8話:だいたい雪葉さんが悪い
もしかしたらもう1話更新来るかもです
「ねぇ宗助、どういうことなのか、説明してくれるよね……?」
完全に目が据わっている桃花は、ズンズンと俺へと迫り――チャイムが鳴った。
「……ふん、命拾いしたわね。後で覚えてなさいよ?」
「は、はぃ……」
そう言って俺はチャイムによって助かったのであった。
だが本当の戦いはこれからであった。
授業終わりの休み時間。
「おい、秋月はどこだ!?」
「何処に逃げやがった!!」
そんな声を聴きながら、俺はトイレの個室にて隠れていた。
授業が終わって早々の事であった。
雪葉と付き合っているという噂が広まり、他のクラスから俺の下へと来ていた。
それは二年生にとどまらず、三年生もであった。
このままでは不味い。そう思った俺はそそくさと一番近くの男子トイレへと、逃げ込んだというわけである。
俺は午前中最後の授業を受けながら思った。
このまま雪葉と付き合わなかった方がマシだったのではないかと。
「いや、ダメだ。それだと在りもしない噂で同じ状況に……」
そんなこんなで授業終わりのチャイムが鳴り、すぐさま迫ってくる桃花達。
「逃げてばっかりで、話してくれるんじゃなかったのかな?」
桃花の問いに、どう答えようか考えていると、教室が騒めいた。
何事かと思いその方向を見ると――『雪姫』こと、姫宮雪葉が教室の入り口にてこちらを見ていた。
「姫宮さん、こんなところになんの用かな?」
クラスの男子達が雪葉へとそう声をかけた。
「何言っているんですか? 私はそこの彼氏である、秋月宗助とお昼を食べる約束をしたので迎えに来ただけです。先輩たちには興味もありませんので」
雪葉はそう言って声をかけてきた男子達をあしらい、俺の元まで歩いて来る。
桃花が雪葉を睨み付けながら質問をする。
「……あなたが宗助の彼女?」
「はい。それがどうかしましたか?」
「どうやって宗助に取り入ったの?」
「どうって、それは私が愛の籠った告白をしたら、ダーリンが「実は俺も姫宮の事が好きなんだ」って。これってもう相思相愛ってやつですね」
桃花へと微笑みながらそう告げる雪葉。
何がダーリンだ。この性悪女め。
だがとうの桃花はというと、こめかみをピクつかせながら俺の方を見て口を開いた。
その口はとても引き攣っていた。
「そ、宗助。それは本当、なのかな? それにダーリンって?」
「い、いや、違――」
「ダーリン?」
何がダーリンだ! と勢いでツッコミそうになるも、グッと堪えて引き攣った笑みで答えた。
「も、もちろん本当だよ、桃花」
桃花の手に持っていたペットボトルがぐしゃりと潰れた。
思わずヒィッと声に漏らし怯える俺。
「姫宮さん、そんな冴えない秋月の何処が好きなのかな?」
「そうだよ姫宮さん。教えて欲しいな」
雪葉が俺の何処に惚れたのかと、そう聞いてくるクラスの男子達。
そのような質問に対して雪葉は少しモジモジした感じで頬を若干染め答えた。
「その、全部です……」
言っちゃった、的な表情をし恥ずかしがる雪葉。
どう見ても演技だ。
お前達騙されるな! と思う俺へとクラスメイト達から俺へと殺気が向けられる。
桃花なんて手に持つペットボトルがさらにぐしゃりと潰れている。
どう見ても信じ込んでいる。
雪葉さん、あんたなにやってんのさ。
そう思う俺であった。
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