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夕暮れ時の海の繋がりは馬鹿まっしぐら  作者: 天気飴
第1章 傷心の回復
5/21

雪国トンネル

よる静かに考えようとすると、いざ記入しようとしたら何を書けばいいのか忘れてしまいます。


自分の頭の中が真っ白になって何記入すればいいんだっけ?と忘れてしまいます。


悪戦苦闘中です。

太陽二つのある世界、天気は快晴で天日干しにはもってこいとところだが、地面は辺り一面真っ白な雪国景色。今のところは周りには何もなくポツンと2人が黙々と歩いていた。先頭は真海生、その後ろにはノロノロとマイペースに動く優司がいた。


「雪が積もってて、足が濡れてるよー。まだ歩くのー?」


優司がズボンや靴下が濡れていることを不快に感じているが、真海生はそんなことは気にしてはいなかった。


「でも、冷たくないでしょ?へいきへいき!」


「それはそうだけどさぁ、もうパンツが濡れてて気持ち悪い。オネショしてるみたいだよ。」


「ゴロゴロしてたからでしょ。もー!」


真海生は雪だるまを作っていた最中、帽子や手袋を持っていくべきだったなぁと雪だるまの服になるものを探していた。


「んー、みつからない。」


「真海生、どこまで歩くの?」


優司は足先に積もっている雪を振り払うように歩いた。


「とりあえず、この雪から出ようよー。深くて深くて歩きにくい。あっちに木がたくさんあるよ。」


左手の人差し指を斜め前の方向に指した。


「ホントだ。じゃあ、そっちに行って枝とか集めようか!」


「...は〜い。」


自分自身で言ったが、子供にとっては結構な距離がある。優司は肩を落とすが、ここにずっと歩く方が嫌だという気持ちが強い。早く休みたい。その気持ちが一杯になり、急に走り始めた。


「うおおおぉ‼︎」


「わ!ゆ、優司!?そんなに走ったらこけちゃうよ!」


「うおお、お、おおあぷぅんブフッ‼︎」


雪の重みで足が引っかかり顔から突っ込むように倒れた。


「だーから言ったのに...」


うつ伏せに倒れた優司は動かない。


「優司?」


「......」


洸前(こうさき)くーん?」


彼の苗字を読んでみた。返事がない、ただの屍...ではなさそうだ。心配に真海生が近づこうとしたその時、優司が突然、がむしゃらに雪を掘り出し始めた。


「どうしたの!?」


突然、奇怪な動きをした少年を見た彼女はますます心配になる。


「ねぇ、変なところぶつけておかしくなったの!ねぇてば!」


----------------------------------------

「真海生たち、どこまで行ったんだろう?」


見回す限り、本当に雪だ。しかも辺り一面に存在している。


「久しぶりにみるなぁ。」


地面にある雪を手に取りじっくりと見つめる汐羅。手にとった雪が溶け出したところで、手でパンパンと振り払う。


「うーんと、あ...」


見つけたのは少年も少女でもない。雪だるまが3つに並んでいた。しかしどれも目も口もなく、ひょうたん型のようになっているだけの雪の塊だった。

大きさはそれぞれ異なり、優司、汐羅、真海生というような背の順に並べている。


「目や口を作るための材料を探してるのかな?」


雪だるま達の下を見ると名前が掘ってあった。やはり大きさの違いの理由は汐羅達を見立てたようだ。

名前の下にはみんなの顔が描かれていた。


「お、これは真海っちが描いたのかな?上手だなぁ。優司は...プフッ!絵までトボけてるのが伝わるよ...ハハッ」


思わず描かれた優司のトボけ顔に吹き出す汐羅。隣に汐羅の顔がある。真海生と優司が描いたのだろう。顔は真海生が丁寧に描いていて、特徴的なベールは優司が描いているが、ベールがいい加減だった。

そのうえ鬼の角が描かれていた。


「あんにゃろう...」


汐羅は尻が地面につかないようにゆっくりとしゃがみ、小さな細い指で優司の顔を改造した。不敵な笑みで...


「頭にタンポポと十円ハゲも付け加えて...と。はなたれ小僧も悪くないな。よし!吹き出し作ろう。」


吹き出しには『アピャー、ちょうちょwwちょうちょwww』と書いた。少女は何かを成し遂げたように清々しい笑顔であった。

描き終わった汐羅は、スッと立ち上がる。


「よし、2人の足跡を辿って探すか。」


汐羅は軽くジャンプをした後、宙に浮き出し始めた。15メートルまで高く飛んで見回すと自分より高い遮蔽物があるのは左手に遠い所に大きな山があった。その他に目立ったところはない。


「人がいるような気配がないなぁ〜。2人はどこまで歩いて行ったんだ?」


汐羅は2人を探すため、宙を浮きながら足跡を辿り始めた。その際、ベールの上から頭をさする。


「僕は頭にツノなんか生えてないっつーの!」


ムスッとした顔で2人を探し続ける。

しかし、深呼吸して集中を研ぎ澄ますが気配は真海生と優司の心の声しか聞こえない。

明確の場所まではわからないが、近くなると心の声が強くなるのは汐羅の経験上間違いないようである。


「それにしても人がいないなんて初めてかも。真海生達と一緒に見てきたけど、こんなにも人がいないと思うとかえって不気味だね〜」


2人の距離が近くなるごとにある少女の声が強く聞こえ始める。真海生だ。


(優司!優司!返事してよ!)


少女の焦燥感がヒシヒシと伝わる。何があったのかと汐羅は一瞬驚いたが、心を読み真海生から観た視界に入ると優司が雪に埋められているように見えたが、どうやら自ら掘っているようだ。優司は体の半分以上も埋もれて足先が天井に向けている状態だった。


「なーにやってんだか...」


呆れた汐羅だったが、真海生の心には焦燥と同時に不安も伝わっていた。心配になった汐羅はスピードをあげようとしたが、すぐに2人の姿が見つかった。真海生の心から見た通り優司が雪を掘り続けていた。

真海生は優司の横に人の形をした影が現れたことに気づいて空を見上げると見知った雪のように白い肌の少女がいた。


「汐羅ちゃん!」


「や、やあ...どしたの?彼?」


少し恥ずかしそうに挨拶をする汐羅。


「優ちゃんがね...」


「待って、心で読んだ方が理解が早いから」


真海生の心はこのようになる。

優司が沢山の木を見つけて急に大声をあげて走り出す。

コケる。

急に掘り始める。……以上。


「...ごめん、口で説明してくれる?」


「多分、口で説明しても同じだと思う」


あまりの急なことで事態を飲み込むことができない2人。優司はそれを知るよしもなく掘り続けていた。すると、少年の足がバタバタと激しく動き出したと思ったら、吸い込まれるように消えた。見ると優司の掘った所には誰かが作ったかのようにしか思えない鉄製のような物でできた階段が現れた。


「おーい!真海生!階段があったよ!かいだーん!」


「優司ー!大丈夫!?」


真海生が大声で叫ぶ。中はトンネル内のように薄暗く今にも何か出てきそうだ。すぐに返事がきた。


「ダイジョーブ!急に落ちたからビックリしたけど大したことないよ。ってあれ?汐羅だ!」


「何やってんの?」


頭の上に雪が積もっている姿をした優司は首を右手でさする仕草をする。

汐羅は手を腰に当てて少年の仕草をじっと見つめる。


「穴掘ってた」


「うん、知ってる。掘ってる際中に真海生が何度も声をかけてたのに返事一つしなかったよね。心配してたからね。」


「え!?汐羅が!?」


「うん、まぁ僕も心配してたよ。でも、主語を意識してねー。真海生だよー」


「はーい、っいててて!ほっぺたつねらないでよー真海生!」


真海生が真面目な顔で優司の頰をつねりながら、優司の耳元で声をあげる。


「バカ!あなたの耳はシャッターでもできてるの?難聴男!」


「難聴って?何?あいたた...」


「耳が悪いことだよ!」


真海生は自身のつねっていない方の手で自分の耳をトントンとあてる。

その後、優司がヒトの話を聞かないことに真海生は叱る。


「そもそもアンタはすぐに人の話を忘れちゃうのに、話も聞かなかったら余計面倒なんだよ!?そんなんじゃ大人になったら大変な目にあうってセリダおばちゃんが言ってたよ!」


「あ、おばちゃん言った」


「そこはちゃんと聞き取れるのにね〜」


「ごめんなさい〜」


先ほどより強くグリグリと頰をつねる。

その光景をもはや様式美だなとクスクスと笑っていた。


「さ、2人ともこれからどうするの〜?」


急に仕切り始める汐羅。歳を考えると汐羅が1番年上のため、自然とそうなっていた。

2人は絡むのをやめて、すぐに優司が手を挙げた。


「せっかくだから入ろうよ!」

------------------------------------------

階段から降りると真っ白な空間とは正反対で奥に進むほど真っ黒になっていた。

歩いて10分階段から降りた場所からだいぶ離れて光すらも見えなくなる。


「暗いね〜」


汐羅が先頭で歩きながら2人に声をかけるとトンネル内のため、声がよく響く。

トンネルの高さは成人男性くらいの身長の2人分、幅は汐羅達3人が横に列を並べるとぎゅうぎゅうになる程狭い。そのため、縦に並んで歩いている。


「なんか後ろに何か来そう」


1番後ろの優司が呟く。中心に並ぶ真海生は、ビクビクしながら歩く。恐る恐ると後ろを振り返る真海生。


「うそ...何か来るの?」


「そんな感じがするねってことだよ?」


「もう!驚かさないでよ」


「あ、痛!僕の踵をぶつけないでよ!真海生!」


「汐羅ちゃん!ごめんね!」


汐羅は後ろを振り向くが、何も見えない。

しかし、心を読むことで2人の場所がどこにいるかは大体は感じ取れる。真海生はいま汐羅に手を合わせて謝っていた。優司は真っ黒なことを利用して、両腕を上げて手首を左右にヒラヒラとひねりながらよくわからない踊りをしていた。


「んー暗いなぁ。そろそろ、使うか」


「ズンドコズンドコ...ん?何を」


優司は踊りを止めて汐羅が何かすることに興味を持つ。


「明かりをつけるんだよ。松明の代わりさ」


汐羅はそう言って掌を上にあげる。すると、掌の上に彼女の手のサイズと同じくらいの火が現れた。


「うわ!小さいのに、すごく明るいや。ていうか眩しい!」


「汐羅。それくらいのことなら私に任せて良いのに、練習したいし……」


汐羅は「そう?」といってだしていた手を握りつぶすように火を消した。今度は真海生が両手から火を出した。


「どうかな?汐羅?」


「上出来!上出来!」


汐羅が出した火と比較すると暗いが8歳の少女が魔法を出せること自体凄い逸材だとセリダから太鼓判を押されている。それでも、真海生は少しコントロールが慣れてないことに気にしているため、汐羅やセリダに魔法を教えてもらっている。

今は全ての属性の中級魔法は扱える魔法高等学校と対決すればいい勝負になると言っても過言ではない。これもセリダが発言していた。

汐羅は闇専門のため、他は日常生活並の技量しかない。格闘経験はないが、闇魔法によって戦闘を補っている。


「いいなぁ、僕にも教えてよ。汐羅」


「駄目」


「何でさー?」


ブーブーと文句言う汐羅は「えい!」と優司に軽くチョップをくらわせた。痛くない。


「優司は使わなくてもいいからだよ」


「どうして?」


「...どうしてって、君の世界は『でんき』や『くるま』、『ひこうき』って奴があるじゃないか。魔法は必要ないよ」


汐羅達の住む世界は日常生活が魔法と共に過している。魔法の発展が強いが、機械という文化には全くの無縁である。

優司の世界では体内に魔法回路や源は存在しているが、それらが使われることもなく、時代と共に薄れてしまった。使える人はもういないといっていい。

セリダは前に優司にその事を教えたが理解してもらうのに苦労したようだ。彼は物覚えも悪いほうである。


「じゃあ、何で真海生は僕と同じ世界の人間なのに魔法を使ってるの?」


「ウグッ!そ、それは...」


6歳の少年の質問とは思えない、鋭い質問に戸惑う汐羅。何でこういう時に限って鋭いのだろうか。彼の心を読んでも突然、頭の回転が速くなる事に驚かされる。速くなったり、遅くなったりしてよくわからないな子供だなと汐羅は心の中でため息をつく。


「刃物を人に向けちゃダメってお母さんに言われなかった?魔法もそれと同じなんだよ。家事で使うことが多いからね。優司も家事の手伝いしたいの?」


真海生が優司に説得するしているつもりだが、そんなんで納得するのかなと汐羅は突っ込もうと...


「うわぁ...ヤダめんどくさい。覚えなくていいや」


納得した。「いいのかよ...」と本音を漏らした。


真海生が火を扱いながら歩いて15分経つ。やや疲れていながらも火が小さくなることもなかった。周りの風景が全く変わらず、金属のような家庭にも見られる小さなボルトがところどころ壁に締めてあった。

優司は暇で歩きながらボルトを一つずつ指で軽く突き始める。


「トン、トン、ぴょん。トン、トン、ぴょん。トン、トン、ぴょん...あれ?」


リズムよく突いていた時、壁に何やら赤いボタンを見つけた。ボタンには日本語で『押すなよ!絶対に押すなよ!』と書かれている。

優司は周りを見る。真海生は気づいていないが、すぐに気づいたのは汐羅だった。優司の危ない好奇心がくすぐられていることに気づいたのだ。


「優司...」


「わかってる。汐羅」


「いや、わかってない」


「このボタンが押せって言ってる」


「機械に心はないよ」


汐羅の台詞だと映画であれば切ないシーンになりそうだ。ボタンを除けば...

なんとかこらえてボタンを押すのを我慢してくれた。汐羅達は優司に近づく。


「もー、危ないことはしないでよ。さ、行こう」


「...うん」


汐羅は優司と手を繋いだ。汐羅の手はとても暖かく柔らかな感触だった。

優司は少し恥ずかしいようだ。なんでだろう?心を読んでも本人にもわからないようだ。

とりあえず前に進もうと、歩き始めたその時...


リリリリリリリリリリリリリ!!


何かのアラームが鳴り始めた。その後すぐに地響きを立ててトンネル内全体が揺れ始める。しかし、すぐに治った。


「びっくりしたー。何だったんだろうね〜?汐羅?」


少し不安を感じた優司は汐羅に問いかけた。

だが、汐羅は黙って後ろを振り向いていた。

優司も後ろを振り向く。そこには、赤いボタンを押しっぱなしをしている見慣れた少女が、顔を赤くしてこちらを見ていた。


「「な〜にやってんの?この子...」」


2人は仏頂面で真海生を見つめた。


「ごめん、つい...」


汐羅は今度からは一つの意識に集中し過ぎないように気をつけようと心に誓った。

少し長く書いてしまいました。


ゆっくり、気ままに書きますのでよろしくお願いいたします!



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