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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 お昼を目前にして残すはお弁当の仕込みのみ。ギンガさんに声を掛け、お昼ご飯の準備を始めることにする。しししっ、調味料が増えたから何でも作れるぞ!ここはやっぱり定番のハンバーグを作ろう。お弁当にも入れられるし何より私が食べたい!

 お決まりになってきたご飯50合を炊いておく。トング・ギュシ・玉葱・卵・牛乳・パン粉・塩・胡椒・香辛料を用意し、玉葱をオビトと3人でみじん切り。うわっ、オビトが泣いてる‥‥、タクマさんに続く貴重なお涙頂戴シーンかも。あぁっ!?玉葱を触った手で目を擦ったらいかん!全くもう、世話が焼けるったらありゃしない『清浄』!


 ギンガさんに大量の玉葱を炒めてもらっている間に、オビトには私と一緒にその他のものをコネコネしてもらう。パテを大量に仕込んでおけば、いつでもパパっと食べられるもんね!コハクとヒスイもやりたそうだけど服が出来るまで我慢してくれ、ごめんよ。

 粗熱が取れた玉葱をさらに混ぜてコネコネ、2人に見せながら300g程度に1つ形成して残りをお願いする(1/3はお弁当用に70gで)。ここでタクマさんとセイジさんも合流、楽しそうなパテ製作が始まった。


 私はここから別行動して、コーンスープとポテトサラダを作る。コーンスープはトウモロコシ・玉葱・ジャガイモ・人参・牛乳・生クリーム・バター・砂糖・塩・固形コンソメ、ポテトサラダはジャガイモ・玉葱・人参・きゅうり・林檎(ハム代わり)・マヨネーズ・塩・胡椒を使用して、<錬金>と助さんズでサクっと調理。

 そうだ、目玉焼きも作っておこうかな?あるだけでちょっと嬉しいよね。おっと、パテの方もそろそろ終わりが見えてきたみたい。とりあえずお昼ご飯の分だけ焼けばいっか。大量に作ってもらったパテをクワ太へ入れて、300gを20個焼くことにする。


 ハンバーグをギンガさんと一緒に焼き始める。折角オーブンがあるので、焼き目を付けてからフライパンごとオーブンへ。ふっくらまん丸になったらプスっとな。よし!然らばデミグラスソースを「じゅわぁ~!」うわぁ~、めっちゃ旨そ~!

 出来上がったものをクワ太へ入れて、ギンガさんにバトンタッチ。お皿にポテトサラダ・イカフライ・オニオンリングを盛り付けて、ハンバーグ用のワンプレートを準備。ご飯とコーンスープを装ったところで、ギンガさんから熱々のハンバーグを受け取り目玉焼きをトッピング。


 私以外が全員お替わりした結果、ペロリっ!となくなってしまった。ハンバーグは勿論のこと、コーンスープもポテトサラダも大好評だった。ハンバーグは滴るような肉汁がじゅわぁ~の、コーンスープはとろ~り濃厚、サラダはホックホクのシャッキシャキで凄く美味しかった!




 タクマさんとセイジさんがお店へ戻り、コハクとヒスイは仲良くお昼寝。じゃあ、お弁当の仕込みを始めるぞ。助さんズ、今日も宜しくね!

 まずはご飯を炊こう。現在のストックが‥‥43合か。12人で1食大体40合ちょいなくなるでしょ?父上と母上の分も入れると軽く50合超えちゃう。1合が150gだから‥‥、晩ご飯の分も合わせて3週間分で50袋炊いちゃおう!3人でひたすら研ぎ、ひたすら炊く。

 しかしこれだけガシガシやっても、この踏み台全然ガタガタ言わないな。タクマさんの腕前には脱帽するばかりです。4日前から使ってるけど最高の使い心地!わたくし、もう鉄鉱石の山には戻れなくってよ!


 卵焼き・きんぴらゴボウ・鮭の照り焼き・ゴボウ巻き・煮魚・カボチャの煮付け・大学いもを量産、昨日一緒に作っているオビトとギンガさんの協力もあり楽々完成。唐揚げと生姜焼きは説明しながら作ったが、残った揚げ油が勿体なかったので揚げ物を増やすことにした。

 作ったことのある天ぷら・豚カツ・チキンカツ・海老フライ・白身フライ・イカフライと一緒に、メンチカツ・コロッケ・牡蠣フライ・鯵フライも手伝ってもらい作ってしまう(結局油を注ぎ足すことに‥‥)。

 先程の教訓を生かし、手際のいいギンガさんにみじん切りや炒め物を任せて、私とオビトは捏ねたり潰したり混ぜたりを担当。ハンバーグのパテを大量に形成したからか、ギンガさんだけじゃなくオビトもとても上手にメンチカツとコロッケを作ってくれた。


 さらにピーマンの肉詰め・野菜の肉巻き・ほうれん草の胡麻和えも作り、ハンバーグもお弁当用のものを焼いてしまう。デミグラスソースだけだと流石に寂しいので、和風・照り焼き・チーズ・クリーム・トマトソースを香味野菜やきのこと合わせて製作。天つゆとタルタルソースも作り、減った分だけ醤油・みりん・料理酒・片栗粉・植物油・デミグラスソース・トマトピューレ・生クリーム・マヨネーズを補充した。


 うん、これだけあれば大丈夫だろう!後は組み合わせを変えて詰めればいいね。あっ、ふりかけを包装紙で梱包しとかなきゃ!

 作業代にA6の包装紙を並べ、オビトとギンガさんにお願いして大さじ1杯程度で5種類のふりかけを載せていってもらう。それを私がパタンと折りたたみ、端っこを『結合』させて完成。種類ごとに包装紙を分けていないから中身は開けてからのお楽しみ♪ある意味面白くていいかもね!そしてふりかけも減った分を補充。


 パンも作っとこっかな?その前に材料チェック。え~っと‥‥少ないものは、ジャガイモが0‥‥、海老と牡蠣が少ないな。ポテチも食べたいし他にも何かと使うし、ジャガイモだけ明日買っとく?


 じゃあやりますか!作るパンは食パン‥‥「タクマさ~ん!」、てててて~っとお店へ走り鉄鉱石を売って欲しい旨を伝える。4斤程度の食パン型を作りたいと伝えると、何だそりゃ?と聞かれたので、これこれこういうものなんですよ!と身振り手振りをしたが一向に伝わらず‥‥。

 丁度お客さんもいなかったのでタクマさんも急遽参加(コハクとヒスイも起きた)、改めてメモ帳にスライド蓋の絵も併せて描いて説明する。ギンガさんが興味深そうに覗き込んでいたので、宿でも使いますか?と聞くと出来ればとの回答だった。


 オーブンに何個入る?大きさを測って間隔を考慮した結果、20個(10個はギンガさんの分)製作することにした。タクマさんに10,000ギルずつ先に払い、私は『形状変化』『硬化』『現状維持』を使いあらよっと18個完成。

 残りの2個はオビトとタクマさんにやってもらう。2人の手を掴んで一緒に『錬成』、これだけ柔らかければ変化出来るイメージが持てるんじゃないかな?出来ている型を目の前に置き、こうなるように想像してみてと言い試してもらう。タクマさんの方は鉄鉱石を扱い馴れているせいもあるのか、徐々にではあるが形になってきた。オビトの方は?う~ん、オビトの手にそっと手を重ねる。


 出来上がったものを嬉しそうに見ている2人。これは記念にあげた方がいいよね。ギンガさんとアイコンタクトして『色彩変化』で各々の名前を刻み(私はロゴ)、私とギンガさんで9個ずつ分ける。オビトとタクマさんに自分で作ったものをどうする?と聞くと、2人とも即座に1,000ギルを差し出したので名前を刻んで渡してあげた。


 4人でコネコネ。折角だから自分で作った型でパンを焼いてみよう教室を開催!ギンガさんも型に入れて焼くのは初めてらしく、出来上がりを楽しみにしているようだ。私の分はクワ太に入れて、先にワクワク顔の3人の分を焼くことにした。

 オーブンの前を彷徨く3人を横目に、コッペパンとバンズを大量に仕込む。食パンと合わせて、これでサンド系とバーガー系が充実すること間違いなし!てことで餡子とミルククリームと苺ジャムも作っちまいましょ!


 どうやら3人の食パンが焼けたみたいだ。はいはい、ちょっと待って下さいね。蓋をスライドさせると、うひゃぁ~、美味しそ~!オビトに型から出した食パンを持たせて、ここの割れ目を割ってご覧?と教える。ふわぁ~っと立ち上る湯気、中も均一に焼けてて出来上がりは上々!

 ギンガさんとタクマさんも同じように割る、どれもこれも美味しそう!私も食パン型を取り出してオーブンへ突っ込んだ。オビトの食パンを1斤残してギンガさんは助停さん改に、オビトはクワ衛門に、タクマさんは‥‥オビトに型ごと預けた。

 6等分に手で裂いて、いっせ~のせっでパクっ!「ふまぁい!」この上ない柔らかさ、ほんのり甘くて香ばしくてこいつはいい!ものの一瞬で全員ご完食。




 今の食パンで酵母・バター・砂糖が少なくなったとギンガさんに言われ、売買しようとするが一覧表がまだ出来ていない。一昨日はその前と同じように牛乳を渡されたから、酵母の果物代だけ貰ったでしょ?いい加減にこの3つだけでも先に決めちゃわないと、と悩んでいたらオビトとタクマさんも買いたいと言ってきた。

 自分の作ったパンがあれだけ美味しければ、また作りたくなるのも道理。二つ返事で了承し、数量を決めてもらっている間に値段を考える。


 以前提示した値段は砂糖が10kg1,500ギル。ただ生産ラインが一切ないから栽培しない限り常に探して調達しなければならない。やっぱりこの値段じゃ安過ぎるか。そもそも果物が少なくて高過ぎることが弊害になってるんだよね。う~ん、5倍の7,500ギルにするとしてもそれじゃ果物と値段があまり変わらないし、果物の値段が下がらないことには転売どころの話じゃなくなっちゃう気がする。

 ‥‥元の世界と同じ値段を提示したのは考えなしの愚かな行為だった。ルスカさんの10倍は、きっとこの世界の現状を見据えた上でのギリギリの値段だったんだ。私が安易に普及させたいとか出来もしないことを言ったから‥‥。本当に実現させたいと思っているなら、利益どうこうよりも私以外の人が作った場合のこともちゃんと考えないと。


 ‥‥砂糖は10倍の10kg15,000ギル、果物3つ分の値段にする。だがいつかは値段を下げるために、トウキと併せて果物を栽培する手段を探そう!砂糖と果物を使っている酵母は10倍の1L10,000ギル、バターは5倍の1kg5,000ギルに決めた!

 調味料が高くなる分、食堂の値段も上げないと採算が合わなくなるだろう。値上げをしたらお客さん来なくなっちゃうかな?いや、でもそれを決めるのはギンガさんだ。そんなことを考える暇があるんだったら、私は少しでも早く値段を下げられるように頑張るしかない!


 決めた値段を告げる。自業自得だが、大口を叩いてしまったせいで返事を聞くのが怖い。下を向き、手をぎゅっと握り締める。肩をポンと叩かれ顔を上げると妥当な金額だとギンガさんに言われ、情けないことに目頭が熱くなった。

 うがぁ~、私が悪いのにバカじゃないの!両手で頬をバチンっ!と叩く。おっしゃ~、気合い入った!申し訳ありませんが宜しくお願いしますとペコリ。


 大体違う世界なんだから参考にすること自体おかしいんだよ、とオビトから茶々が入り傷口を抉られる。まあ、無鉄砲なのはいつものことだからしょうがねぇ、とタクマさんに塩を擦り込まれた‥‥ほろり。


 ギンガさんがパン1週間分として砂糖20kg・酵母15L・バター20kg、オビトとタクマさんが砂糖1kg・酵母1L・バター1kgを購入。オビトとタクマさんはパン作りに嵌まったらしく、美味しいパンを作るんだと創作意欲も露わに熱く語り合っている。

 4時になりギンガさんが宿に戻った後、全粉乳がなくて作れなかったチョコレートを量産。これにて本日のノルマが全て終了!まだ製作2日目か、どう考えても初日の計画よりやることが増えてるよね‥‥。が、頑張るぞ、おぉ~。




 晩ご飯のメニューを考える。今日は料理をたくさんしたから、少し手抜きしちゃおうかな。ん~、炒飯と野菜炒めにしよ、横にちょこっと揚げ物を添えてさ!杏仁豆腐が食べたいけど、アーモンドがないからミルクプリンで♪


 晩ご飯の席でルスカさんからお金を手渡された。何のお金ですか?と聞くと、昨日と今日のお弁当・晩ご飯代だと言われ、遅くなってすまなかったと謝られた。皆の視線がエジムさんに集中する。しかし慰謝料をもぎ取った狸親父はビクともしない!

 クエストの際に手に入れた食材を分配しないことで食事代を貰っていない旨を伝えると、さらに3日後までの分を渡されたのでこれは素直に受け取っておく。一応エジムさんにも手を差し出したら、何処かで見たことのある欠片をくれた。そこら辺で拾ったものじゃないだろうな?という視線の中、折角くれたものなので返せと言われる前にクワ太にしまう。


 <完全防御>アイテムをタクマさんの家で6人に、宿に帰ってから3人に渡す。オビトと臨時パーティー4人以外は渡した瞬間絶句、私がランセクトの冒険者のことを話すと渋々だったが涙ぐみながら受け取ってくれた(タクマさんを落としたことは内緒‥‥)。

 感極まったエジムさんにまた抱き着かれそうになったが、うるうるお目々のルスカさんが助けてくれた。嬉しいのはずなのに‥‥、嬉しくないっ!『不審者撃退』が発動するチャンスだった、きっと、絶対、確実に発動してたのに!

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