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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 食休みを兼ねて池のほとりで休憩をすることになった。地図に「池1号」のマーカーを打っとこっと。それにしても大っきい池だな、湖って言ってもいい位だし、底なんて深くて見えない。よくこういう所に何かが隠されてたりするんだよね~、お宝とか、お宝とか、お宝とか!

 でも水が汚いから濡れたくないし、息も続かない。何かいい手はないものか‥‥。海底に潜るときに着るスーツみたいなのがあればいいのにな。‥‥あれを魔法で再現してみる?うん、やってみる価値はありそう。


 SPスキル一覧を見たときに思ったんだけど、属性魔法と<治癒魔法>と<付与魔法>は何となくどんな魔法かわかった。でも<無属性魔法>が未知数なんだよね、実際『言語理解』とか『清浄』とか一切共通性ないしさ。

 例えば身体の周りに空気を固定させてみたら‥‥、ちょっとやってみっか。池に近づき指の周りに空気を固定、池に指を入れてると‥‥水が押しのけられて指に触れない。よし!これは空気の『空間固定』でいいだろう。じゃあ身体の周りに固定させてっと、足を突っ込んでみる。


 「イト!?何してるの!小っちゃいんだから足が着かなくて溺れるよ!」

 「ちゃんと泳げるわい!それに小っちゃいは余計だよっ!」

 「危ないわよイトちゃん。‥‥足の周りに水がないわ‥‥」

 「な、何だって~!?うわぁ、本当だっ!」

 「ど、ど、どうなってるの!?」

 「面白そうだな、俺にもやらせてくれ」


 皆に『空間固定』の説明をして、即席お宝探検隊が発足した。わかる、わかるよ!お宝と聞いてトキメかない奴はいないよね!まあ、ありそうってだけなんだけどさ。会話が出来ないと不便なので、全員の身動きが取れてなお余りある範囲を『空間固定』する。


 「私を中心に約半径5m範囲の空気を『空間固定』しました。ちなみにそこから出てしまいますと濡れる程度じゃ済みませんので、くれぐれもご注意願います」

 「「「「「了解!」」」」」


 いっせ~のせっ!で池に飛び込む。一応ハグレたら危ないので皆で手を繋いでおく。「どっぼ~んっ!!」




 「お宝探検隊!お宝探検隊!僕らはお宝探・検・隊っ♪」

 「何その変な歌‥‥」

 「くふふぅ、抑えられない胸のドキドキを表現しまくりでしょ?」

 「ああ、俺もあと10歳若けりゃ歌ってたな」

 「僕は歌うよ!僕らはお宝探・検・隊!」

 「うふふ、いい歌ね」

 「何だか楽しくなって来たぞ」

 「冒険者って変な人ばっかり‥‥」


 辿り着いた池の底は、上から見ていたのと違って水が澄んでいて砂もサラサラ。この砂、ガラスの材料になる珪砂だ。調味料も増やす予定だし瓶用にいっぱい採っとこ。ワトヤさんがくれた袋を出して、わっさわっさと入れていく。皆が手伝ってくれると言うので袋を渡すと、あっという間に6つの袋がパンパンになった。

 これはなんとも幸先がいいぞ!皆も初めて見る光景を楽しんでるし、潜ってみて大正解だったな。その中でもタクマさんは<鑑定>を持っているから、色々と確認しながら歩いてるみたいだ。う~む、しかし海じゃないから昆布もワカメも海苔もない。実に怪しからんっ!私は新しい食材を切実に求むぞ!

 緑色~、緑の物体は何処におるのじゃ~?ピカっと光る宝でもよいぞ~!んっ?遠目に緑色の物体を発見、これより確認に参る!ててててて~っと駆ける、「イト待って!?」いや待たん!


+-----+-----+-----+

[蘇生草]

薬になる草

〈効果:採取後1日で腐る〉

+-----+-----+

使用条件:薬剤Lv5

+-----+-----+-----+


 「急に走らないでよ、離れられないんだから」

 「蘇生草か、期待して損した‥‥ちぇっ」

 「「「「今、何て言った‥‥?」」」」

 「期待して損したって言ったんですよ。蘇生草なんて食べられそうもない草だったんで。ちくしょう、池藻や~い!」

 「「「「‥‥蘇生草」」」」

 「イト、これのこと?」

 「それは雑草、それじゃなくてこっち」

 「根元は‥‥これ何色に見える?」

 「え~と、真珠みたいな虹色?」

 「見える範囲で何本位ありそう?」

 「ん~、草原と違って水の中は遠くまで見えないから、近付かないとちょっとわからないかも」

 「じゃあ適当に歩こうか」

 「お宝ないかな~」

 「「「「既に発見済‥‥」」」」


 地図を見ながら歩いていない所を歩く。全くもう、また蘇生草だよ。これ以上緑色を追跡してもダメそうだな。ここは気持ちを切り替えてピカっと光るやつを探しましょ。

 宝石は鉱石?鉱石には金属が含まれているよね。いやこの世界のものはきっとそうだ!てことは磁気があるとして、私が磁気を帯びたら引き寄せられたりしないかな?とりあえずダメ元でやってみっか!


 <無属性魔法>で『磁気』を自分に帯びさせる、宝石の所に連れて行け!


 「ふおおおおぉ~!?引き寄せられるぅ~!!」

 「イトっ!」


 ガシっとオビトが私の腕を掴んだ、けど一緒に引き摺られる。ガシっ、ガシっ、ガシっ、ガシぃっ!後ろに4人も繋がった。


 「どうなってんだっ!?」

 「いいから離すなよ!」

 「メリダ、ちゃんと腰に捕まって!」

 「わかってる!」

 「うぐぐぅ、もう限界だぁ!!捕まってて下さい、オビト飛ぶよっ!」


 皆をくっつけたまま引っ張られている方向に思い切って飛ぶと、弾丸のようなスピードで池の中を進んで行く。あ、これヤバいかも‥‥!?


 「か、か、解除ぉ~!!」


 「ズドオオォ~ン!」と爆発したような音を立てて池底に突っ込み、砂が一面に舞う。うぇ、口の中がジャリジャリするよ‥‥。濡れてないけど砂まみれ、パタパタと叩いていると静かな殺意を<感知>した。


 「お、怒らないで下さい。もう二度としません!いえ、やると思うので今度からは1人でやります故!」

 「「「「「‥‥明日もプリン」」」」」

 「さー、いえっさー!心を込めて作らせていただきますであります!」


 ふぃ~、許してもらえて良かったよ~。これでお宝がなかったら本当に泣くからね!砂が吹っ飛んおかげで池底が抉れて固い地盤が見えている。これはピカっどころの話じゃないよ‥‥、一面ビッカビカだってばよっ!!?


 「よっしゃあ~!お宝はっけ~ん!僕らはお宝探・検・隊っ♪」

 「「「「「‥‥本当にあった‥‥」」」」」


 大判小判がザックザクじゃないけど、宝石鉱石がザックザク!先生方お願いしますっ!


+-----+-----+-----+

[黒曜石]

魔力を込められる宝石

+-----+-----+

使用条件:細工・錬金Lv6

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

[琥珀]

魔力を込められる宝石

+-----+-----+

使用条件:細工・錬金Lv6

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

[翡翠]

魔力を込められる宝石

+-----+-----+

使用条件:細工・錬金Lv6

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

[紫水晶]

魔力を込められる宝石

+-----+-----+

使用条件:細工・錬金Lv6

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

[緋鉱石]

稀少な鉱石

+-----+-----+

使用条件:鍛冶Lv6

+-----+-----+-----+


 宝石はそれぞれが15cm大の塊、その他にも紋鉱石と緋鉱石なるもの、それから待望の魔石がたんまりと出てきた。


 「「「「俺達(僕達)(私達)の冒険者時代って一体‥‥」」」」

 「宝箱がないことに私は物申すっ!」

 「ここまでやっといて宝箱を気にするイトが凄いよ」

 「わかっとらんな、宝箱は女のロマンなのだよっ!」

 「「「「「いや、初耳だから‥‥」」」」」


 全員で拾い忘れがないように集めて、私のクワ太に片っ端から突っ込む。何だかんだで1時間は潜ってるから酸素がそろそろ心配だし、今日の池底調査はこんなところにしといてやるか。

 戻ることを皆に告げて、<水魔法>を使って水を動かし空気ごと下から上へと移動する。勿論手を繋ぐことも忘れない。「ザバァ~」と池が盛り上がり、その勢いのままに池から飛び出す。すちゃっ、両手を挙げてハイ10点!ヤミルさんとセイジさんもポーズを決めて付き合ってくれた。


 3人で顔を見合わせてニンマリ、新たな絆が誕生した瞬間だった。

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