16話:どうしてこうなった!?
あとがき、読んで、ね……
「粗茶ですがどうぞ」
「いえいえ。いただきます」
ズズッとお茶を啜る。
あ~、体に染みわたるぅ~~ってそうじゃない!
どうしてこうなった!?
俺は現在、雪葉の家にお邪魔していた。
対面には雪葉とその祖母、紀江さん。
御年87歳というが、それよりも若く見える。これはお世辞で言っているわけではない。
「このお茶、美味しいですね。何というやつですか?」
「あら嬉しいわ。それは『あさつゆ』という鹿児島のお茶なのよ」
俺の疑問に紀江さんは答えてくれた。
「おばあちゃん、生まれは鹿児島なんです」
雪葉が教えてくれた。
「そうだったのか。鹿児島のお茶がここまで美味しいって初めて知った」
「鹿児島はこう見えても生産量が多いのよ?」
普段からコーヒーしか飲んでこなかったから、緑茶に関しては何も知らなかった。
知っていることと言えば、日本三大茶は宇治茶、狭山茶、静岡茶ということくらいだ。
お茶に関しては無知である。
「へぇ~」
紀江さんの言葉に頷きお茶を啜り飲み切った。
「お代わりを淹れましょうか?」
「あ、お願いします」
そうして淹れてもらい熱いお茶を一口。
「あれ?」
「……どうかしたですか?」
お茶を飲んだ俺の反応が違ったからか、雪葉が尋ねてきた。
「いや、さっきのはまろやかな味わいだったのに、今度は甘いなって思ってな」
「そうですか? そう言われて見れば……」
俺の疑問に紀江さんが答えてくれる。
「あさつゆはね、低温でお湯を入れ抽出すると、天然玉露と言われるほどの甘みを引き出すのよ。こうやって楽しめるから私はこのお茶を飲んでいるの。宗助さんは普段は何を呑んでいらっしゃるの?」
「自分はいつもコーヒーですよ。コーヒーも同じように淹れ方で味が変わって楽しめるんです」
「そうなの。お茶の世界は色々あるのね」
「そうですね~」
紀江さんとの会話で和んでいた。
なんだろう、この実家にいる安心感は。
そんな中、紀江さんが真剣な目で俺を見る。
つい強張ってしまう俺へ、紀江さんは尋ねた。
「それで雪葉の、孫の――彼氏って本当なのかい?」
「――ッ!?」
な、なんだこのプレッシャーは……ッ!?
紀江さんから放たれる謎のプレッシャーを感じ取り、頬に冷や汗が伝う。
そんな中、雪葉が口を開いた。
「おばあちゃん、本当だって言ってるでしょ? 宗助は私の彼氏よ」
「……私は宗助さんに聞いているの」
「うっ、はい……」
あの雪葉を一言で沈めた、だと……?
やはり雪葉の祖母は強いのか。
「それで、本当なのかい?」
再び問うてくる紀江さん。
雪葉が「早く答えろや。バラされたいのか? あ゛ぁ?」的な感じで、紀江さんの後ろで俺を睨み付けているのであった。
マジでどうしてこうなったの?
作者「アレ? 雪葉さん、家に行くの!? それ書いている自分でも想定外の行動だよ!!!」
雪葉「あなたではなくて、私が決めるんです」
作者「あっ、はい……」
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