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SOLID STATE ANGEL  作者: 熊八
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第44話 新型

 それからまたしばらく経過し、セシルのボディが無事に完成した。ボディを含めたセシルの身長は141.7アッシュ(170cm)で、これはセシィと全く同じ身長になっている。

 肌の色こそ顔に合わせたものになっているが、それ以外の体つきもセシィそっくりに見える。これは偶然ではなく、おそらくはセシィのようになりたいと言っていたセシルの希望を反映したのだろう。

 そしてセシルは無事に俺の直属小隊に配属された。中隊の仲間達は知っているが、他の戦友達にはセシルの出自は伏せられている。

 天使の顔を見た兵士も多かったが、バレてはいないようだ。ただ、顔はよく似ているなと思われている模様だが、まさか天使本人が連邦軍に参加しているとは想像もしていない様子で、マクシモが天使を作る際にモデルにした人物だろうと言われている。

 ちなみに、セシルの駆る多脚戦車はグラディエイタースタイルだ。ブリキ野郎の戦闘データがあるため、これが最も扱いやすいのだとか。事実、わずかな訓練で古参兵よりも操縦がうまくなっている。

 ボディこそスペックを落としているが、首から上はオリジナルのままのため、情報の処理能力と反応速度が圧倒的なようだ。

 そして、セシルの入隊と時期を前後して、戦場の死神の機体データから作られた新型の多脚戦車のプロトタイプが開発されていた。

 オルランドという開発コードネームのこの試作機は、戦場の死神からスペックを落とし、量産性と操作性を両立させたタイプになっている。

 それでもこれまでの量産機よりは高価な機体になっていて、テストパイロットとして俺達死神殺しの部隊が選ばれていた。

 精鋭部隊として名高いことと、データの提供者であるセシルの意見も聞きたいからという、開発者からの要望だそうだ。

 今までのアルヴァロI型と比較して、足回りや腕の動きがかなり高速化されており、これからは効率的にブリキ野郎を狩れそうだと、隊員たちの評価も上々だ。

 そのため、細かい問題点を修正した正式量産型のオルランドI型が少し後に開発された。その後の反応だが、実は新兵たちからの評判が特に悪かった。

 熟練兵でなければスペックを持て余してしまい、機体性能に振り回されてかえって扱いづらいという評価になってしまっていた。

 そこでさらにスペックを落とし、扱いやすさ重視で再調整されたアルヴァロII型が新たに開発され、量産と配備が始まっている。

 なお、オルランドI型は熟練兵向けの機体として、その後も量産が続いている。そのため、この機体が扱えるか否かが精鋭かどうかの一つの判断基準になっている。

 ちなみに、ジェフリー中隊の機体は全機オルランドI型だ。さすがに精鋭部隊だけあって、これを持て余すような腕のものは一人もいなかった。

 なお、俺の直属となったセシルだが、一見して分かるほど俺に首ったけで、恋する乙女のオーラが駄々洩れになっていた。俺もその思いを特に拒否することもなく、むしろ応じていたため、周囲からは生暖かく見守られている。

 ただ、俺の気のせいかもしれないが、セシルが配属されてからのセシィの様子がおかしい。妙にとげとげしい態度をとるようになり、不機嫌な様子を隠そうともしない。

 周囲はそれも含めて生暖かい目で見ているようだが、俺はどうしたものかと頭を悩ませるようになった。

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