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夕暮れ時の海の繋がりは馬鹿まっしぐら  作者: 天気飴
第1章 傷心の回復
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円をなぞるその謎は-2

優司の苗字が決まりました!

洸前(こうさき)優司(ゆうし)


「洸」は自分のこころを磨いて「前」に成長してほしいと思い名付けました。


「行ったわね...」


 セリダは2人が見えなくなると、指を鳴らして円を閉ざした。円を閉じる際は念じることも可能だが、本に書いてあった通りに行った方が良いのではないかなと思っている。


 セリダは『円の力は無限なり』の内容を思い出していた。中身は覚えている限りこのようになっていた。


『サルでもできる転移魔法!重いものでも大丈夫!』


『円を使って切ってみよう!これでどんな硬いものでもラクチンじゃよ!』


『これができれば家賃が無料!光と火、雷を簡単にマスター!やったね!』


『これを使えば外出時にどんな環境でも安心だ!健康な身体が保てるよー』


『防犯カメラにも使えます。円の中から攻撃だ!でも、先に警察に電話することが大事だよ。』


 思い出せば出すほど、この作者はいい加減なタイトルを作っている。

  セリダはこの本を作った人のネーミングセンスを気にするも実用性はかなり高いのは事実だと認めていた。以前、円の力を確認する時レンガを円の中に挿入してそのまま閉ざすとレンガの断片が綺麗に割れていた。セリダが初めて使用したのは戦闘中のことで相手の結界を豆腐のように切断するのをみた時は敵はもちろん、自分自身も驚いていた。結界の強さは正確なところまではわからないが、人間が作り出す核兵器を何度もぶつけてもキズ一つつけらないような魔力の塊の筈だった。相手も相手で化け物じみているが...


「ホント、恐ろしい能力ね...これは。」


  目次の内容はおかしいが、質の方は完璧と言っていいほどのものである。中には記憶を消す方法、目に見えるもの以外でも可能で相手の魔力の回路を断ち切らせて無力化または悪化させて身体を破壊することもできる。しかも、1番恐ろしいのはあの本その物だ。


  なにせ読むだけで技を覚えることができるからだ。


  本来、魔法を覚えるにはまず魔法の文字を書き写した後にイメージを強く描いてから魔法を放つこと。

 そうして初めて発動する。『円』の本のように相手に作者自身のイメージをそのまま送るという似た本はあるが、大抵はイメージを送っても結局読んだ本人が自力で練習せねば発動しない。しかし円の本を読んだ後、まるで最初から自分が編み出したように簡単に発動した。

 セリダの経験上、他の本は必ずと言っていいほど最初は失敗することが多い。なぜなら、相手のイメージを送られても自分自身が心の底から納得して初めて発動する。だが、あの本を使用しても失敗することが一度もなかった。ますます知れば知るほどあの本の原理がわからない。


「自分で発動しても自分のものでない。変な感じね。」


「ホントそうだよね〜、僕もその能力を使ってみたいなぁと思ってたのに、楽ちんそうだったのに...まさか酒こぼして濡れたら本の効果が切れるなんてね。普通の本はそんなことないのにね〜。」


 セリダの下から突然少女の声が聞こえた。

 それは綺麗な灰色の瞳。

 毛先は灰色、頭頂部は紫色のグラデーションカラーのまっすぐな長い髪の上に白いベールを被っている。 よく見るとそのベールには花の刺繍が施されている。身長は優司より高いが真海生には負ける。おそらく130センチメートルと思われる。愛らしい童女の顔をしているが、セリダは彼女の歳を知っている。


「あなた、いつからいたの?汐羅(きよら)。」


「ついさっきだよ。円を閉じるときにね〜。」


 口調がおっとりしていてなんとも愛くるしい顔でニコッと八重歯をセリダに見せる。


「それで、優司と真海生は?今度はどこに行ったの?」


「寒いのが苦手なあなたにはオススメしないわよ。」


 その話を聞いた途端、汐羅は自身の身体をさすったりしながらしけた顔を作った。


「うわぁ...寒いのはやだなぁ...でもなぁ」


「二人に会いたいの?」


「ち、違うし!そ、そのアレだから!真海生達が持ってたどら焼きとかが食べたいなぁ〜って思ってただけだし!」


 さっきまでの表情が一転、赤く染まっていた。


「あなた、いつから青だぬきポジションに変わったのよ。」


「うっさい。」


 からかわれたのが不愉快だったのかふてくされた顔になった。


「あなたって、歳のわりには反応が子供よね。」


「あんたと違って、住んでた環境が違うからね。おばさん。」


 突然セリダから放つ殺気が伝わり、距離を取ろうとした瞬間、頰に何かにひっかけられた感じがあった。後ろを振り向くと古い機関車の煙突の先端の部分が欠けていた。


「あんたの方が十分子供だよ!殺す気!?」


 青ざめた汐羅はすぐに怒鳴った。おっとりした口調が消えていた。


「怒らせたあなたが悪いのよ。」


 セリダは右手の中指に力を込めてデコピンの形を作る。先ほどの能力も円の力を飛ばしたものである。切断系を作ることも打撃系に変えることも可能である。つまり、どんな形にも変化することもできる。さらに1番厄介なのは...


「ほんとそれやめてよね!!くるとわかっても見えないし、早すぎるし...なによりその魔法は自分でイメージしなくても自動的に発動するから怖いよ!」


 ため息をする汐羅は彼女はもう怒ってない事に気づいて近づく。


「悪かったって、でも歳のこと気にすると逆に老けちゃうよ?」


「言われなくてもわかってるわ。」


「信じられないね。」


 汐羅は紅蓮のような服装をしてるが服装がぶかぶかで指をさしても袖余りで手が見えない。


「あんた、おばさんって言った相手を叩きのめした数覚えてる?」


「10人ね。」


 汐羅はセリダの全身をじっくりと見続けた。


「......57人。しかも名前を今でも覚えてるなんて、どんだけ根に持つタイプなの?」


「あなたまた心読んだわね。」


「そういう種族だもんね〜」


 セリダは呆れたと言い放ちため息を作る。

 汐羅は心を読む種族の生き残りであるが、詳しいことはわかっていない。

 たまたま円の練習をしていた時に出会い、そのままセリダの家に居候している。

 掃除や洗濯物など家事全般をするよう務めているようだが、面倒臭がりでいつも真海生がサポートしている。その結果、真海生が飲み込みが早すぎるせいで彼女が家事全般にやっている。仕事をとられた汐羅は大いに喜んでいた。


「おっと、またアレだそうとしないでよ。アレはもう無意識と同じぐらいのやつなんだからね。」


 また心を読まれたわ。セリダは右手を挙げようとしたがすぐに下ろした。


「わかったわ、くれぐれも『お』からつく言葉はやめなさいね。」


『お』からつく言葉は沢山ありすぎて困るんだけど、と汐羅は言おうとしたが止める。

 これ以上、話すのも面倒臭いからだ。


「はーい、それじゃあ僕も彼らのところに行っていい?暇だから。」


「はいはい、護衛お願いしますね〜。汐羅さん。」


 セリダは少しくだけた調子で話す。指をなぞり円が再び現れる。


「それじゃあ行ってらっしゃい。」


「いってきまーす。...ちょっと待って!」


 汐羅が円に入ろうとしたが、円の外から冷たい風が伝わる。その直前に止まり背後にいるセリダの方に振り向く。


「僕にもアレをかけてよ!アレ。」


 アレとは真海生たちの額を当てた円の魔法のことである。アレはどんな環境でも自身の肉体を守ることができる。それだけでなく、外部からの異常な物質を無効化にすることもできる。よって、元の世界に戻っても違う世界からのウィルスや細菌などを感染することなく。それそのものを消滅することができるということがわかったセリダはその魔法について研究を進めている。ちなみに効力時間はかけた本人自身が決められる。


「あら、ごめんなさいね。忘れてたわ。」


 セリダは汐羅の額をあてると汐羅も二人のように一瞬光りだした。


「ありがと。んじゃ、いってくる。」


 ぶかぶかの袖をヒラヒラさせて円の中に入っていった。


汐羅(きよら)に苗字はありません。

その理由はまだ先になると思います。

しかし、このペースで続けられるか、心配ですが無理しない程度で行います。読んでくれる方ものんびりしてくれれば幸いです。


よろしくお願いします!




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