4話:姫ニャン
書いていて楽しい(ニッコリ)
姫宮のまさかの脅迫に、俺の逃げ道はすでに無くなっていた。
どうしよう……俺、完全に姫宮に狙われているんだけど。
男子達からすれば是が非でもないのだろうが、俺にとっては迷惑極まりないのである。
「ちなみにだが、俺の逃げ道はあるか?」
「そんなのないに決まってます。これは決定事項ですから」
姫宮は物凄い笑みを浮かべている。
その笑みの裏が俺にとっては怖い。怖すぎるんだけどっ!?
思ったより姫宮雪葉は恐ろしいい人なのかもしれない。
「それでどうしますか? 私と付き合いますか? それとも噂を流されて平穏な学園生活をできなくさせましょうか?」
「なんつー選択のさせ方だ……それってもう一択って事だろ」
「もちろんですよ」
極上の笑みに思わずドキッとし、頬が若干赤く染まる。
「顔が赤いですよ?」
「な、なんでもない」
「そうですか。では答えを聞かせてください」
グッと一歩近づく姫宮。
風に靡いて彼女のシャンプーの香りが鼻孔をついた。
「早くしてください。答えないと言いふらしますよ? 先輩が私からの最大の愛を込めた告白を断ったと」
言っていることが先ほどとは違いツッコミを入れそうになってしまうが、グッと堪えて姫宮へと俺の答えを告げる。
「わかった」
「と言うことは、付き合ってくれると言うことですか?」
姫宮の言葉に俺は頷き「そう言うことだ」と答えた。
「ちなみに先輩が私と付き合っていることを否定したらどうなるか、わかりますよね……?」
「わ、わかってる。バレないようにする。それで良いんだろ?」
冷や汗を流したのは言うまでもない。
だって姫宮の表情が笑っているのに笑っていないからだ。
「そうです。ってことでよろしく、宗介」
「……いきなり呼び捨てか?」
「嫌ですか? なら――ダーリンの方が良いですか?」
「宗介でお願いします」
即答で答える。
「なら私のことは雪葉って呼んでくださいね」
そして姫宮はスマホを取り出して俺へと差し向けた。
何をしているのか理解が出来ないでいると、姫宮が。
「何しているんですか。連絡先の交換ですよ」
「……は?」
「だって私達付き合ったじゃないですか。連絡を知らないのは流石に可笑しいじゃないですか」
確かにその通りである。
俺もスマホを取り出してお互いの連絡を交換する。
ピロリンと音がし俺のスマホに姫宮の連絡先が登録される。
スマホの画面には『姫宮にゃん』と登録されていた。
「………………」
無言で名前を『姫宮雪葉』と変更しようと『姫』の字を打ったところで、俺のすぐ真横から視線を感じ操作を止めた。
姫宮のジト目が俺へと向けられる。それに伴い俺は姫宮からゆっくりと視線を逸らす。
「……何をしようとしたのですか? まさか、私の名前を勝手に変えようとしていたのですか?」
「……ソンナコトナイデスヨ?」
ハッとした表情をする姫宮は一体何を思い付いたのだろうか?
「まさか『姫ニャン』に変更しようとしていただなんて……!!」
「………………」
驚愕の表情で俺を見る姫宮。
――コイツの頭の中どうなってるの?
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