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「こんにちは~」
冒険者ギルドに入ると、エジムさんが既に待ち構えていた。毎回いいタイミングで現れるけど、もしかしてこの人にマーカーを付けられていないだろうか?
「冒険者ギルドへようこそ。おや?そのスライム可愛いですね。サエキ様、本日はどのようなご用件でしょうか」
「今日受注したクエストの報告に来ました」
「では、ギルドカードの提示をお願いします。本日受注された癒やし草採取の報告ですね?」
「はい」
オビトが癒やし草50本を出す。
「癒やし草50本になります」
「確認させていただきます」
カウンター下の机で根元を確認しながら数え、纏めたものが5束になった。
「確認させていただきました。癒やし草が50本、間違いございません」
「それからこちらのクエストもお願いします」
「あ、私もあります」
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【討伐クエスト/rank4-10】
草原・森に棲むギュオウ討伐/2日
達成条件:ギュオウのしっぽ/1匹
報酬:400,000ギル
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【討伐クエスト/rank4-10】
草原・森に棲むブルースライム討伐/3日
達成条件:ブルースライムの核/1匹
報酬:400,000ギル
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【討伐クエスト/rank4-11】
森に棲むトレント討伐/3日
達成条件:トレントの核/1本
報酬:450,000ギル
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【討伐クエスト/rank4-12】
オーガ討伐/2日
達成条件:オーガの鼻/1匹
報酬:500,000ギル
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【討伐クエスト/rank5-12】
オーガキング討伐/2日
達成条件:オーガキングの鼻/1匹
報酬:1,000,000ギル
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【依頼クエスト/rank5-15】
蘇生草採取/半日
達成条件:1本
報酬:5,000,000ギル
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「オビトそれは!?」ヤミルさんが声を掛けるも、オビトが手で制す。
「ギュオウの達成条件が1匹分、ブルースライムの達成条件が1匹分、トレントの達成条件が1本分、オーガの達成条件が37匹分、オーガキングの達成条件が1匹分、蘇生草が1本になります」
オビトがそう言いながら、どんどんカウンターに出していく。流石のエジムさんも驚きの表情を隠せないようだ。
「こ、今回のランク4までのポイントは癒やし草9Px5=45P、ギュオウ10Px2x1=20P、ブルースライム10Px2x1=20P、トレント11Px2x1=22P、オーガ12Px2x37=888となります。こちらが合計で995Pですが、どのように分けられますか?ちなみにそちらの4名の方々はランク以下となりますので、ポイントの受理は出来ません」
「では、私に497P、オビトに498Pでお願いします」
「次にランク5のポイントはオーガキング12Px1=12P、蘇生草15Px1=15Pとなります。合計で27Pですが、どのように分けられますか?こちらはそちらの3名の方のみが対象となります」
「メリダさん、セイジさん、ヤミルさんに9Pずつでお願いします」
「次に報酬金額ですが癒やし草400,000ギルx5束=2,000,000ギル、ギュオウ400,000ギルx1匹=400,000ギル、ブルースライム400,000ギルx1匹=400,000ギル、トレント450,000ギルx1本=450,000ギル、オーガ500,000ギルx37匹=18,500,000ギル、オーガキング1,000,000ギルx1匹=1,000,000ギル、蘇生草5,000,000ギルx1本=5,000,000ギルとなります。合計で27,750,000ギルになります。こちらをお納め下さい。
またランク3で300Pを超えましたので、お二人ともランク4へ昇格となります。上位ランクへの持ち越しポイントは、半分となりますのでご注意下さい。次回ランク5への昇格ポイントは400Pとなります。また今回のランク昇格に伴い、パーティーランクもランク4へ昇格となりました。おめでとうございます。では、ギルドカードをお返しします」
「すみませんエジムさん、見て欲しいものがあるんですが」
持っていたギルドカードを6枚出す。
「‥‥これをどちらで?」
「オーガキングの棲み家で見つけました」
「確認させていただきます」
神妙な顔をしたエジムさんが扉の奥へと消えていった。過ぎてしまったこととはいえ、やはりいいものではないな。どうにも落ち着かず、待っている間コハクを撫でて平静を保つ。皆も落ち着かないみたいだったので、コハクにお願いして皆のところを回ってもらった。
「お待たせしました。こちらは9年前から消息が途絶えていた、ランク4のパーティーのものになります。登録国はランセクトですので、こちらよりランセクトの冒険者ギルドへ連絡させていただきます」
誰かがホっと息を吐いた。冒険者をやっていれば同業の知り合いが増える。消息がわからない人がいてもおかしくはない‥‥。
「では引き続き買取りカウンターも私が承りますので、こちらへどうぞ」
「はい、お願いします」
買取りカウンターへと移動する。コハクが肩の上でふるふるしながら、周りを珍しそうに見ているのが微笑ましい。言われた通り喋らないのも偉いね!さっきも皆を癒やしてくれたし、後でご褒美をあげないとな。
「薬草が1,069本、魔草が116本、癒やし草が3本になります」
「その他はお売りにならないのですか?」
「はい」
「では薬草500ギルx1,069本=534,500ギル、魔草10,000ギルx116本=1,160,000ギル、癒やし草40,000ギルx3本=120,000ギル。合計で1,814,500ギルになります、こちらをお納め下さい。
私事になるのですが、昔食べたオーガの肉が素晴らしい美味しさだったので、常々手に入れたいと思っておりました。ところがオーガの生息している場所が非常に遠いため、なかなか手にすることが叶わず悔しい思いをしていた次第です。もしパーティー内で分配されるのであれば、是非私にも買い取らせていただけませんか?」
2日続けての早退は厳しいと見て、分配前に自分の取り分を主張してきたよ、この狸親父‥‥。皆を見ると、断ることは不可能だと言わんばかりに全員が首を横に振った。エジムさんがカウンターにいる限り、最後の私事は今後も必須のようだ。
「わかりました、1/7でいいのであれば後程お売りします」
「ありがとうございます。本日はありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」
「いえ、こちらこそありがとうございました。失礼します」




