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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 最初は3日目、クエストのとき。


 アラミタに来て2日目なのに、既に<鑑定><分析>がLv3だったことから始まる。そしてクエスト中にLv4へ上がり、棒を振り回していただけで<棒術>がLv2になったこと。包丁を使用し魔物を倒したにも関わらず<剣術>のレベルが上がらなかったことから、包丁が<剣術>に含まれないのではないかと思ったという。


 確かにそんなこと言ってたような‥‥。その後<家事>のレベルを聞かれたんだっけ?


 包丁捌きの凄さから包丁は<家事>に含まれるのでは?と。そして<家事>のレベルが非常に高いのではないかと考えた。そこで<家事>スキルに対して新たな疑問が生まれる。何をもってして<家事>と言うのか?<鑑定><分析><棒術>のレベルの上がり方にも影響を及ぼしているのではないのか?と。




 5日目、製作2日目のとき。


 このときの私は<錬金Lv2>でLv3の素材を成功させた。この時点で、何らかの効果でLv3以上の力を持っているのでは?と疑う。そしてあれだけ簡単に色々な戦闘スキルを取得したのに、<裁縫><細工>を取得出来なかったことで再度<家事>に疑問を持つ。もしかしたら<家事>に含まれていて、既に持っているから取得出来ないのではないかと。


 首傾げまくってたもんね。


 さらに出来たものの効果がLv8相当であったことから、そこで数値を逆算してみたという。ブルーレザーネックレスを例えとして作成条件の<鍛冶><錬金>がLv1、<裁縫><細工>をLv10とした場合平均レベルは5.5。ここに何らかの補正が掛かって、レベル8を超えているのではないか?その補正を掛けているものも<家事>に含まれているのでは‥‥、という考えに至ったらしい。




 12日目、ギンガさん達と晩ご飯を食べた後。


 クワクワコンビの検証時に<料理>スキルの有無を聞かれていた。前日の砂糖は明らかに<錬金>だったので問題視していなかったが、流石にお昼ご飯の牛丼・その他はどう考えても<料理>に当たる。そして取得は出来ていない、ではこれも<家事>に?




 13日目、昨日のパン応援時。


 <料理Lv5>のギンガさんが作ったものより、私の作ったものの方が美味しかった。そのことから<家事>の中に<料理>スキルが含まれており、そのレベルは最低でもLv6以上。




 そして先程、作った料理の<鑑定><分析>失敗でLv9以上であることが確定した。


 「<鑑定><分析>がLv8になったんだよね?魔石(黒)と魔法鞄を<分析>してみてくれない?」

 「あいよ~」


+-----+-----+-----+

[魔石(黒)]

魔力が宿る石

〈効果:時間促進・遅延・停止〉

+-----+-----+

小魔石(黒)x20個

使用条件:錬金Lv8

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

[クワトロ+1レザーベルトバック]

ギュシの革で作った肩掛け魔法鞄

〈効果:容量/∞・重量軽減・時間停止〉

〈製作ボーナス:イト専用・着け心地∞・不壊・防汚・防水〉

+-----+-----+

ギュシの革+モクの糸+蒼鉱石+魔石(透明)(黒)

作成条件:裁縫・細工・鍛冶・錬金Lv8

+-----+-----+-----+


 「やっぱり魔法鞄を製作していた時点で、Lv8あったってことになるね。スキルもこんなふうに詳しく見れたらいいのにな」

 「そういえば状態の言語理解(1日)を<分析>したことがあったっけ?あれって<無属性魔法Lv2>あれば使えるやつなんだよ」

 「‥‥ステータスも<分析>出来るなんて聞いてないんだけど」

 「あ、あっれぇ~、おっかし~なぁ?‥‥てへ♪」

 「エジムさんの真似をしてもダメ。全く‥‥、じゃあ<家事>を<分析>してみてよ」

 「了解であります!ダメでした!」


 これで<家事>もLv9以上が確定!


 「コハクやヒスイが元々持っていたスキルもそうだけど、イトが付与したスキルとかもオーラ黒までのSP一覧にないものばかりだよね。人向きのスキルじゃないものが多いし、オーラ白のSP一覧にあるとも考えづらいな。

 もしかするとSP一覧はあくまでもそこから選べるというだけで、他にもスキルが存在するんじゃないのかな?ただ仮にそうだとしても、その場合の取得方法がわからないのが問題だよね」

 「今、オビトが自分で言ったじゃん。それこそ種族ごとの生まれつきか付与なんじゃないの?人間という個体には最初からないだけで。コハク達に付与したのもSP一覧にはないスキルだしさ」

 「‥‥たまにド偉いことを言うからホント敵わないよ‥‥」

 「ん?何か言った?」

 「もしそれが本当なら、イトの<付与魔法>と宝石で人にもSP一覧にないスキルを付与出来ることになるね」

 「そりゃいいや!あっ、ちなみに<錬金>はどうやって取得したの?」

 「<錬金>を取得したいと思っただけだよ」

 「何だ、そういうことなら<付与魔法>がなくても簡単だよ。取れる取れないは別として、多分一覧になくても知っていれば取れると思うな。一覧にないとダメだっていう固定概念があって、今まで誰もやらなかっただけじゃないの?

 私の<錬金>も<無属性魔法>も殆どがイメージだからね。この世界の人達が成功しなかったり使い方がわからないのは、工法や過程・完成形やそのもの自体を知らないからだよ。私の世界は凄い情報社会だったし、色々なものがこれでもかって程溢れてたからさ」

 「じゃあ俺もイトが作ってるところを見て内容を把握すれば、成功率が上がるかもしれないってことだよね」

 「うん!早速明日から試してみようよ。材料がなくなっても調達部隊にお願いすれば大丈夫!あ、でも2人だけじゃやっぱり心配だな‥‥」

 「まあ、ほっといても名乗りを挙げてくる人達が絶対いるよ」


 やけに静かだと思ったら、コハクとヒスイはベットの上で寄り添ってご就寝していた。可愛いなぁ。ボウルに多量に作ったはずのジュースとお菓子も、オビトと話してる間にちゃっかりご完食済み(お玉使ったんだよね‥‥?)。父上と母上に渡す食糧の件もあるし、押し掛け同伴者のスケジュール管理もオビトに任せよう!


 「てことで、オビトは調達部隊総司令官に就任したから!」

 「てことでの前を言ってよ。とりあえずコハク達の面倒を見ればいいってこと?」

 「その通り!あと同伴者の調整役も!」

 「何から何まで全部ってことだね。調達って買い物もありなの?」

 「勿論だよ。あ、それって初めてのお使いみたいだね!うわ~、物陰から見守りたくなるなぁ!着いてったらダメかな?」

 「調達部隊の存在意義を根本から覆す台詞だよね、それ‥‥」


 コップに残ったジュースを飲み干し、ずっと喋っていたオビトはお替わりをしようとするが、そこにあるのは空っぽになったボウルだけ。私が材料を取り出し、作ろうとしたところで声が掛かった。


 「俺がやってもいい?」

 「いいよ、ついに<錬金>デビューだね!説明はいる?」

 「うん、お願い」


 ジュースは『圧搾』だけだから案外いい選択かも。しかも強い圧力で押し潰して搾り取ることだったら、オビトでもイメージし易いし。圧搾機を見たことがないだろうから、強い圧力ってところがネックかな?う~ん、どう説明しよう。強い圧力、強い力で押し潰す、とりあえず普通に握り潰してもらってから考えるか。


 「オビト、まずは普通に握り潰してみてよ」

 「わかった」


 「ボトボト」林檎を両手で持って潰したけど、表面が少し潰れただけで果汁も少量が垂れるのみ。防具を外しているから、STRも今は自前の数値しかない。


 「イトはさっき何を想像してやったの?」

 「圧搾機。もの凄い圧力でギュウって押し潰すやつなんだけど、この世界で例えるとしたら‥‥父上と母上かな~」

 「何でそこに父上達が出てくるの?」

 「全長が4・5mもあったら体重なんて絶対トン超えてるだろうし、私なんて踏み潰されたら一瞬でペチャンコだってば」

 「それは言い過ぎじゃない?イトは俺の中で、踏まれても死なないランキング1位だけど?」

 「もっと違うランキングで1位にしてくれよっ!」


 袋に入れて地面に置いた林檎を父上と母上が全体重を乗せて踏み付け、押し潰された林檎から溢れんばかりの果汁が搾り出される様を想像してもらう。そのイメージを魔力で補い自分の手で再現、したら先程とは比べものにならない量の果汁が搾れた。

 大体半分位か。きっとレベルが足りないんだろうな。オビトに頼まれ私が『圧搾』すると、これ以上は無理だという位カスカスのクシャクシャになった林檎が手に残った。目の前でやることによってさっきよりイメージが明確になったのか、オビトの果汁が少し増えた。


 「やっぱり見るのと見ないのじゃ全然違うね」

 「明らかに量が増えたよ。これなら調味料もすぐ作れるようになるって!」

 「‥‥そうだね、頑張るよ」

 「どうしたの?オビトも眠くなってきた?うわっ!もうこんな時間じゃん。ちゃっちゃと作って早く寝よ!」


 オビトとは別に林檎ジュース・蜜柑ジュース・林檎蜜柑ジュース、それから葡萄ジュース・レモンジュース・桃ジュースも3ボウルずつ作った。これだけあってもすぐなくなるんだろうな‥‥。旨い旨いと言いながら飲み干す面々の姿が目に浮かぶ。

 エジム無双に太刀打ち出来る人間が現れたことによって、今後の勢力図がどう変わるのかが非常に楽しみだ。


 しかしコハクのネーミングセンスは私に似て抜群だね!エロタにキネか、ぷぷぷぅっ。


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