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11話:幸せなのは良い事

 放課後。

 俺はまだ教室に残っていた。


 教室にはまだちらほらと残っている。

 ほとんどの者は部活に入っており、終わってすぐに部活に行ってしまうからである。


 人が少ない教室で、俺も頼まれた仕事があるので帰ろうとする支度をして下駄箱へと向かうと、雪葉が待ち構えていた。


 どうやら一緒に帰る気の様だ。


「お疲れなようですね?」

「誰のせいだ。誰の」

「私のせいとでも?」

「はぁ……俺が悪かったよ。それで、どうしてここに?」


 靴へと履き替えた俺は雪葉へとそう尋ねた。


「一緒に帰るからに決まってるじゃないですか」

「いつ帰るって言った?」

「中庭でまたって言ったじゃないですか」

「……そう言えばそうだったな」


 まあ一緒に帰ったところで何も変わらない。

 別にいいだろう。


「なら帰るか」

「はい。そうだ。私寄りたいところあるんだけど、いいですか?」

「何処だ?」


 俺の問いに、雪葉は笑みを浮かべて一枚のチラシを突き付けてきた。


「これです」


 突き出されたチラシを見ると、そこには『特製フルーツクレープ』と書かれていた。

 めちゃくちゃ甘そうだ。


「こ、これを食べるのか?」

「勿論。糖分こそ至高ですので」

「……そうか。俺は帰るよ」


 歩き出し先を行こうとする俺の腕を両手で掴んでくる雪葉。


「ダメですよ。宗助もいくんですから」


 控えめな胸が俺の腕へと当たり、その柔らかい感触が腕に伝わってくる。

 同時に周囲から視線が!


 とうの本人である雪葉は気が付いていない。


「わ、わかったから離れろ」

「本当ですか? 逃げたりません?」

「逃げない、逃げないって」

「分かりました。なら宗助、早く行きましょう」


 ご機嫌斜めな雪葉を背に見ながら、俺はその後を付いて行くことに。


 そうして到着したクレープ屋さん。


「すいませ~ん。特製クレープを一つお願いします」

「1300円になります」


 クレープの癖に良い値段しやがる。


 雪葉は「1300円、二週間おやつを我慢すれば。でも……」的な事を呟いていた。

 どうやらおやつ代を削ってでも食べたいようだ。


 なので俺は財布からお金を取り出して店主へと手渡した。


「えっ、ちょっと勝手に――」

「はい丁度頂きます。出来るまでしばらくお待ちください」


 席に着いた俺へと雪葉が詰め寄って来る。


「なんで勝手に払ったんですか?」

「なんでって、そりゃあ、あんな顔をされたらな」

「……もしかして同情?」

「違う」

「ならどうしてですか?」

「そりゃ――彼氏、だからかな?」

「ま、まあそういうことにしておきます。少し見直しました」


 雪葉はそう言って照れ隠しなのか、そっぽを向くのだった。


 それから注文をしてしばらくして、クレープが手渡される。


「これですよこれ!」


 そう言いながらもパクリと食べる雪葉。


「ん~っ、甘い」


 とても幸せそうな表情をする雪葉であった。




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