解毒と消毒
冒険者はルイーザの元へ案内されると傷口の確認を始める。
「随分雑だが毒が注入された部分と付近の血管を切ったお陰で体内に回っている毒の量は少ないだろう。が、このままだと死んでしまう。毒のサンプル、最悪蛇の頭でもいい、何か無いか?」
冒険者にそう言われ、もう一人の仲間がサンプルを採取して向かってきていると答えた響也の言葉を聞くと、鞄の中からゴムチューブを取り出し響也に右腕を縛るよう命じる。
響也は言われた通りルイーザの右肘関節をゴムチューブで縛り、付属していたバンドで固定する。一方冒険者は薬液をアンプルから注射器に移し替えており何時でも注入可能な状態にしていた。
「こいつは東大陸にいる『コブラ』って蛇の抗血清。このまま放って置いても死ぬだけだ。何もしないよりはマシだろ。」
と言って冒険者はルイーザの右腕に注射器を刺し注入を終えると、左手親指で注射痕を押さえつけながら右手を翳し始める。するとボヤっとした黄色い光が右手から発生し、左手と右手を交換するように光った右手でルイーザの右腕を数秒間押さえた後離す。
聞けばこの冒険者の能力は『活性化』らしく、本来なら数日掛かる物を瞬く間に終わらせるほど強力な物。ルイーザの腕には注射痕が見当たらず、毒を抜くために切った痕も気が付けば消えている。
「サンプルが届くまではこれで我慢してもらうしかない。それに『活性化』させた所で体全体が治った訳じゃない。」
冒険者にそう言われ、再びルイーザの体を観察すると、体の至る所に切り傷擦り傷は当たり前にあるが、それ以上に気づかなければいけなかったのは火傷である。ゴーレムの後ろに居たセルジュとは違い、キメラの炎を真面に浴びて無事でいられるはずがない。更には髪も所々焼けており、背中の中程まであった後ろ髪は首下十センチ程まで短くなっている。
「俺が作った軟膏だ。火傷部分に塗って置け、俺はこっちの嬢ちゃんを見る。」
冒険者は鞄の中から小瓶を響也に投げ渡すと未だ呼吸が落ち着かず全身が痙攣している様な動きをしているジョゼに近づく。唯でさえ燃費の悪い能力を三十分もの長時間続けて使用した事によりジョゼの体は限界を超えており、顔さえも青く痩せこけて見える程衰弱している。
ジョゼの異常を察知した冒険者は鞄からマスクにゴム管が繋がれた同じくゴム製の袋の様な物を取り出すと、ゴム管が繋がれたマスクを取りつけ袋部分を押し込んでは離してを繰り返す。この道具の正体は肺が痙攣を起こし真面な呼吸が出来なくなった時の強制的な呼吸器。ジョゼの顔が青っぽく見えたのはチアノーゼを起こし始めていた為である。
「すまないがそこの人。水をくれなないか?あと布と桶も。」
冒険者は近くに居る村人へ指示を始める。言われた者は勿論、言われてない村人もすぐさま走り出し水を取りに行く。
「軟膏が塗り終わったら鎧を外せ。ただし、服は脱がすな。」
指示は響也にも来る。見える範囲の部分に軟膏を塗り終わると、ルイーザが装備している鉄製のチェストプレートと金属プレート入りの布製腰巻を素早く外す。元々薄着な為ボロ布の纏っているだけの状態になる。
すると、服の上から水を掛ける様に冒険者に指示され、響也は村人の持って来た水桶の水をルイーザの全身に行き渡る様に掛ける。当たり前だが桶一杯の水では全然足りない為、村人が次々に持ってくる水を惜しみなく使用する。同時に、いつの間にかジョゼも肌着のみになっており、布を被せては水を掛けると言う行動を繰り返す冒険者。どうやらジョゼの体温も異常なまで上昇していたらしい。
因みに服の上から水を掛けると言うのは実際の火災現場でも行われる行為で、服を脱がす、或いは剥がそうとすると爛れてしまった肌が服に張り付き、服と一緒に剥がれてしまう場合がある為である。なお、火傷レベルが低い場合でも服がそのまま湿布代わりになる為無駄にはならない。
どれ程の時間が経ったのか、ジョゼの呼吸が落ち着いた頃ルイーザ共にベッドのある宿屋へ移動を開始する。宿屋のご主人にも水浸しになる事を伝え、残った治療は宿屋で行う事に。
「こっちの嬢ちゃんは体温も落ち着いた。体を拭いて新しい服を着せてやれ。」
響也にそう言うと冒険者はルイーザの容態を確認し始める。結論から言うとルイーザの火傷レベルは元の世界で言う所の一と二であり、殆どが赤くなる程度で済み、レベル二の部分もジョゼの能力のお陰で水疱はあまり破裂していない状態な為火傷部分は回復も早く済むそうだ。
一方体を拭いて服を着せろと言われた響也はたどたどしい態度を取っていた。同じ部屋に要る事でルイーザはガサツな姉、ジョゼは小動物的な妹の様な存在と思っていた物の、いざ対面すると照れが出てしまう。そんな響也をみた冒険者は「お前は医療行為を何だと思ってやがる!戦場で仲間が死にそうになった時も女だからと躊躇するのか!」と部屋の外まで聞こえる様な大声で怒鳴りつけ、邪魔と判断し響也を部屋から追い出すと一人で作業を進めて行く。今まで対面した事の無い状況に狼狽えていては助かる命も助からないと言うのがこの冒険者の考えだ。
それから十分後、扉が開き冒険者が部屋の中から響也を手招きし中へ入れると、椅子に座るよう命じる。
「お前達、ランクは何だ?」
「Dです。と言ってもつい最近上がったばかりで。」
「ランクDの四人でキメラを相手にするとは、勇敢と言うより無謀だな。」
響也の話を聞いて呆れ始める冒険者。
「俺はシャルル・モーリー。医療クラン『安息の日』に所属している。ここには触媒に使う金属を探しに来た。」
急な自己紹介に対し響也も返答する。
「俺は響也。一応『三日月』のリーダーをやってる者で・・・」
「お前がリーダー?!」
リーダーと言う言葉に反応しシャルルは再び大声を上げる。
「お前は人を何だと思ってるんだ!ランクDの癖にキメラに挑み、毒蛇の対策もしてない!こっちのお嬢ちゃんが痙攣起こしてる事にも気づかなかっただろ!よくそれでリーダーを名乗れるな!」
ヒートアップしたシャルルは止まる事無く響也へ次々と言葉を浴びせる。
「アレス族の子の右手の骨折が完全に治ってない事は知ってたのか?!知らないってなら仲間の様子を見られない奴だ!知ってたのなら、この状態でキメラを討伐しよう何て言う頭の愛でたい奴だ!」
キメラの討伐を持ち出したのはルイーザであり、到着までに自慢の回復力で治すと言っていたのだが、完全に治っておらず、その事さえもルイーザは心配させない様にと黙っていた。だからと言って全員を纏めるリーダーとして知って置かなければいけない部分である。
「この二人はまともに動ける状態じゃない。更に仲間一人が現場に残って毒のサンプルを集めてるんだろ?お前一人無傷で何をやってるんだ!」
セルジュはゴーレム越しとは言え熱風を浴びており、軽いやけどを起こしている。同じく無傷のジョゼは能力を使った下山で衰弱。唯一人何もしていないに等しいのがリーダーである響也のみ。ここで響也は初めて自分がその事に気づく。
「仲間であるお前に異常が無いか見張って貰う予定だったが、そんな事にも気づけないなら任せられん。毒のサンプルが届くまで外で待っていろ。」
言い捨てる様に扉を開け響也に外へ出るよう促すシャルル。当の響也はシャルルの言葉が胸に刺さり重い足取りで部屋を出て行く。
成り行き且つその場の雰囲気でリーダーとなっただけではあるが、今思い返せば物事を決める時には全て響也の了解を得ていた。ルイーザもジョゼも仮に近いがリーダーと言う立場の人間に対し筋の通る行動を行っている。それを思い出した響也の背中にクランのリーダーと言う重圧が今になり重く圧し掛かる。
今は亡き『鉄壁の盾』のピエールも常に周りを見つつメンバーに命令を投げかけており、最後の瞬間までリーダーを全うしていた。その一方で自分は命がけではあるが、周りのメンバーのお陰で無傷で済んでいる。これは仲間を守ると言うのもあるが、それ以上にリーダーを守ろうとした行動の結果である。
だがその時、響也の頭の中に一人の人間の姿が現れる。
「セルジュ!」
響也はすぐさま宿を飛び出すと先程までいた山を登りだす。今の自分に出来る事、それは落ち込む事ではなく前に進む事。これはルイーザの教えである。
セルジュが急いで下山していたとしても戦闘でのダメージや、急いだ故の切り傷擦り傷等で体力も消耗している筈である。ならば響也がすべき事は、山を昇りサンプルと言う名のバトンを受け取りすぐにシャルルの元へ持って行く事。
一時間程駆け足で登ると全身傷だらけで荷物とルイーザの大剣を担ぎながら木にもたれ荒い呼吸をしているセルジュを発見する。
「響也、来てくれたのか。すまないが僕はもう無理だ。」
セルジュはそう言って鞄にしまっていた瓶を取り出す。その瓶は毒が漏れない様皮で蓋をされ、麻糸で厳重に巻かれた物であり、例え逆さまにしたとしても一滴も漏れない様工夫されていた。
「セルジュありがとう。だがあと少しだけここで待ってて貰えるか?」
瓶を受け取りながら問いかけた響也に対し笑顔を見せ、早く行けと言わんばかりに手を前に出すセルジュ。響也は「すまない。」とだけ言うと鞄から取り出した火傷用軟膏を渡し、セルジュをその場に置いて下山を始める。
登りと違い、下りには重力と言う仲間がある為、村までは三十分程度で到着する事が出来た。響也は毒のサンプルをシャルルに渡すと、整っていない呼吸をしながら「消毒薬、アルコールをくれ!」と懇願する。
シャルルは一瞬何事かと驚いた表情をするが、鞄の中から木製の蓋をした細いガラス瓶を響也に手渡す。内容量は百ミリリットルと無い量ではあるが、今必要な分としては申し分ない。
響也は「ありがとう。」とだけ言うと、消毒薬とルイーザの大剣の鞘を手に再び山を登り始めた。ここまでずっと走り通しであったが、今は一秒でも早く到着したいと言う思いだけで体に疲労を感じる暇さえ与えなかった。
同じく一時間程経った頃、響也はセルジュの元へ到着する。セルジュは疲れ切っていた為、両腕にだけ軟膏を塗っており、入れ物を掴んだまま眠っていた。それを見た響也は一度セルジュの服を捲り胴体部分や足にやけどが無いかを調べ始める。
結論としては手を地面に付くと言うゴーレム召喚の体制の問題で、頭部と両腕のみ軽い火傷を負っておりその他の部分に火傷は見られなかった。しかし、切り傷と擦り傷は全身の至る所にあった為、響也は貰った消毒薬を布に染み込ませセルジュの傷に塗っていく。ここにきて水もあれば良かったと感じるが今更取りに帰るのは愚策である。顔にも軟膏を塗り、軟膏を塗りたくった腕には布を巻いて保護をする。
その他骨折や打ち身も無くセルジュの診断を済ませた響也はルイーザの大剣を鞘にしまい、普通とは逆に前側に剣を襷掛けし、全員の荷物を腰や腹、首に掛けるとセルジュをおんぶする形で背負い下山を開始する。幸いにもセルジュは呼吸も落ち着いており、疲労による睡眠状態になっている様だった。
陽も落ち暗くなり始めた頃に村へ到着し直ぐ様シャルルの元へ向かう響也。部屋の扉を乱暴気味に叩くと、音に反応したシャルルが扉を開く。
「すまないがこっちも見てくれ。」
とだけ言うと響也はその場に膝を付いてしまう。倒れそうになった所を支えたシャルルは、一先ずセルジュを支えながら響也をその場に寝かせ持ち上げる。部屋のベッドは既に二人が使用していた為、宿屋の女将にもう一部屋開けて貰い、そちらのベッドへと運ぶと診察を開始する。
両腕に巻かれた布を剥がし傷を確認するが、軟膏を塗った後に出来た傷は無く、布が完全に腕を守っていた事を確認。更に、軟膏が塗りたくってあった為、火傷の具合も悪化しておらず、一度拭き取り汚れた布を交換するだけで済む内容となっている。全身に出来た傷も消毒薬の染みた布で保護しており、簡易的な絆創膏になっていた。
これを見たシャルルは少し笑みを浮かべると、今度は響也の元へ行き装備を外しセルジュの隣のベッドへと寝かせる。
響也の両腕は走る際に動いて邪魔になる鞄を暴れない様に握りつつセルジュの両脚を支えていた為、手は肉刺が潰れ血が所々滲み出ていた。顔もセルジュに当たらない様枝を自分で受けていた為傷だらけになっており、脚もセルジュ以上の出血、足は潰れた肉刺や靴擦れの様な物で水疱内の水と血で染まった靴下を履いていた。
次の日、脚を襲う痛みで目が覚めた響也だが何故か体が一切動かず苦痛の叫びだけを上げる。その声に反応したシャルルは響也のベッドの横に立つと「気が付いたか。」と笑みを浮かべながら話しかける。
「皆は・・・?」
「お前の持って来たサンプルを使って抗血清を作った。アレス族とは言え今日一日は寝たきりだろうな。後は小さいお嬢さんなら起きて飯を食ってる、後で呼んで来よう。そしてお前が連れてきたテウト族の男だが・・・。」
そこまで言って一度会話を止めるシャルル。
「お前の処置のお陰で悪化はしていない。すぐにでも動けるが軽傷を負ってるから安静にする事を提案する。」
それを聞いて胸を撫で下ろす響也。
「どうしようもないリーダーだと感じたが、そうでもない様だ。仲間を助けたいと言う思いを忘れるなよ。だが、今回助かったのは俺が居たからだ。これに懲りたら無茶な任務は受けない事、あと仲間の変化に常に気を配る事だ。」
会話を終了したシャルルはベッドから離れ部屋の外へと出て行く。その数秒後に慌ただしい足音と共にジョゼが部屋に入って来る。
「キョーヤさん起きたんですね!心配しましたよ!」
少なくとも起きた直後の人間を相手にする声量ではない大きさで話しかけるジョゼ。その両手には先程まで齧っていたであろうパンが握られていた。
「お前にも迷惑かけたなジョゼ。所で何で俺動けないんだ?」
「私も詳しくは分かりませんが、ずっと走りっぱなしなのと、セルジュさんや荷物を持ってたので体が限界だったみたいです。」
分かりやすく言えば脱力と筋肉痛である。
「セルジュとルイーザの様子は?」
「二人共まだ寝てます。」
「起きてるよ。」
響也とジョゼの会話に参加するセルジュ。どうやら先程のジョゼの大声で目覚めたらしい。
「ルイーザが無事って事は解毒出来たって事かな?」
「はい!でも解毒じゃなくて・・・免疫が何とかって言ってました。」
「まぁ、助かったのなら何よりだ。あれだけのサンプルで足りるかは心配だったからね。」
実を言うと本来抗血清を作るには大量の毒と時間、そして動物が必要となるのだが、シャルルの能力により毒の使用量と時間を減らし、動物ではなくルイーザの体その物を使い精製した為、セルジュの用意した量で足りる事が出来た。先程シャルルが言っていた「助かったのは俺が居たから。」とはこの事である。
ルイーザの無事に安心したセルジュは体を起こすと自らの脚で立ち上がり体の状態をチェックし始める。両腕と顔はヒリヒリとした火傷の痛み、脚は筋肉痛に近い痛みが襲い彼の表情を歪ませる。
「流石に痛いな。でもあんな大型キメラとの戦闘でこの傷なら儲けものかも。」
腹が減っていたのか、セルジュはそう言うと部屋の外へ出て行き宿の食堂へと脚を進め、ジョゼも食べ残しがあると追いかける。
二人と入れ違いに再びシャルルが部屋に入り、ベッドの横に置いてあった椅子に腰を掛けると響也の目を見て少し笑みを浮かべた。
「お前達は随分信頼しているんだな。お前がリーダーらしくないと言った件は少し訂正しよう。だが、さっきも言ったが仲間の状態を把握してこそのリーダーと言う点は訂正しないぞ。」
急に何を言い出すのかと混乱気味の響也に対しシャルルは持っていた羊皮紙を読み上げる様な形で会話を進める。
「昨日も言ったが俺は医療クランの人間だ。それ故、各地に赴いては治療を行う毎日だ。つい先日王都の病院に顔を出した。その時に面白い話を聞いてな。」
彼の言う通り、医療クランは高度な医療技術を持った集団で医者上がりの冒険者と言うのが適切な存在である。故に各地の病院は医療ギルドに属している者も少なくなく、ギルドとクランで情報交換を行ったりもする。
「とあるクランの二人が瀕死の重傷を負ったが、アレス族と『黒髪』の二人に救出され一部欠損がある物の処置が早かった為一命を取り留めた。他にも緊急任務である大型トロールの討伐にて唯一死者を出さなかったクランが居た。だがそのクランを責める者は誰も居らず、寧ろそのクランのお陰で討伐が出来たと生き残ったクランが言っていた。そしてそのクランは僅か三人しか居ないが統率が取れており、全員が異なる種族であった。・・・これはお前達の事だな?」
自分達が行っていた事と一致しており、シャルルに言われて初めて自分のフードを外されている事に気づく響也。
「これは王都の病院で情報交換として貰った資料だ。お前の治療が終わった後にこの記述を見つけた。これも見て気になっていたんだが、アルコールや緊急処置の知識は何処で身に着けた?」
何処と言われ『日本』と答えても通じる筈も無く返答に迷った響也は言葉を濁しながら伝える事にする。
「何処とは言えないけど、俺の居た故郷です。」
「・・・そうか、まぁ言えないならそれで良い。詮索されるのも好ましくないだろう。」
そう言ってシャルルは部屋に置いてあった自分の鞄から小さな革製のポーチを取り出すと響也のベッドの横のテーブルに置いた。
「アルコールだ。これをお前達に渡そう。俺に医学を教えてくれた人の遠い祖先が黒髪に助けられた事があったらしくてな。ただ、俺も在庫が多い訳じゃないからこれだけで勘弁してほしい。」
ポーチの中にはセルジュ救出時に貰ったものと同じ百ミリリットル程のアルコールが入ったガラス瓶が二つ入っていた。渡すだけ渡し部屋から出て行ったシャルルの背中を見送りながら今になりアルコールの件の重大性に気づく響也。
この世界で初めて見た元の世界でも使用されている消毒薬。今まで消毒には抗菌作用のある薬草や軟膏のみで、液状の消毒薬を見た事が無い。つまり、一部の人間にしか知られていない消毒薬を知っていたと言う事にシャルルが疑問を抱いていたのだ。
更に言うと入れ物として使用されているのはガラス瓶。この世界の入れ物は陶器が殆どで、透明なガラスは窓にしか使用されていない。ガラス瓶があると言う事はガラス加工の技術を持った場所や人が居ると言う事。
逆に疑問が浮かんだ響也が質問しようとした所で、シャルルは既に部屋の外。追いかけられる体でも無く、また来るだろうと思った響也は深呼吸するともう一眠りする事にした。
「・・・足が痛てぇ」