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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 「じゃあ、報酬を分けますね。合計で29,564,500ギルだったので、1人4,927,416ギルです。余りは4ギルなので、4人で分けて下さい。昨日と合わせて、これで全員一緒ですね」

 「‥‥今までで一番多いぞ」

 「本当に仕事辞めちゃおうかしら」

 「僕の店の売り上げって一体‥‥」

 「セイジ、気にしたら終わりだ」


 オビトが解体された魔物を出す。チキリの皮付き肉・レバー・骨x5匹分、ヒジムの肉・皮・腸x2匹分、オーガの肉・皮・脂身・レバー・骨x37匹分。

 ヒジムの皮は全部セイジさんに、オーガの皮はセイジさんと私で半分ずつに分けた。肉については、数の少ないチキリ・ヒジムと脂身・レバー・骨を全て私が貰い、オーガの肉は全員で分けて1人5匹のところを私とオビトで12匹貰った(エジムさんに5匹確保)。


 この時点で、私の所持金がついに7,000,000ギルを超えた(勿論オビトも)。最初の10倍だ‥‥。コハクという家族も増えたし、この調子ならやっていけるだろう。


 「オビトお前、何で腐った蘇生草なんか出したんだ?」


 やっぱりヤミルさんが切り出したか。冒険者ギルドでも止めようとしたもんね。


 「腐ってなんかいませんよ?エジムさんも受理したじゃないですか」

 「マスターも1日過ぎたものを見誤ることがあるのね‥‥」

 「僕も見たけど、思ったより腐ってなかったからかもよ」

 「アイツも年を取ったんだな」

 「いえ、何日経とうが腐るはずがないんです。イトが作った鞄は、中に入れたものの時間が停止するので」 

 「「「「‥‥‥‥‥」」」」

 「昨日のことですけど」


 オビトが宿に帰ってからあったことを話す。私が持って帰った料理が全然冷めていなかったこと、元々トング肉が時間が経っても新鮮なことに疑問を感じていたこと。薬草を売らずに3日間様子を見ていたところ、蘇生草が手に入ったので1日実験をしてみたら腐らなかったこと。

 鍋ごと入れる非常識さを私が発揮したため、中身が溢れないことも実証されたこと等。それは言わなくても良かったと思う‥‥。


 「なので、2日前に採取した一般的に良く扱われている薬草が明日腐らなければ、確定でいいと思います。さっきは一番見慣れているはずのエジムさんが、どういう判断を下すのか見たかったので出してみました」

 「「「「‥‥名参謀‥‥」」」」

 『オビちゅごい?』

 「うん、悪知恵はピカイチだね」

 『ぴかいちー』

 「コハクに変な言葉を覚えさせないでくれる?」

 「はい、すみませんでした!」

 『ちゅみまちぇんでちた!』




 「くふふぅ~」ついに香辛料が手に入った!調味料は今夜宿の厨房を借りて作るとして、晩ご飯は皆大好き国民食のカレーにするよ!昼も揚げ物だったけど、カツカレーなくして私はカレーを語れない。一緒にチキンカツ・海老フライ・白身魚フライも作っちゃお。ソースはないけどカレーがあれば大丈夫!ついでにマヨネーズでタルタルソースも作っちゃうもんね!


 昨日は足りなかったから3倍の量を作っとこ。カレーだし余っても助停さんがあるし、異議なし!怖いからご飯は40合炊いといて、小鍋で卵を茹でて玉葱はみじん切りと細切りに。私はいつも玉葱と鶏肉だけでカレーを作るけど、今日は野菜を入れようかな。肉は怖いけど、エジムさんの言葉を信じてオーガ肉を使う。

 肉を角切りにして塩・胡椒、野菜をザク切りにしてオーガの脂身で玉葱を飴色になるまで炒める。ニンニクを取り出し薄切りにしてから『乾燥』、ガーリックチップを作る。玉葱を一度取り出してから肉・ガーリックチップ・野菜と炒めたら、玉葱・水・ローリエ・オーガの骨を投入し弱火で煮ておく。そして香辛料を取り出し『乾燥』『粉砕』、己の勘で調合する。


 次にボウルを用意し、油菜と大豆を取り出し布で包み両手で持つ。魔力で押し潰すようにして『圧搾』『分離』、よし植物油だね。卵・お酢・塩にこれを『攪拌』で掻き混ぜながら入れていく、「よっしゃあ!」マヨネーズの出来上がり!

 茹で卵とみじん切りにして水に晒した玉葱、塩・胡椒で味を整えてタルタルソースの完成。ピクルスがないけど嫌いな人もいるからいっか。


 チキリ肉・オーガ肉を厚切り、海老・白身魚も出して塩・胡椒。小腹が空いたときに食べようと思って取っておいたパンを『乾燥』『粉砕』、でパン粉の出来上がり。もうここまで来たらオーガ尽くしだ!オーガの脂身でラードを作る。待っている間に葉野菜でサラダを用意、植物油・摺り下ろした玉葱・醤油・塩・胡椒・砂糖でドレッシングを作った。

 じゃあ揚げま~す。小麦粉・卵・パン粉、油の温度を確かめて「じゅわぁ~!」、いいね、いいね!揚げたものをお皿に乗せ、何回かに分けクワ太にしまっておく。


 「ふぃ~」カレーはどうかな?ん~、やっぱり助促さん行きで。では1秒お願いしますね。よしよし、自家製カレー粉投入!ぐ~るぐる少し煮込んで‥‥1時間掛からずに出来たね。サラダと揚げ物を出し、大深皿にカレーを装う。コップに氷水を用意することも忘れない。

 皆を呼ぶか‥‥、って何でいつも着席済なの?いつもどのタイミングで座ってるのか今度聞かないと。そのとき、これ以上ないタイミングでエジムさんが駆け込んで来た。「「「「ちぃっ!」」」」って聞こえましたけど‥‥。


 「晩ご飯のメニューは、オーガ肉と野菜のカレー・揚げ物4種・葉野菜のサラダです。カレーは辛い食べ物なので、氷水を用意してあります。揚げ物はカレーと一緒に食べても、そのまま食べても大丈夫です。そのままのときは、このタルタルソースを付けてみて下さい。サラダにはマヨネーズと醤油ドレッシングの2種類を用意したので掛けて召し上がれ。では、いただきます!」

 「「「「「「いただきます!」」」」」」

 『いただきまちゅ!』

 「スライムが喋ったっ!?」


 結果、全員カレーに嵌まった。


 「「「「「「辛いっ!でも旨いっ(美味しいっ)!」」」」」」

 『から!うま!』

 「このお肉トロトロよ。何よりこの味‥‥お替わり!」

 「噛んだら溶けちゃったよ‥‥ご飯が進むぅ!お替わり!」

 「この味が癖になる!手が止まんねぇ!お替わり!」

 「どうやったらこんな旨いもんが作れるんだ?お替わり!」

 「私は今、奇跡を体感している!お替わり!」

 「イト美味しいよ、お替わり!」

 『カレーちゅき、おかわり!』

 「このカツっての、噛んだら脂がジュワって凄ぇな!」

 「私はこのタルタルソースを掛けた海老フライが好きだわ」

 「白身魚フライはあっさりしていて旨ぇな」

 「チキンカツもトンカツと違ってて僕は好きだな」

 「油で揚げたものがこんなに美味しいなんて‥‥、知らなかった私は大バカ者だ!」

 「揚げものも美味しいね」

 『あげものちゅき』

 「このマヨネーズと醤油ドレッシングっての掛けたか?すんげぇ旨いぞ!」

 「本当だ、食べたことのない味だね」

 「この酸味っていうのかしら、たまらないわ」

 「旨ぇ、野菜が進むな」

 「これ程美味しく野菜が食べれるなんて‥‥、野菜を嫌っていた私を誰か叱ってくれ!」

 「野菜がたくさん食べられるね」

 『うまうま♪』


 大量に作っといて良かった。それでも2/3は皆のお腹に消えちゃったけど‥‥。残りをクワ太にしまう。今日もギンガさんとレイアさんに食べてもらうんだ!


 「「「「「イト(ちゃん)、プリン!」」」」」

 『かーしゃん、ぷりん!』

 「イトちゃん、ぷりん?」

 「お昼に食べたじゃないですか」

 「知ってるぞ、たくさん作ってたことを」

 「な、何ですとっ!?」

 「私達見てたのよ」

 「旨いものには目がなくてな」

 「1人で食べようとしたってダメだよ」

 「素直に出したら?」

 『ちょーだい』

 「私にもおくれ」


 くそぅ!こっそり部屋で食べようと思ってたのに、7個も減っちゃったよ‥‥ちぇっ。残りは7個、ギンガさんとレイアにあげて5個か。この感じだと、皆の前で作ったものは数量バレ確定だ。お菓子も夜作っとこ。


 「食事の後の甘いものは最高ね」

 「旨ぁ~」

 「幸せ‥‥」

 「何度食っても旨ぇな」

 「狡いぞタクマ!こんな美味しいものを、私に内緒で何度も食べていたなんて!」

 「コハク美味しいね」

 『あい!』

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