1話:人生初のラブレター
新作のラブコメです。
今日から一週間は、二話投稿します!
ラブレター何てモノは都市伝説だと思っていた。
ましてや俺にリア充だなんて御伽噺という架空の存在であった。
そう。今日、この日までは……
――六月中旬。
梅雨が明けて少し経った日。
俺――秋月 宗助はどこにでもいる平凡な高校二年生だ。
他者の高校生と違う点と言えば、マンションで一人暮らしをしているということだろう。
それにも理由があった。
物心ついた時からパソコンを弄ることが多く、小学生の時にはプログラマーの父の姿を見て教えてもらったりとしているうちに自然と出来るようになっていた。
そこで中学生の時には父が経営する会社でアルバイトとして働いていた。
だからなのか新入社員よりも俺の方が早く仕事ができ、高校生となった現在ではそれなりに大きな仕事も任せられることが増えていた。その結果、俺はアルバイトとはいえない額の給料を貰っていた。
マンションの家賃などは勿論実費だ。
しかもプログラマーなのでアルバイトとと言っても稼ぎも相当なため、すでに扶養からは高校一年になってすぐに外れており、将来的には父の会社へとそのまま就職することになっている。
あと一人暮らしをする理由はただ単に通う高校が遠かっただけである。
そんな俺でも高校では平凡を装っていた。
稼いでいると分かれば媚びてくると思ったからである。
だが俺には友人は少ない。プログラマーのアルバイトで忙しく、周りからは一人暮らしをしているからアルバイトを頑張って働いているやつと思われているのである。
それが功を成したのか誰も俺にお金を媚びて来ず、十分に仕事に打ち込むという充実した日々を送っていた。
俺は今日もいつもの様に学校へと登校し、二年の昇降口へと向かう途中の学校の敷地内で前を歩く二人の女子高生の会話が耳に入った。
制服を見たところどうやら一年生の様だ。
「ねぇねぇ、知ってる?」
「何が?」
「昨日の放課後、バスケ部の部長が『雪姫』に告白したらしいよ」
バスケ部の部長と言えば爽やかイケメンということもあり有名な人だ。
そして最後に聞こえた『雪姫』。
その名前は俺でも知っていた。
本名は姫宮 雪葉。
白くきめ細かい長い髪に晴れ渡る空のように澄んだ青い瞳をした、高校一年生にしてこの高校で一番と噂れる『超』と『絶』が付くほどの美少女である。
入学してまだ数ヶ月なのに告白された回数は数知れず。
告白した男子の悉くが玉砕されて付いた異名は『雪姫』。
さらに前の二人から会話が聞こえてくる。
「それでどうなったの? やっぱり――」
「玉砕したみたい。「先輩には興味ありません」って」
「いつもの決まり文句だね~」
そうして一年の昇降口へと向かって俺の前から姿を消えた。
バスケ部の先輩、あんたは勇者だよ。告白が出来るなんて勇者以外の何者でもない。
ラノベでよくある異世界で勇者として召喚して世界を救うよりも、玉砕覚悟で告白するほうが勇者である。
そんなことを思いながらも俺は二年の昇降口へと到着し、中履きを取り出そうと自分の下駄箱を開けた。
ひらりと何かが俺の足元へと落ちた。
下に視線を向けて手に取るとそれは手紙であった。
「なんだこれ……?」
俺は不審に思いながらもこの手紙の宛て主を確認しようと裏を見た。
そこには……
――『秋月先輩へ』
と女の子らしい可愛いく綺麗な字で書かれていた。
「まさかの俺宛てっ!?」
間違いだと思っていた手紙がまさかの俺宛てだったことに驚きのあまり叫んでしまう。
そのせいで周りの人が「どうしたどうした?」とこちらを見ているに気が付き、咄嗟に手紙を隠したことでなんとかバレずに済み、「なんだ秋月お前か」といった様子で去って行った。
ふぅー、と安堵するのも束の間。俺は教室には向かわずに急いでトイレの個室へと入り手紙の中に入っている紙を取り出し内容を確認する。
そして手紙にはこう書かれていた。
『秋月宗助先輩へ
放課後、体育館裏に来て下さい。
待っています』
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