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門番さ~ん!が3人いる‥‥、1人目のヒムロさんに4人目のヨイチさんと6人目のムトウさんだ。警備強化によるスリーマンセル制ですか?まさか凶悪犯が脱走したとか?え、心配していたのはアイツらだけじゃないって?もしかしてお三方もあらぬ妄想をされているんじゃ‥‥やっぱり‥‥、他称7歳に乾杯(涙)!
朝は差し入れをありがとう。もの凄く美味しくて、気付いたらなくなっていたって。家族にも食べさせてあげたいので、何処で売っているのか教えてもらえないだろうか?と来た。まあ、あれだけ気軽に差し入れしてたらそうなるわな。う~ん、向こうからしたら私が持っている時点で買えないものだとは思っていないだろうし、これは弱ったなぁ。
あの‥‥、実はですね‥‥、ココだけの話なんですが、神出鬼没の謎のお店が露店街にありまして‥‥、今までのも偶然見つけたときに購入していたものなんですよ。なので私にもわからないんです。お役に立てず申し訳ありません、ペコリ。また見つけることが出来たら買っておきますので、今日はこれにて失礼致します!
「見苦しいまでの行き当たりばったりな作り話だったけど、あんなこと言っちゃって大丈夫なの?」
「ふ、ふんっ、ならば嘘を誠にすればいいまでのことよっ!」
「イトちゃんはデマカセを有言実行しちゃうから手に負えないんだよ‥‥」
「そこがいいんじゃないか。その折は、私も協力は惜しまないからね!」
「嘘を誠にか‥‥、俺も一枚噛ませてもらうぞ」
「そのお言葉を待っておりました。勿論こちらは大歓迎ですよ!全員一丸となって解決策を考えましょうね!」
「あわよくば丸投げの間違いでしょ?」
「オビト君なら気付いてくれると思っていたんだな。そこまでわかってるんだったら助けておくれよっ!」
「「「もはや不動の無計画性‥‥」」」
いやぁ、えがった、えがった!これで今夜も枕を高くしてぐっすり眠れるってもんよ!
スキップしながら城下町を闊歩する。心なしか城下町が賑やかに感じるぜ!欲しかったものは全部手に入ったし、悩み事も何とかなりそうだし、後は美味しい晩ご飯を食べて寝るだけだなんてぼかぁ幸せだなぁ。「前っ!」「むぎゃっ!?」あいたぁ~!くないや‥‥。思いっ切り強打したであろう鼻を押さえながら顔を上げると、目の前に冒険者っぽい男の人がいた。
おかしいな、一瞬前まで誰もいなかったはずなのに‥‥。周りを見渡して納得した。この人が脇道から飛び出して来たからぶつかったんだと。
「前見て歩けや、クソ餓鬼が」
「‥‥すみませんでした」
「あぁん?」
確認もせずに飛び出して来る方もどうかと思ったが、結果としてぶつかったこちらに非があるので素直に謝る。てゆうか、いつの時代のヤンチャ坊主だよ。大人げなさ過ぎる対応にちょっとカチンと来たぞ?
ふぅ、今日はトコトン喧嘩に縁があるみたいだ。売られた喧嘩を買わぬは武士の恥!指ポキしながら(鳴らないけど)メンチを切‥‥ろうとしたら慌てて逃げて行った。けっ、こんなか弱くて可憐な乙女に恐れをなしやがって!と思ったら、私の両肩にタクマさんとエジムさんの手が乗せられていた。あ、さいですか‥‥ちぇっ。
幸せ気分を満喫していたのに台無しだよ。なんとなく男の人が出て来た脇道に視線を投げた。街灯もない夕暮れの路地裏、高性能・超望遠を誇るイト目を以てしても、蠢く人影を辛うじて捉えることが出来ただけだった。何だってこんな暗い所で密談なんぞするかね?怪しい匂いがプンプンしまくりだっちゅ~の!
「イト、どうしたの?」
気のせいかもしれないが、影が1つ身動ぎこちらを見た気がした。そして闇に紛れ消える‥‥。
こんな如何にもな場面に遭遇しちゃうだなんて運がいいんだか悪いんだか‥‥、俄然楽しくなって参りましたなぁ!私の第六感が囁いておるのだ。目眩く陰謀の気配を感じるのに、そこはかとなく小物臭がすると。あれ?時代劇の見過ぎかしら?
「エジム、わかるか?」
「見覚えがある。多分、ランク3の俺達最強伝説だな」
「「「ぶっ!」」」
「惜しい!私としては、あともう一捻り欲しかった!ナメんなよ、とか紅に染まる、とか夜露死苦なんてのを織り交ぜてですね」
「オビト、絶対に目を離すなよ」
「勿論です」
「うん、その瞬間に全てが終わっちゃうからね」
「‥‥百も承知」
「イトちゃんの唯一の弱点かもしれないな。でも、その弱点がまたいい味を「出してませんから」‥‥」
残念ながら候補は既に出揃っているのだよ、悪しからず!後は厳選なる審査を行い、投票によって決定させるのみ。まあ、投票者は1名ですけど!
話は戻るが、どうやら素行の悪さが問題になっているパーティーの一員だったらしい。ぶつかって骨が折れた~なんていう典型的なやつで小銭をチョロまかしたり、後ろ暗いことや不正・不貞の証拠を見つけては恐喝して儲けたり。
通信技術が発達していないおかげで、それらの悪事は白日の下に晒され、人の目から逃れることが全然出来ていないとのこと。てな訳で、めでたく冒険者ジャーナリストのエジム耳に全て入話される運びとなる無限ループになっちまうようだ。すんばらしいシステムだな。これは是非とも私の情報網にも活用せねば!
ブランド豚達による夢の饗宴、魅惑のメニューが目白押しだオータムフェアー☆と来れば、思い付く限りの豚肉料理を洗い出す作業から取り掛かる。ギュシとの合い挽き肉も含め、今まで作ったものだと豚汁・照り焼き・カレー・生姜焼き・豚カツ・ゴボウ巻き・ハンバーグ・メンチカツ・ピーマンの肉詰め・野菜の肉巻きってところか。
これぞ豚肉!ってのは照り焼きと生姜焼きと豚カツ位。前回の生姜焼きはトング肉だったからオーガ肉で作るとして、豚カツはカツ丼にしちゃおうかな。他には角煮・お好み焼き・肉じゃが・開花丼・中華丼・餃子・焼売・肉まん・肉団子・回鍋肉・酢豚・肉豆腐・麻婆豆腐・豚しゃぶ・白菜と豚バラのミルフィーユ鍋等の鍋物・豚バラ大根等の煮物・豚キムチやゴーヤチャンプル等の各種炒め物・ミートソース・ロールキャベツ・スペアリブ・ポークチャップ・ポークソテー・ポークピカタ、まだまだたくさんあるけどこれだけでも十分悩むな。
昔は牛肉で作っていたものがBSE問題があったせいで、豚肉で代用することが増えたんだって隣のオバちゃんから聞いたことがある。肉じゃがも私は普通に豚肉で作っていたけど、本来は牛肉で作るのが当たり前だったそうだ。思い込みに囚われず創作すれば、際限なく増える一方かもね。
残っても嬉しい時間短縮が可能な煮込み物を多めに、そこに皆でワイワイと食べられる鉄板物と鍋物で‥‥と最終的に選んだ献立は、豚汁・カレー・生姜焼き・カツ丼・角煮・お好み焼き・回鍋肉・白菜と豚バラのミルフィーユ鍋。
そうと決まれば、クワ太に手を突っ込み初解体開始!オーガ3匹を肩・肩ロース・ロース・ヒレ・バラ・もも・そとももの7つの部位に解体、それぞれ煮込み・ソテー・揚げ物・煮物・炒め物等に適した料理へと使用する。
「へ、へ、へっぷしょいぃ!」くしゃみが出た‥‥、しかも可愛さなんて微塵もないやつが。どうせなら「へぷち!」とか「くしゅん!」とかが良かったですたい‥‥。まあいいや、空豆様出ておいでませ!呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん♪って出て来てくれるオビトじゃない大魔王様が、クワ太に棲み着いててくれてたらいいのにな。
現れた空豆様で、まずは回鍋肉に欠かせない豆板醤から作ります!空豆をサヤから外して茹でる‥‥くぅ~、このまま加工せずに食べたい!のを我慢出来ず、塩をパラリで摘まみ食い。っ!?もぎたて新鮮うんめぇ~!
そこへニョキニョキっと背後から飛び出した4本の腕と凛々しい鼻面、そこに佇む愛くるしいスライムボディーが視界に飛び込んだ‥‥。その後(ぽとんっx4+ぽいっx2)x3‥‥もう1回茹でるか。
皮を取った空豆を熱いうちに潰して冷めたら、塩・米麹・味噌と唐辛子を『粉砕』させたものと一緒に混ぜ『清浄』した調味料瓶へ。助促さん、半年だから30分‥‥あっ、助促さんで思い出した!クワ太から魔石(透明)2つと助促さんをもう1枚を取り出し『合成』。初めまして、改めてこれからも宜しくね助促さん改達!
豚汁・カレー・豚カツは以前と同様に、カツ丼は豚カツ・玉葱・めんつゆ・卵でカツ煮を作っておき、それらと仕込みまで済ませた生姜焼きはクワ太へ。
角煮は大ぶりに切ったオーガバラ肉にこんがり焼き目を付けたあと脂を切り、水・料理酒・生姜・ニンニク・長葱と一緒に水から煮込む。弱火でコトコトのところを助促さんで「ぱんっ!」、菜箸をグサっと刺せばホロホロっと崩れる程の柔らかさ。さらに別の鍋で半熟ゆで卵も作っておく。醤油・黒砂糖を加えて「ぱっ!」、ゆで卵を入れて軽く煮込んで完成。
味見しようとしたが、狩人達が虎視眈々と狙っていたのでタレの味だけに留め、涙を呑んで断念する。私の角煮ちゃん達、たくさん味見してあげたかったのに出来なくてごめんよ‥‥。
白菜と豚バラのミルフィーユ鍋を用意して、これは食卓で火に掛けることにする。お好み焼きと回鍋肉は必要な食材を準備して、鉄板ですぐ焼けるようにしておいた。
炭酸飲料が少なくなってきたのでジュースと一緒に量産する。そういえば、ワインはあと何本だったっけ?ん~、13本か。明日ワトヤさんのお宅へお邪魔するから、これも手土産分を増やしておくか。そうだ!奥様もいらっしゃるだろうから、女性向けのお酒も造っとこ。
取り出した林檎を助促さんで数分。熟成させたら水洗いして『圧搾』、それを再度助促さんに入れて確認しながら発酵させる。表面に浮き出た茶褐色に変色した林檎の果肉を取り除き、果汁のみをさらに助促さんで発酵・熟成させること約15分(約3ヶ月)。シードルの出来上がり!飲むのは流石に拙いから、スプーンで掬ってぺろっとな。おぉっ!甘くてシュワっとしててとってもフルーティー♪いいと思います!
「イトちゃん、それってジュースなの?」
「いいえ、お酒ですよ。ワインよりはアルコール度数が低くて甘いので、どちらかというと女性に人気があると思います。飲んでみますか?」
「うん!ありがとう」
「私にも味見させておくれ」
「はいはい、1杯だけですよ。タクマさんも飲みますよね?」
「勿論だ」
『姉上、儂も飲みたいのだ』
『コハもー』
「子供はダメ!」
『では幾つであれば大人となるのだ?』
「お酒と煙草は二十歳からってのが世間一般的な常識だよ」
「中々興味深いね、イトの世界ではそうなんだ。アラミタだとお酒は13歳から飲んでいいんだよ」
ま、マジで‥‥!?それじゃあ私も飲んでいいってことじゃないか!よっしゃあ!!
「でも、イトは止めといた方がいいんじゃないかな?」
「えっ、な、何で!?」
「多分だけど、この世界のお酒は果物が少ないせいで凄く薄かったでしょ?イトが言うところのアルコールっていうのが人体に悪影響を及ぼすとしたら、それが殆どないから良しとされているんだと思うよ。実際に酔っ払う人もいないし」
ふぅん、アルコール度数1%未満の子供用シャンパンみたいなものか。確かにアルコール度数だけで考えたら、ワインよりそっちの方が近いかもしれないな。
「もう背が伸びなくてもいいんだったら飲めば?ああ、成長はもう止まってるんだっけ?ごめん、余計なお世話だったね」
「ぐぬぬぅ、こっからゴボウ抜きする予定なんだよっ!私の成長期はこれからだもん!誰が酒なんぞ飲むかってんだ、べらんめえ!」
「俺も、成長が止まるまで飲むつもりはないけどね。まあ期待しないで抜かれる日を待ってるよ」
「ちっくしょお~!!私だって好き好んでチビに産まれたんじゃないやい!知らないだろうが、チビにはチビの良さってもんがあるんだぞ!オビトのバ~カ、のっぽ、おたんこなす!」
『‥‥コハ、のまない』
『儂も父上を超えるまでは我慢しよう』
「「「反面教師としては最高の人材‥‥」」」
こ、こうなったら『変身』して目に物見せてやっからな!バタバタっと隣の部屋へ駆け込み、ズボンからワンピースに着替える。しゃき~ん!付与宝石を装・着。うぅ、心臓がバクバクでドキドキだ。やるぞ?本当にやっちゃうぞ?細くなって高くなれ‥‥、大人イトに『変身』!ぴかぁ~!
「光ってたけどまた何か‥‥」
「いやぁ、いきなり成長期がきたんでビックリしちゃったよ。おっと、ごほんっ。急に背が伸びたから驚いちゃったわ。ん?この服何だか胸が苦しい‥‥、うぎゃぁ!?なな、何じゃこのダイナマイトボディーはっ!!?」
『‥‥かーしゃん?』『‥‥姉上?』
「「「「っ!?」」」」
「邪魔するぞ。‥‥何だ?全員揃って神妙な顔をして。‥‥こちらの美女はお前達の知り合いか?」




