不具合のモノグラム 3
作者だけわかって、置いてけぼりになってないか心配している
わたしには疑問がある。
これは思っていてもいいのかがわからない。口にしてもいいのかすらわからない。私の心にのみとどめるべきであろう事。そんなことを言っていいのが憚れるようなこと。私にとってそれが普通であるのようにも思える。しかしながら、その胸中にある黒い反応、という悪い方向へと感じ取ってしまう。
それは何か。思ってもいいのか、言ってもいいのか。相談してもいいのか。よくわからない。ソーさんに尋ねるのも、この透さんに尋ねるのがいいのか悪いのか。言ってはいけないような気がしてならない。
それは――私が「普通の人間」であるかどうか。いや、もうただの人間であったというのは理解しているが、それでも思ってしまうことがある。それはあさましい感情ではあり、単純のように思えるその問題は、もっと深く、広く、遠いところにある。
超能力が使える。普通じゃない。魔法が使える。普通じゃない。普通じゃないから。この普通じゃないからというのは、一種の差別的な意識を育てる。自分とは違う。平均的に異なっているから。自分の常識の範囲外であるから。そういうことなのだろうか。
私は罪な女なのだろうか。そう思ってしまうことは、罪なのだろうか。このように思ってしまう差別主義者なのだろうか。
わからない。わからない。でも、その答えは、この向かう先にあるのだろうか。その先に何があるか……。
――
今、私は車に乗っている。思ったより遠いのか。高速道路を1時間以上走っている。
「いやあ、すみませんね。距離がありますので」
「あ、いえ。別に大丈夫です」
あんな疑問は、言えるわけがない。
「ところで、えっと、八島さんは……八島さんのお仕事って、施設の管理をしているだけですか?」
「え? ああ、施設管理というのもありますが、大体は彼女に任せているんですよ」
「彼女というのは、その、私の能力のことを知っている方ですか?」
「ええ。そうですよ。もう……10年……いえ、17,8年前になりますか。長い付き合いです」
ふふ、と軽く笑っていた。だが、その笑みには、少し違和感があった。
「長いお付き合いなのですね」
「良き友ですよ」
肩をすくめた。
「私が務めている所は、「TELC」ではありません。あまり詳しくはお話しできないのですが、玲奈さんでも耳にしたことがある大企業に勤めています。そこには、裏の顔がありまして、「SMP」などの研究を行う部署があります。私はそこの社員です。とは言っても私はMR……営業部みたいな仕事を行っているわけですが。そこで、私……いや私たちは「TELC」を設立し、その運営、管理を行っています」
「透さんは、「TELC」で何をしたいのですか? もしかして、あの、あくどいことなどしては……」
よくよく考えたらこれって、罠だったりするのかな? いや、ソーさんに限ってそんなことは……身売りとか……ない、よね……?
「いいえ。そんなことしませんよ。私は」
大笑いしていた。
「そうですね。私は、私の夢は、恥ずかしい話かもしれませんが、みんなが共存共栄し、なんの障害もなく、暮らしていける。そんな世の中を目指したいんです。そして……あ、いえ。ここから先は余談ですね」
「聞かせてください」
「……彼女のつ、……夢を見届けたいんです」
透さんは遠い目をして静かに話した。横から見る彼の表情は少しばかりか曇っていた。そして、話す言葉には哀愁が漂っていた。どこか儚げで、哀しげで、何かに思いを耽るような
そんな気がした。
私は目を伏せた。彼の顔をなぜか見ていられなかった。理由はわからないけど、私は目線を横のほうに流し、窓の外を眺めた。代り映えもなく続く景色を呆然と見つめていた。
それ以降私たちに会話はなくなった。
私は、先ほどの疑問について改めて、考えをめぐらすことにした。
しばらくたち、車は目的地へとついたのだった。
「はい。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
私は車から降りた。
場所は、高速を降りてから住宅が立ち並ぶ街並みを抜けて、そこから山道を進んでいった。そして車を走らせること10分ほどだろうか、登っていった先に、ぽつんと、校舎が見えた。駐車場からは、下の街の景色が一望できる。広がった海も眺めることができた。山の中、いや丘の上といったところか。自然に囲まれたそこは何物にも邪魔がされない有り体の自然体の、姿を突出していた。
深呼吸をする。空気が澄んでいておいしい。背伸びをする。気持ちがよかった。
「ここはね、昔は学校だったんです。ですが廃校になり、そのままその土地をかいとったんです。ですから、校舎はそのままです。ほら、広いプールだってあります」
「た、確かに。グラウンドも。なんか、普通の学校と変わらない」
グラウンドを見ると、たぶんここの施設の子たちなのだろうか。楽しそうに遊んでいた。
私があたりの光景に目をやっていると、女性の声がした。
「お待ちしてました」
その声の主を見た。
彼女は軽く会釈をして、私を優しい目で見つめた。
「え、えっと……」
私は言葉に詰まってしまった。
なぜなら、彼女がとてもきれいだったから。その美しさに思わず見とれてしまった。
肌が白い。まるで明るく照り輝く雪のようだ。潔白で純白で、真っ白の雪が紺青の山肌に爽やか。清潔で幻想的にさえ見えた。
肌も、髪も、純白で美麗だった。
そして、瞳が紅い。赤水晶のような瞳。冴え冴えとしていて、雪に咲く一輪の赤よりも紅い花。秀麗な美貌。人を引き付ける魔力。魅力。美力。そして美麗。
女の私でもこの女性に見惚れてしまう程、美しかった。
「雪華、わざわざありがとう」
「いや、透こそ、お疲れ様」
にっこりと笑う姿も見惚れてしまう。
「はじめまして。山高玲奈さんですね?」
「は、はい」
差し出された手を私は無意識に応じていた。
「私はこの「TELC」の施設長をしている、八島・ファラジオ・E・雪華です。雪に華麗の華と書いて、せつか、と言います。気軽に雪華とよんでください」
靨をくずす。声が透き通っており、心地が良かった。
「あ、は、初めまして。山高玲奈です。あの、その……雪華さん」
キャラクター紹介
八島透
年齢 28歳
誕生日 5月3日
血液型 B
身長 176.2㎝
種族 人間
好きな食べもの 肉じゃが
嫌いな食べ物 トマト
作者コメント
私の作品に「その先に何があるか」というのがあるのですが、その作品の主人公。このキャラは一番思い出が深い。もう13,4年くらいたつのでしょうか。そのくらい前に、初めて小説を作ったんです。その時の主人公がこの透くんです。「その先に何があるか」はそれをリメイクした作品で、彼は、私の中で付き合いが長い主人公です。
言葉遣いなど、眼鏡とか、キャラが違うじゃんとなりますが、ただ単に大人になったというわけではなく、理由があるのですが、それは本編で描けたらいいなと思ってます。
今またあの作品をリメイクしたいのですが、まあいいです。透くんは、結構熱血漢のある子で、聡明な子なんです。自分の決めたことをやりきろうとする根性もあります。ただ、それで雪華とかかわっているわけですが、見方によってはかわいそうなんですよね。このキャラについては色々と書いたらキリがないので、ここまでにしておきます。できたら「その先に何があるか」みてみてね。




