を上がるとドアが。その前に人が。いや人だった物だ。ミイラ化している。


「こいつは人外だ。服は来てないしホラ、牙がある。手脚が長い、爪も鋭い。アニタくらいの背丈だサルかなんかか?」


「アニタ、こんなの見たことない」

「サルは、人から離れて暮らしてるからな。なんで教会にサルが? 飼われていたのかな」


 ドアは簡単に壊れた。やはり、上は朽ち果てた教会だ。


「ロラン、穴登らないで良かったね」


   ウグッグルル


 なんだ、獣のような声が。


「ロラン、ナニか居るよ」

「なんだヤマイヌか? 一匹や二匹じゃない。囲まれてる」


 奴らは姿をあらわしてきた。

 なんだサルか? いや、違うぞ奴ら毛がないし、暗い緑色みたいな身体だ。


「アレは本で見たコトある」

「アニタんとこは本が、あるのか」

「うん。アレはゴブリン」

「あ、いや、奴らは人のマネして服を着ている。あつらは丸裸だ、アレはあのミイラと同じ奴かも」

「じゃなんなの?」

「わかんねーよ」


 一匹が牙をむいて襲ってきた。

 オレの武器は短剣一本、避けてそいつの横腹に指した。そいつは、地面で暴れて動かなくなった。

 そいつから短剣を取り、次の奴に応戦したが、次から次へと奴らが、なんとか応戦するが相棒のアニタは武器など持ってない。

 が、瓦礫の小さいのを投げつけた。

 そんなのでは戦闘力はほとんどない。


 なんとかアニタをかばいつつ応戦してると急に風が。その風が奴らの方に向きだし、奴らの周りを周りだした。


 オレたちを囲んでた奴らの周りだけ、風が廻ってる。どういうコトだ。


   ググッ


 奴らは攻撃をやめた。突風の風の中に白い物が混じり出した。ソレは雪? 氷のようだ。そいつが奴らの身体をつらぬきはじめた。


  ウガッ


 奴らが穴だらけで倒れていく。風はまるで操られてるようにオレたちの方には来ない。


 十匹ほどの怪物は穴だらけで皆倒れた。奴らの死骸の奥から人が。

 白いフードをかぶったマント姿だ。魔法使いか?

 その人ははオレたちの前に来て。


「そのカバンの中の像を捨てて」


 声は若い女だ。あの風と氷は、この女が。

 魔女なのか?


「こいつらはソレを……」


               つづく

 


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