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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 お昼ご飯を食べた岩机に池底で見つけたものを出していく。珪砂10kgx6袋、蘇生草x5本、黒曜石x5塊、琥珀x2塊、翡翠x4塊、紫水晶x3塊、蒼鉱石x19個、紋鉱石x10個、緋鉱石x8個、魔石(透明)x11個、魔石(紫)x6個、魔石(黒)x8個、魔石(茶)x2個。

 まだお昼過ぎだが、久々の冒険と想定外の出来事が続きちょっと疲れたとのことで、今日は引き上げることになった。オビトの精霊契約も申し訳ないけど明日へ延期。4人とも始終テンション高かったもんね、そりゃ疲れるよ‥‥。丁度いいので、いつも通り売るものと売らないものをここで決めてしまうことにした。


 話し合った結果、薬草・魔草・癒やし草は全部売ることにする。討伐した魔物は達成条件を全て私達が貰えることになり(トングx1匹・チキリx1匹、ウルカx2匹・ギュシx23匹)、肉と皮については解体されて高品質になっているため全員で分配することにした。1匹だけギュシの亜種でランク4のギュオウという魔物がいたが、これは倒した私のものとなった(肉・皮・舌・脂身・レバー・骨・角)。

 売らないものは珪砂・蘇生草・4種宝石・2種鉱石・4種魔石、しかもこれは分配をせずに私とオビトの共有品となった。その代わりの条件として、4人に紋鉱石か緋鉱石のいずれかを1つずつ譲渡すること、4人に魔石を使った鞄を製作することに決まった。


 鉱石については、タクマさんは悩んだ末紋鉱石を選び、ヤミルさんとセイジさんも紋鉱石、メリダさんが緋鉱石を選んだ。鞄は目立つものは避けたいとの要望を受けたので、一見腰ベルトに見えそうなものを試作して見てもらうことに決めた。


 「冒険者3回目にしてはまあまあだよね?」

 「終わってみればいつも通りだったと思うよ」

 「「「「これで3回目‥‥」」」」


 ずぅ~ん、と言う効果音が聞こえてきそうな暗さだ。この4人、今日1日でシンクロ率が半端なく上がったよね。それにしても賑やかで楽しい1日だったな、ご飯も大勢で食べたせいか凄く美味しかったし!


 「じゃあ帰りますよ~。着いて来て下さいね」

 「あら、帰り道の目印は何処にしてあるの?」

 「えっ?そんなものないですよ」

 「マジかよ!?いつもどうやって戻って来てるんだ?」

 「<地図>を見ながら戻ってますけど」

 「「「「‥‥最後まで非常識」」」」


 魔物を<感知>しようが帰りは何もかも全スルー。和気靄靄わきあいあいと話をしながら歩く。主に料理のこととか製作したもののこと、それから持っているスキルのことを聞かれた。私を見ていて欲しいスキルが出来たのか、今後も細々とだが4人でレベルを上げることにしたらしい。


 お楽しみイベントになった門番の人とのやり取りはついに6人目に突入!おっしゃ~!あと1人でコンプリートだぜ!




 「こんにちは~」


 帰って来ました冒険者ギルド。今日はメリダさんとヤミルさんがいないからどうしたらいいんだろう?休みだと言っていた2人が戻ろうとすると、扉の奥からやたらとイケてるオジさんが出て来た。

 びきんっ、と4人が固まった。閉まっていた受付カウンターを開けて座ったと思ったらおいでおいでされる。周りを見回すと明らかに私達にしてるみたいだったので、それならと行こうとすると4人に肩を掴んで止められた。引っ張られるように冒険者ギルドを出る、というところで後ろから声が掛かる。


 「つれないなぁ、何故私も誘ってくれなかったんだい?」

 「見てわかるだろ?6人で定員丁度だ」

 「またタクマとパーティーを組みたかったのにな」

 「嘘を付くな、お前の魂胆はわかってるぞ」

 「メリダとヤミルがあれだけ怪しい動きをしていればね。朝だってあんなに行きたいってお願いしたのに、2人とも譲ってくれなかったんだよ。上司なのに酷いよね?」


 あ、この人がギルドマスターのエジムさんだ。言ってたみたいに面倒臭くて腹黒そう、本当に狸親父っぽい。


 「さあさあ、こんな所では何ですから受付カウンターへどうぞ、サエキ様」

 「あ、はい。狸親父さん」

 「「「「「「‥‥‥‥‥」」」」」」

 「ちょ、ちょっとイトっ!?」

 「「「「ぶ、ぶふぅ~っ!」」」」

 「あれ?私いま何て言った?」

 「狸親父って言ったんだよ!むぐぅっ」

 「「「「あははははははっ!」」」」

 「そこの4人笑い過ぎだ!‥‥この子達に吹き込んだのはお前達だな?」

 「「ま、マスターすみません、ぶ~っ!」」

 「エジムさん、すみません、く、くくっ」

 「すまんな、ははははっ」

 「‥‥謝るのか笑うのかどっちかにしてくれよ」


 とても逃げられそうにないので、大人しく受付カウンターへ着いて行く。


 「冒険者ギルドへようこそ。サエキ様、本日はどのようなご用件でしょうか」

 「今日受注したクエストの報告に来ました」

 「では、ギルドカードの提示をお願いします。本日受注された魔草・癒やし草採取の報告ですね?」

 「はい」


 オビトがクワ衛門から魔草160本と癒やし草70本を出す、エジムさんが僅かに目を見開いた。


 「魔草160本と癒やし草70本になります」

 「確認させていただきます」


 カウンター下の机で根元を確認しながら数え、纏めたものが23束になった。


 「確認させていただきました。魔草が160本と癒やし草が70本、間違いございません」

 「それからこちらのクエストもお願いします」


+-----+-----+-----+

【討伐クエスト/rank2-5】

草原・森に棲むトング討伐/2日

達成条件:トングのしっぽ/1匹


報酬:7,500ギル

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

【討伐クエスト/rank2-7】

草原・森に棲むウルカ討伐/2日

達成条件:ウルカのしっぽ/1匹


報酬:25,000ギル

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

【討伐クエスト/rank3-7】

草原・森に棲むギュシ討伐/2日

達成条件:ギュシのしっぽ/1匹


報酬:100,000ギル

+-----+-----+-----+


 「トングの達成条件が1匹分、ウルカの達成条件が2匹分、ギュシの達成条件が23匹分になります」


 オビトが言いながらカウンターに出していく。


 「今回のポイントは魔草8Px16=128P、癒やし草9Px2x7=126P、トング5Px1=5P、ウルカ7Px2=14P、ギュシ7Px2x23=322Pとなります。合計で595Pですが、どのように分けられますか?ちなみにそちらの4名の方々はランク以下となりますので、ポイントの受理は出来ません」

 「では、私に298P、オビトに297Pでお願いします」

 「次に報酬金額ですが魔草100,000ギルx16束=1,600,000ギル、癒やし草400,000ギルx7束=2,800,000ギル、トング7,500ギルx1匹=7,500ギル、ウルカ25,000ギルx2匹=50,000ギル、ギュシ100,000x23匹=2,300,000ギルとなります。合計で6,757,500ギルになります、こちらをお納め下さい。

 またランク2で200Pを超えましたので、お二人ともランク3へ昇格となります。上位ランクへの持ち越しポイントは、半分となりますのでご注意下さい。次回ランク4への昇格ポイントは300Pとなります。また今回のランク昇格に伴い、パーティーランクもランク3へ昇格となりました。おめでとうございます。では、ギルドカードをお返しします」


 渡される時に手を握られたので顔を上げると、カードをトントンと叩かれた。あちゃ~、やっぱりSPを見逃すはずがないよね‥‥。


 「では引き続き、買取りカウンターも私が承ります。あちらへどうぞ」

 「‥‥はひ」


 どうやら狙った獲物は逃がさないタイプらしい。この人絶対曲者だ。買取りカウンターに移動すると、オビトが売るものを出していく。


 「薬草が1,526本、魔草が5本、癒やし草が5本になります」

 「トングとウルカとギュシはお売りにならないのですか?」

 「はい」

 「そうですか‥‥、では薬草500ギルx1,526本=763,000ギル、魔草10,000ギルx5本=50,000ギル、癒やし草40,000ギルx5本=200,000ギル。合計で1,013,000ギルになります、こちらをお納め下さい。

 私事になるのですが、昨日偶然手に入れたヒジムの肉がこの世のものとは思えない美味しさだったので、また購入したいと思っております。昨日ヒジムを売られた方々全員にお聞きしているのですが、何か心当たりはございませんか?些細なことでも結構ですので教えていただければと思い、お話させていただいた次第でございます」

 

 くぅ~っ、この狸親父がぁ~!確信犯にも程があるぞ!


 「いえ、全く微塵も心辺りがありませんので、失礼させていただきます。今日はありがとうございました」

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