停止/比べられない
『停止』
消えてしまう僕を
忘れないで
愛がまだ真実だった頃を
憶えていて
重ねた手と手を 重ねた唇と唇を
触れ合った肌の柔らかさを
息づかいを 足音を
夜と朝が一緒だったように
一つに還ってゆく
動かない夢が
二人の立っている場所へ迫ってきている
僕は怖くはないけれど
君が心配だから 言うよ
忘れないように
『比べられない』
超現実の 黄金めいた 光の粒
限りない闇の天幕を 埋め尽さんばかりに
狂おしく燃える星達の間から
神聖なる嘘つきが 降りて来る
偽善者達は しかめっ面の聖歌隊を連れ立って
長々と賛美歌を歌い続ける
お前は 泣きじゃくりながら耳を塞ぐが
皆 誰一人として その声を聞かないわけにはいかない
くり返される詩の意味さえ 解する事ができないにもかかわらず
踊り出す身体が 疲れ果てやがて動かなくなり
血肉が朽ち果て 腐り落ち 土との区別がつかなくなっても
支配は終わらない
永久の白痴者達は 何も知る事はない
ただ一つ 自分達がこの束縛から逃れられないのだという事を除いては
私は天空からやって来る
お前達がそう呼ぶ場所 本当の意味でのその場所から
滅びは過程でしかない
だから 幻だけを愛すればいい
どの瞬間を見たところで
真の同一など在り得ない
お前はただ 自らの背に刻まれた聖典を読むだけで終わってゆく
終わる事はできるが
始まる事のできない世界
混沌に理はなく
故に 真理は幻となる
真理は理ならず
天空と大地に 同時に背を向けて
それの芳香を嗅げ