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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 「じゃあ草原を抜けるついでに草を集めます。タクマさんも<鑑定>を使えるので、二手に分かれましょうか」

 「そうだ、勝負しようよ!イトちゃんオビト君チーム対臨時4人チームでさ♪」

 「面白そうね」

 「だな、久々にワクワクするぜ!」

 「お前達、やるからには勝つぞ。作戦会議だ」


 いきなり盛り上がって参りました!4人は円陣まで組んでるよ。何だかんだで楽しんでるな、この人達。大人になるとはっちゃける機会が減るもんね。


 「オビト、昨日と同じでいいよね?」

 「昨日より気持ち早めで行こうか。俺もやるなら勝ちたいし」

 「あ、じゃあ賞品を出そうか?その方が面白いし」

 「いいね、何を賞品にする?」

 「う~ん、そうだなぁ‥‥すみません、ちょっといいですか?」

 「何だ?」

 「勝った方に賞品を出すことにしようかと思うんですけど、お昼ご飯に砂糖を使ったデザートを付けるというのはどうでしょうか?」

 「「「「乗った!」」」」

 「イト、絶対勝つよ!」

 「お、おお~‥‥」


 オビトまでもがこのやる気。私は負けたときが怖い‥‥。


 「制限時間を私の腹時計で「私の時計で計りましょう」‥‥30分とします。それでは各自位置について、よ~いドンっ!」


 一斉に飛び出す。こちらは見つけた草を私が掴みオビトが採取、している間にの繰り返しだが、昨日と違うのはオビトがモクを倒したときのようにほぼ飛んでいること。そして気が付くと私も自然と煽られて走っていた。このペースで30分も持つのか‥‥?「終わりよ!」な~んて考えていたのに普通に大丈夫だった、えっへん!


 「はぁ~、疲れたよ~」

 「身体が鈍っててキツいな」

 「私も少し鍛え直さないとダメね」

 「お前達随分へなちょこになっちまったなぁ」

 「では集計に移ります。各チームで数を数えて下さい」

 「こっちは薬草が1,012本、魔草が117本、癒やし草が52本です」

 「早っ!?オビト採取しながら数えてたのか?」

 「鞄に入れただけですけど、数えましょうか?」

 「「「「‥‥お願いします」」」」

 

 オビトはクワ衛門の4:未定に渡された草を入れた。


 「そちらは薬草が514本、魔草が48本、癒やし草が23本ですね。はい、お返します」

 「便利だな‥‥」

 「機能が天井知らずね」

 「僕も作ってみたい」

 「本当に凄ぇな」


 そんな目で見られても魔石はもう持ってないもんね~、残念でした。


 「しかし4対2でも勝てないとは驚きだぜ」

 「ヤミル見てなかったでしょう?オビト君飛んでたわよ」

 「何それ!?僕も見てなかったよ」

 「オビト、ちょっと飛んでみてくれねぇか?」

 「いいですよ」


 ぴょ~ん、とオビトが飛ぶ。木がないから昨日のような軽業は見せられないけど、十分驚く高さだよね。もうネックレスはあるからいらないけど、私も少し位飛んでみたいな。ぴょん、ぴょんとその場で跳ねてみる。

 お、何か始めたぞ?っていう微笑ましい視線を感じる。ぴょん、ぴょん、ぴょ~ん、ぴよ~ん、あら不思議、いつの間にかオビトよりも高く飛んでら。下を見ると皆の驚いた顔が見えたので手を振っておいた。


 すちゃっ、と手を広げて着地。何故手を広げてしまうのかは永遠のテーマである!


 「「「「‥‥‥‥‥」」」」

 「イト、ステータス見てくれる?」

 「ら、らじゃ~」


+-----+-----+-----+

イト・サエキ(佐伯 絲)

年齢:16

職業:-

Lv:5

冒険者rank:2-36/L2

商業rank:-

スキル:-

SP:80

状態:-

受注クエスト:rank2-8魔草採取・rank3-9癒やし草採取

+-----+-----+

HP(生命力):180/180

MP(魔力):10,080/10,080

STR(筋力+(攻撃)):17+(135)

VIT(体力+(防御)):16+(140)

AGI(敏捷+(敏捷)):13+(125)

INT(知性+(魔力)):33

DEX(器用+(器用)):39+(30)

LUK(幸運+(幸運)):89+(20)

特殊スキル:<家事><習得>

習得スキル:<育成∞><無属性魔法Lv3><異世界言語Lv4><鑑定Lv5><分析Lv5><剣術Lv1><槍術Lv1><斧術Lv1><弓術Lv1><体術Lv2><棒術Lv2><感知Lv2><索敵Lv2><地図Lv2><錬金Lv6><鍛冶Lv2><投術Lv1><身体強化Lv1>

+-----+-----+-----+


 「何か増えてない?」

 「<身体強化>が増えているであります!」

 「やっぱりね。ねえ、さっき草で指を切っちゃったんだけど治してくれない?」

 「どれ?あ~、結構深く切れてるじゃん!早く言いなよ」


 傷口を見るとちょっと土がついている。綺麗になってから塞がれ~と魔力を流してみると、ホワホワと白い光が指を覆って傷が治っていた。


 「どう?スキルが増えたんじゃない?」

 「‥‥<治癒魔法>が増えました」


 ステータスを見たらMPが10減っていて、<治癒魔法Lv1>が増えていた。


 「話には聞いていたが、目の当たりにすると本当にビビるな」

 「ね、僕なんか自分の不甲斐なさに泣いたよ」

 「ヤミルもタクマさんも他言無用ですからね」

 「メリダもエジムに悟られるなよ。今日の休みも突っ込まれたんじゃねぇのか?」

 「ええ、無視しましたが」

 「頼むぞ。アイツああ見えて根に持つタイプだからな」

 「あの、エジムさんというのは冒険者ギルドの方なんですか?」

 「そういえば、イト達は会ったことがなかったな。俺達の上司で我が道を行くギルドマスターのことだ。しかも昔、タクマさんとパーティーを組んでた人なんだぜ」

 「面倒臭そうですね」

 「くすくすっ、確かに面倒臭い人かもね」

 「あの狸親父が何処で聞いているかわからないわ。そろそろ止めておきましょうか」

 「「怖っ‥‥」」

 「ははははっ、狸親父とは上手いことを言う」


 パーティーなので薬草はオビトのクワ衛門に纏めることになった。全部で薬草が1,526本、魔草が165本、癒やし草が75本。低い人でもランク5の4人なのでランクポイントは私とオビトで分けることになり、報酬と買取り金額のみを6等分することに決まった。


 「じゃあクエストも完了したことですし、適当に採取しながら森へ向かいます」

 「ふふ、適当ってところがいいわね」

 「オビト君、こんな感じで魔石も見つけたの?」

 「まあ、間違ってはいませんね」

 「「‥‥適当過ぎる」」


 聞こえてますけど‥‥。おっと、サアとコトン見っけ!談話している5人を横目に黙々と入れていく。取り尽くすと掘り起こされた土の中から何かが出てきた。<分析>さんお願いします。


+-----+-----+-----+

[紋鉱石]

稀少な鉱石

+-----+-----+

使用条件:鍛冶Lv6

+-----+-----+-----+


 おぉ、やったね!Lv6まで見れるようになってる。


 稀少な鉱石って何だろう?蒼鉱石は私の中ではミスリルなんだよね。後ありそうなのはオリハルコン・ヒヒイロカネ・ダマスカス。土を払ってみると表面に模様がある、てことはダマスカスが濃厚かな。

 もうちょっと掘り起こしてみよ。よっと、ほいっと、力があるって素晴らしいね。ここ掘れワンワンじゃないけど、ザックザクは嬉しいぞ!結果、紋鉱石もんこうせきが2つ出てきた。やっぱり山だったんじゃないのココ?考えていてもしょうがないので、紋鉱石を抱えて皆の所へ戻る。


 「それ、また転がってたの?」

 「ううん、今回はちょっとだけ掘った。紋鉱石っていう名前の鉱石らしいよ。丁度<分析>がLv6になったみたいで見れたんだ」

 「「「「‥‥‥‥‥」」」」

 「あれだけ薬草類見てればイトなら上がるんだろうね」

 「私思うんだけど、ここら辺ってやっぱり山だったんじゃない?」

 「もうそれでいいよ。現にここにあるし」

 「「「「‥‥‥‥‥」」」」 

 「模様が格好いいから、これで剣を作ってよ」

 「じゃあ私の分も作ろ!装備でステータス上がったから使えるし。おっ、これは剣豪の夢再びってやつ?くふふぅ、ならば○○武蔵のように目指すは二刀流ですな!」

 「珍しく名案だね。俺も早さ重視で行きたいから手数が多い方がいいな」

 「そしたらオビトのは細身にするよ。私は二撃必殺で格好良さ重視にするからさ」

 「いいね、使ってみて合わなかったら作り直せるよね?」

 「当たり前だい!大船に乗ったつもりでお姉さんにど~んと任せなさいっ!」

 「「「「乗せるのが上手い‥‥」」」」


 4人に見せてくれと言われたので紋鉱石を渡す。タクマさんが随分と熱心に見ているのはすぐわかった。「「「あり得ない‥‥」」」って聞こえるけど、実際にありますから~。


 「イト、頼みがあるんだが、その、1つ買い取らせてくれねぇか?」


 やはりそう来たか。話を聞くと紋鉱石は滅多に見つからない鉱石らしく、採掘量も殆どないらしい。タクマさんの<鍛冶>は現在Lv6だそうで、加工が出来るのに手に入らなかったと言うのだ。

 剣を4本作るにしても5個位ないと足りないからいっか、って忘れるところだった‥‥。木も採取しとかないと柄と鞘が作れないよ。


 「差し上げますよ。また見つかると思いますし」

 「「「「‥‥‥‥‥」」」」

 「オビトもいいよね?」

 「うん、見つけたのはイトだし」

 「貴方達大物ね‥‥。私の記憶に間違いがなければ、1つ1,000,000ギルだったはずよ。ヤミル覚えてる?」

 「俺も取り扱ったことは一度しかないからなぁ。うろ覚えだが、確かそんなもんだったと思うぞ」

 「「ひゃくまん‥‥」」

 「値段はいくらでも構わん」

 「僕もそんな台詞を言ってみたい‥‥」


 あげる気満々の私と買うつもり満々のタクマさん、そして渦中の紋鉱石へと皆の視線が交錯する。


 「こうしててもしょうがないわ。また後でどうするか決めましょうよ、ね?」

 「そうですね。じゃあ、森に行きましょうか。イト<索敵><感知>をお願いね」

 「あいあいさ~!‥‥あれ?私が子分?」

 「「「「ぷっ」」」」




 今日も魔物がたくさんいますなぁ。皆さんご案内致します、こちらへどうぞ。最初に見つけたのはお肉の美味しいトングさんです、誰が行きますか?


 身体が鈍ってるので丁度いいと言って、ヤミルさんが出撃です。武器は棒みたいだな。組み立て式のものを持ってたから気付かなかったよ。クルクル回しながらトングに近付いて行き、気付いたトングが襲って来たのを地面に棒を突き立て跳ねて躱す。そして着地がてら真上からトングの頭目掛けてゴツンと1発。

 キュ~っと伸びたトングの一丁上がり!首をナイフでスパっと切って止めを刺した。「オビト」呼ばれたオビトがクワ衛門にトングをしまう。


 「案外動けるもんだな」

 「次は私が行くわ、イトちゃんお願いね」

 「了解であります!」


 次の獲物は何じゃろか?おっと、引っ掛かりましたね。お次はニワトリ?そしてモクみたいにデカくなってる。大きさはニワトリの5倍はありそう、トングと同じ位かな?


 わぁ、見た目と違って獰猛どうもうそう。あの嘴で突かれたら絶対肉が抉れるって。素早さもトングの非じゃない。何でトングの方がランクが上なんだろう?

 それでもメリダさんの先制、武器は「うわぁ~」‥‥斧。鞄に入れていたのか相当デカいけど、軽々と振り回してる。今後、いや、今までもだったけど絶対に逆らうのは止めよう!向かってくるニワトリに斧をブンっ!と振るうと、切られた反動でブっ飛んでった。


 なるほど、アイツ軽いから攻撃があんまり重くないのか。いや、そんなの関係ないとしたら‥‥ブルブル。


 「もうちょっと歯応えのある奴がいいわ」

 「相変わらずメリダは、よくそんなものを軽々と振り回せるよね‥‥。それじゃあ次は僕かな?」

 「はい」


 さっきのニワトリはチキリという名前でした。ダメだ‥‥魔物を<鑑定>する癖が付いてないんだよ。お、発見。森の奥の方に点々としてるな。どれにしようかな?よし、君に決めたっ!現れたのはウルカ、しかも2匹。どうする?ってセイジさんを見たら1人で行くみたい。


 セイジさんの武器は刺突短剣、刺して良し、投げて良しのやつだ。よく見たら腰ベルトにも4本刺していて、持っていた短剣を1発でウルカの眉間へ命中させた。「凄っ!?」それと同時にもう1匹に近づき心臓を一突き、で終了。

 この3人なんで冒険者止めちゃったの?今でも十分現役でやっていけるだろうし、問題なんて微塵も感じないよ。セイジさんなんて、これで冒険者には向いてないって言ってるんだから困ったもんだよね。


 「外してたら格好悪いから当たって良かったよ」

 「しかしお前達3人は武器のバランスがいいな」

 「だからランク5まで行ったんでしょうね」

 「そうだな、イト次を頼む」

 「わかりました」


 結構森の奥の方まで来たし、そろそろトウキも見つけたいから魔物の群れを見つけてみるかな。おぉっ!何かピンっと来た。これはレベルが上がったかな?<索敵><感知>の範囲が広がった気がする。えっ~と‥‥いたいた、これはかなり多いぞ。まあ、6人いるから大丈夫だと思うけど一応聞いてみるか。


 「タクマさん、20匹位纏まってるんですがどうしますか?」

 「問題ねぇぞ」


 で、出ました。これはまさに闘牛!?森の中に突如現れた池?で群れが水を飲んでいる。ギュシの皮にそっくりだからギュシと見た!

 タクマさんが背中に背負っていた槍を手に取り、軽く振ってから駆け出した。流石に相手がギュシで数が多いと思ったのか、3人もタクマさんの後を追う。私とオビトも顔を見合わせて頷き、皆の後に続いた。タクマさんを見ると闘牛士のようにギュシを槍で翻弄し、急所に攻撃を喰らったギュシがドゥっ!と倒れた。やっぱりこの人も凄い!


 私とオビトは包丁なので間合いが短い。オビトは昨日のようにヒット&アウェイで飛び退りながら攻撃を繰り返す。私はというと「うりゃあ~!」と飛び掛かり左でパンチ、殴られたギュシが他のギュシを巻き込んで吹っ飛んで行った。通りすがりに右手に持った包丁で、ギュシの首をスパスパっと切りながら進む。

 「グモォ~!」と巻き込まれて立ち上がれないギュシに止めを刺す。そして殴ったギュシはというと、泡を吹いて既に事切れていた。なるほど‥‥一撃必殺とはこのことか、包丁をしまう。「おっしゃ~!」と気合いを入れ、手当たり次第に殴り掛かる。

 おっと、靴も足技を使えるようにしたんだっけ。それ、回し蹴り!踵落とし!そしてお前は‥‥ローリングソバットだっ!ふふん、全てを一撃で仕留めてやったぜ‥‥。カンカンカンカンっ!ゆーうぃん!!右手を突き上げて周りを見渡すと、私の他は誰も戦っていなかった。何で?


 「「「「戦い方も非常識‥‥」」」」

 「イト、近くにもう魔物はいないよね?」

 「‥‥うん、大丈夫みたい」

 「俺ギュシを集めてくるから、昼ご飯の準備始めててよ」

 「あいあいさ~」

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