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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 「それにしても、樹海に続きこんなにあっさりと古代遺跡の存在が明らかになるとは‥‥」

 「まだ場所が特定された訳じゃねぇけどな」

 「‥‥人間とは無知なものですね」


 しくったなぁ、こんなことになるなら謎を秘めまくった空からの出会いを演出したのに‥‥。今さら儚い美少女路線もどだい無理な話だし、そもそも私の売りは格好可愛さだもんな。


 「ねえ、さっき色々な名前を言ってたけど、もしかしたら塔のときみたいに積乱雲のことも詳しかったりするの?」

 「ふっ、よくぞ気付いた少年よ!我は困ったときの呪文(おまじない)どころか、ここだけの話滅びの呪文も知っておるのだ!くくくっ、わかるか?ラ○ュ○を生かすも殺すも、我にとっては造作もないということ。

 だが悔しいことに、飛行石がなければそれも叶わぬ夢‥‥。何故我は唯の女神なのじゃ!王家の末裔でないこの身が口惜しくてたまらぬわっ!」

 「「「「何一つ参考にならないことがよくわかった‥‥」」」」


 酷いっ!?あと1時間は語りたいことがあったのに‥‥ちぇっ。


 しかし、古代遺跡を求めて彷徨う新食材あり・お宝ありの果てない冒険の旅‥‥イイ、凄くイイ!地下迷宮に塔に火口、そこに樹海と積乱雲と来たら後は何だ?いや、無粋な詮索は止めよう。わからないからこそ謎であり、だからこそ答えを求めて彷徨うのだ。散りばめられたピースを拾い集め、辿り着いたもののみが真実‥‥。ふおぉぉぉ、この滾る思いは何なんだぁ!


 「てことで、特訓を開始する!直ちに表へ出るのだ、お前達!」

 「そんなこと言っても殆ど外だけど、ここ」

 「しゃらーっぷ!口答えする奴にはキャラメルを食わせて減らず口を叩けなくしてやるぞ!てぃっ!」

 「むぐぅ!」

 『とっくんちゅる!』

 「うりゃっ!」

 『儂も特訓せねばならぬか?』

 「そいやっ!」

 「「わかりました師匠!」」

 「喰らえっ!」

 「‥‥始めるぞ」




 父上と母上が居間から見守る中(キャラメル食べてるけど‥‥)、『舞○○』について私のイメージを皆に伝える。私以外は全員精霊と契約しているから、オーラが見えているはず。見えていない私にとっては推測になるが、揺らいで漂うだけのオーラを身体に循環させて纏うように助言する。

 色々と考えた結果、そのオーラ自体が浮遊力・推進力を持った力、すなわち『舞○○』そのものであることを認識させることにした。1巡目は1人ずつ手を取り、私のオーラで相手ごと包み込むイメージで一緒に10cm程浮いてみる。2巡目は浮いた状態で水平移動、3巡目は高度を20cm程に上げ、と繰り返し感覚を掴んでもらうことに努めた。


 <無属性魔法>を取得したときのために、オビトにも同様に教える。そうこうしているうちに、ついに成功者が現れた。その者の名はタクマさん!いやぁ、落っこちただけのことはあるね♪ただその高さは地面からほんのちょびっと離れたって程度だけど、1歩前進したことには変わりない!


 ここでハっと気付いてしまった。もしかして高く飛べても落ちたらどうしようとか、制御不能になった先に待ち受ける末路などへの恐怖心が邪魔してるんじゃないかって‥‥。だとすれば、これ以上はないっていう何かをタクマさんのように体感すれば行けるのでは?

 ふむ、試してみる価値はありそうだ。急発進・超高速からの急ブレーキ&アクロバチックな技なんていいんじゃない?そうと決まれば、そんじょそこらのジェットコースターなんぞ屁のカッパなやつをいっちょやったりますか!


 「これから行う最終試練について、私が独自に行った街頭インタビューによると、『20代男性:死ぬまでに一度は体験することをお薦めします!』『50代男性:この年になって何かにハマるとは思いませんでした!今日?勿論行くつもりです!』『80代男性:あの世が見えた‥‥婆さんや、今イくよ』などのコメントが寄せられた。さあさあ、早い者勝ちだよっ!」

 「「「最後のはヤバい‥‥」」」

 『ならびまちた!』

 『楽しみだのぅ』

 「40代男性のコメントは是非とも私めに!」

 「うっひょ~、この盛況ぶりには笑いが止まりませんなぁ!では一番の方からご案内致します!」

 『あい!』


 コハクを両手でしっかりと包み込み、10m程浮き上がってから急発進する。自分的にはマッハ1(1224Km/h、1秒で340m)。ちなみに、前回試した最高速度はマッハ10である。到達ポイントを目視確認すれば、1秒間であそこまでってやり方でマッハ20どころか30だって行けちゃうんじゃないかな?マッハ100だと単純に34Km先になっちゃうから流石に見えなくて無理だけど。

 5秒程進んだところで急停止、それを何度か繰り返した後に錐揉きりもみ回転しながらの急上昇(速度は200Km/h位)。最高到達地点で態と『舞○○』を解除し、空に放り出される爽快感を感じてもらうのも狙いの1つだ。そして重力に任せた急降下、からの再度発動させた『舞○○』による大回転等、随所にドラマチックなドキドキとワクワクを盛り込んだ構成にしてみた。

 時間としては1分弱ってところかな?朝のオビトみたいに、あんまりやって気持ち悪くなったら大変だしね!


 「到着で~す!またのご来店をお待ちしております」

 『もっかい!』

 『コハク、次は儂の番なのだ!』


 早くもリピート率100%の大人気ではないか!よ~し、ワンパターンじゃ飽きるだろうから、どんどん難易度を上げちゃうぞ!え~っと、ヒスイの次がオビトで、エジムさんタクマさんと来てセイジさんね‥‥。




 「‥‥とりあえず飴舐めます?」

 「「‥‥‥‥‥」」

 『ちょーだい!』

 『いただこう』

 「やった~!」

 「ヨーグルトがいい」


 ヒスイは自分で飛べるけど、普通に翔たことしかなかったみたいで凄く喜んでくれた!オビトは学習したのか終始無言だったけど、終わった後の目がキラキラしてて年相応な感じがちょっと可愛いかった。

 では、どうしてこんな結末を迎えてしまったのか。いや、まあ、ついムキになっちゃったのは私が悪いんだけどさ‥‥。エジムさんが何をやってもケタケタ笑うもんだから、これでもか、これでもかぁ!となりまして。その後のタクマさんとセイジさんにも離れ技や多彩なバリエーションを駆使したらこうなった。‥‥反省してます。


 気持ち悪くて喋れないみたいだから、シトラスハーブを問答無用で突っ込む。苺ミルク・黒飴・フルーツミックス・ヨーグルトを配ってと、このまま2人が良くなるまで小休憩かな。


 「オビト、この飴って舐めてからどの位で良くなった?」

 「俺は結構すぐ効いたよ」

 「ねえねえ、治るのを待ってる間練習しててもいいかい?今なら出来そうな気がするんだ!」

 「本当ですかっ!?」

 「うん。だから私の勇姿をちゃんと見ててね、イトちゃん!」


 エジムさんは手足をぶらぶらとさせて、力みのない自然体をとると目を瞑った。全員が固唾を呑んで見守る中、誰かの「あっ!」と言う声でエジムさんの身体が僅かだが浮いていることに気付く。


 「浮いてるね‥‥」

 「こ、これでイト道場は一躍有名道場の仲間入り‥‥、入門者がわんさかと殺到するはずっ!ぐふふ、ということは勿論師範代である私は注目の的?‥‥ヤバい、どうしようオビト、熱い視線に耐えうる一張羅がないよ!」

 「前に着てた変わった服は?あの血が付いてたときに着替えたやつ」

 「ああ、制服のことか。確かに学生のうちは制服で冠婚葬祭に出ても可ではあるけどね。もしかしてそんなに似合ってた?私ったら、オビトの熱い視線に気付かなかったなんて‥‥」

 「キンキンに冷え冷えだったから大丈夫」

 「そこはせめて冷たいって言えよっ!」


 兎にも角にも屁のカッパ作戦は大・成・功☆切っ掛けさえ掴めちゃえば後は自主練あるのみだから、MPの続く限りやってもらわなくっちゃね!と、その前に


 「お二人とも、具合の方は如何ですか?」

 「もう大丈夫だ」

 「僕も治っちゃった。これ、凄い飴だね」

 「急かすようで申し訳ないんですが、この後の予定が目白押しなのでセイジさんはぱぱっと試してもらえますか?」

 「勿論だよ!生きるか死ぬかの瀬戸際なんて軽く超越した恐怖体験だけして、このままおめおめと帰れないよ!イトちゃんのことだからこの他の特訓も碌なものじゃなさそうだし、ここでやらなきゃ確実に死ぬっ!」


 随分な言い草だな、オイ‥‥。で、死ぬ気でやったら浮いちゃいましたと、‥‥何も言えねぇ。


 「うぉっほん!さて皆の衆、私の的確なアドバイス&懇切丁寧なマンツーマン指導&想像を絶する斬新な試みにより、初日に3名全員が成功するという快挙を達成した。しかし、私から見ればまだまだヒヨっ子同然!決してこの結果に驕ることなく、各自自主練を怠らないように!では、本日の特訓はここまでとする!」

 「「「「『ありがとうございました!』」」」」

 『ありがとごじゃいまちた!』

 「ふふふ、ルスカの悔しがる顔が目に浮かぶなぁ」

 「よこしまな動機しか持ってねぇお前が飛べちまったとあれば尚更だな」

 「子供の頃からの夢だって言ってましたもんね‥‥、でも」

 「「「ジャンケンに負けた奴が全て悪い。はははははっ!」」」

 「結局、全員飛べて嬉しくて仕方ないってことみたいだね」

 『勝負の世界とは非情なものよのぅ』

 『びくとりー!』


 確かに、あの負けっぷりは八百長かと思う位だったもんな。ルスカさん泣いちゃわなきゃいいけど‥‥。


 日持ちのする数日分の食糧を父上達に渡して「池1号」へ向かう。戻りの道中は予定通りトレント狩りじゃ~!父上と母上に帰りの挨拶をしてハグ、エジムさん以外は撫でたりしていた(狸親父は父上に蹴られてお星様になった)。


 はてさて、殲滅するとは言ったものの、効率良く殲滅する手段を考えなければ。そういえば、今<索敵>のレベルっていくつだろう?


+-----+-----+-----+

イト・サエキ(佐伯 絲)

年齢:16

職業:-

Lv:14

冒険者rank:4-132/L4

商業rank:-

スキル:<完全防御>

SP:260

状態:不審者撃退

受注クエスト:-

+-----+-----+

HP(生命力):360/360

MP(魔力):9,597/10,260

STR(筋力+(攻撃)):50+(135)

VIT(体力+(防御)):47+(140)

AGI(敏捷+(敏捷)):44+(150)

INT(知性+(魔力)):62+(25)

DEX(器用+(器用)):68+(30)

LUK(幸運+(幸運)):116+(20)

特殊スキル:<家事><習得>

習得スキル:<育成∞><無属性魔法Lv9><異世界言語Lv9><鑑定Lv9><分析Lv9><剣術Lv3><槍術Lv1><斧術Lv1><弓術Lv1><体術Lv6><棒術Lv2><感知Lv8><索敵Lv8><地図Lv5><錬金Lv9><鍛冶Lv4><投術Lv4><身体強化Lv7><治癒魔法Lv2><水魔法Lv4><土魔法Lv3><火魔法Lv4><風魔法Lv2><氷魔法Lv2><付与魔法Lv4><薬剤Lv2><状態異常Lv1><隠蔽Lv2><木工Lv5><槌術Lv1><雷魔法Lv1>

+-----+-----+-----+

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