18話:食事はみんなで
「宗助さん、今日は夕飯食べていったらどうかしら?」
紀江さんが俺にそう言ってきた。
突然のことで返事がない俺に、紀江さんは申し訳なさそうに聞いてきた。
「もしかしてご両親がお夕飯の用意を?」
「あ、いえ。自分は一人暮らしなのでそういったことは無いですよ」
「そうなの? 宗助さんさえ良かったら食べていって」
せっかくのご厚意を無下には出来ない。
とりあえず雪葉の方を見て確認するも、頷いて「食べていったら?」という。
「ではお言葉に甘えさせていただきます」
「ええ。みんなで食べた方がおいしいもの」
紀江さんの言葉に俺は頷いた。
確かに食卓はみんなで囲んで食べた方がよりおいしいのは確かだ。
「そうですね。自分も最近は一人だったので久しぶりです」
「なら良かったわ。宗助さんは嫌いな食べ物とかはある?」
「ないです。両親が好き嫌いはするなと言われたので」
「あら、それは良いご両親ね」
「はい。自慢の両親です」
その言葉に雪葉の表情が少し曇った気がした。
この話題は不味かった。これからは控えるようにした方が良いかな。
雪葉の心の問題でもあるのだから。
正直に言うと、地雷だけは踏みたくない。
それから俺は姫宮家で夕飯をご馳走になった。
久しぶりに焼き魚とサラダを食べた気がする。
いや、サラダは食べてはいたがコンビニ売っている奴などだが……
姫宮家はしっかりとボリューミーなサラダを出してくれた。
サラダっておいしいね!
他にも、普段はグリルで魚を焼く事なんてないので、実家に戻って以来だ。
出て来たのは鯖だった。
脂が乗っていてすごく美味かったよ。ご飯二杯もお替りしちゃったよ。
俺、思ったより食べれたのね。
想像以上に自分が食べれたことに驚いてしまう。
しばらくお茶を飲み食休みをした俺は帰ることにした。
「今日はご馳走様でした。とても美味しかったです」
俺の言葉に紀江さんは笑みを浮かべる。
「美味しそうに食べてくれて良かったわ。また食べにいらっしゃい。歓迎するわ」
「はい。その時はお願いします。また食べに来ます」
美味しかったからまた来よう。うん。そうしよう。
図々しいかもしれないが、美味しかったから仕方がない。
だって、おばあちゃんが作るご飯って美味しいじゃん?
こう、恋しいっていうかさ。
まあ、そう言うことだ。
お礼を言って玄関へと出た。
玄関の外で。
「宗助、その……」
何か言い辛そうにする雪葉。
「どうした? いつもの態度はどこに行ったんだよ」
「五月蠅いですね。それよりもです!」
雪葉は口を開いた。
「どうして本当の事を言わなかったんですか?」
どうして?
まあ決まってはいる。
「おばあちゃんに悲しい顔をさせたくないんだろ?」
「――っ! そ、それは、その、そうですけど……」
「顔見ればわかる。ここで本当の事を言ったら雪葉が可哀想だからな」
「……もしかして口説いてます?」
「なわけあるか。まあ、なんだ。これは貸しだと思ってくれ」
「貸し、ですか。これは大きな貸しを作ってしましましたね」
「ああ。それじゃあな」
「はい。おやすみなさい」
こうして俺は姫宮家を後にするのだった。
原稿があり、そちらに時間が取られるので次がいつ更新が出来るかが不明です。
新作のほうも準備していますので、申し訳ないです……
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