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『禁忌』の影2


俺は爺さんとの食事後、また研究を続けさせられた。それは、それは長い研究だった。本当に役に立つのかさっぱりだが、爺さん本人が実験台になって体張ってるし、まあ手伝ってもいいかなって思わされる。

あの歳で、そのうえ責任者という立場で、よくも危険かもしれない魔法加工の謎調合物を飲めるもんだ。


人間ってのは、上のものが下のものをこき使うもんだと思うんだが、あの爺さんは違うらしい。


「上に立つ者として、それなりの覚悟を見せねばならんのじゃ」

ということだと。俺にはよく分からん。

まあ、そういう訳で本日の研究は暗くなるまで続いた。

気づけば、もう俺と爺さんしかいない。そろそろ帰るか。


「じゃあ、帰るぜ爺さん」

「一応気をつけるのじゃぞベリアル。夜間禁止令が出ておるからの。まあ、お主なら問題ないと思うが」

「まあ、大丈夫だよ爺さん。爺さんも気をつけるんだな」

「えっ、儂は別に大丈夫じゃが」




そう言葉を交わし爺さんと別れ外に出る。爺さんはあそこにそのまま住んでんのか……。まあ、そうだろうな。なんか納得だ。


俺は、少し進んだところで立ち止まった。そして、斜め上に向かって一人呟いた。


「それにしてもここは大分侵食されてるみたいだな」


まあ、実は一人じゃないんだけどな。家の陰、家の屋根、見えないところにこれでもかと言うほど、人が隠れている。そいつらに向けて言った言葉だ。

あまり、こいつらからはいい魔力を感じない。


こいつらが昨日の件と関わってるのは明白だ。

「出てこいよ、脛齧り野郎ども」


挑発すると、物陰や屋根から黒ローブが沢山出てくる。さっきまで一緒の建物にいた奴が結構いるはずなんだが、暗闇の中、集団で対面すると、すごい悪役っぽい。


俺にとってこいつらは見ず知らずの奴らではないのだ。



こいつらの中には爺さんのもとで研究する魔法使い見習いが含まれている。それも数人とかの単位じゃない。あの辛気臭い雰囲気は全てこいつらの所為だったのだ。俺はそれに気づいていた。



「その顔は俺たちのことに気づいていたようだな。いつ気づいたんだ? 魔法使い見習いベリアル」


目の前の屋根の上に立っている男が口を開いた。


「すぐに分かったぜ。悪どい奴らの魔力なんて本人が隠そうがすぐ分かる。人間は身体から魔力がダダ漏れだからな」

「お前は全く魔力が漏れてないがな、ベリアル。お陰で最初はただのカスかと思ったが、どうやら只者でないからこその芸当らしい」


珍しく俺の力量を見極めてる奴らしい。て、まあ研究で人間離れした魔法使ってるから馬鹿でも分かるか。


「しっかし、てめえら気に食わねえな。昨日の夜の件も爺さんの影に隠れてることもな」


「あのじじいが数年前来た時、とても便利だと思った。実際、私たちがここに潜むのにとても便利だった。そして、イレギュラーも重なってではあるが、計画を進めることができたのだ」


屋根の上で手を広げて大声を出す黒ローブ。


こいつ、どうやらいっちゃったやつらしい。

計画がどうこう言ってやがるのは、正直どうでもいい。こう言っちゃ悪いが人間風情の計画などこれっぽっちもこちらに影響しないからな。

でも、こいつらはなんかムカつく。


爺さんの好意を無下にしやがって。

て、別に爺さんのことを特別気にかけてるわけではないけど。

正直、ボコボコにして戦闘不能にしてやって構わないだろう。この街的にも爺さん的にも。


だから本当にそうしたいのは山々なんだけど……。

でも、あまり目立つことはしたくないのも本音なのだ。

ファイニールに目をつけられている可能性があるからな。あまり暴れたくはない。


まあ、いいか。まずは脅しだ。今すぐ目の前から消えないと本気で襲い掛かるぞっていうな。


「で、ひょっこり俺の前に出て来たってことは、死ぬ覚悟はできてんだよな? てめえらは地獄行き確定ばっかだって、雰囲気から分かるぜ。今すぐ俺の目の前から消えないと、戦うことになるぞ?」


さっきのあいつの台詞から、俺の実力は分かってるはず。

ならば、ここで手を引いてどっかに行く可能性はある。こいつらみたいなのを放置するのは胸糞悪いが、不利益を被る可能性があるから出来れば放置する方向で行きたい。


幸い今この街には、龍殺しがいる。今になって思えば、彼らはこいつらを倒すために来たのかもしれない。まあ、そうにしろ違うにしろ、人間のあいつらが倒すべきだろう。そして難なく倒せるはずだ。あいつら実力者揃いだから。こんな小物相手なら勝てるはずだ。



が、しかし。


俺のそんな慈悲深い考えなど知らず。

俺の発言に対して黒ローブたちは笑った。


くっ! こいつら俺を馬鹿にしてやがる。ピキッ!


「ちょっと才能があるからって、でしゃばったのが運の尽きだな、ベリアル。この数を前にその態度は流石に自惚れが過ぎると気づかないか? まあ、無理だろうな。お前は全く立場が分かってない。お前は今から問答無用で消されるんだ。俺たちによってな!」


そうかそうか。お前らも分かってない奴らのようだ。


龍殺しにやらせようかと思ったが、もういいや。

ファイニールに目をつけられて、いろいろ面倒なことになるかもしれないけど、もういいや。


返り討ちしてやるから覚悟しろよ悪党ども。




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