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織りなす絲  作者: 琴笠 垰
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 「こんにちは~」


 やっぱり夕方は人が少ないな。今回は前回の教訓を生かして、先にクエストボードを見に行く。


 「冒険者ギルドへようこそ。サエキ様、本日はどのようなご用件でしょうか」

 「今日受注したクエストの報告に来ました」

 「では、ギルドカードの提示をお願いします。本日受注された魔草・癒やし草採取の報告ですね?」

 「はい」


 オビトが鞄から魔草30本と癒やし草10本を出す。


 「魔草30本と癒やし草10本になります。予定より魔草が10本多いんですが、大丈夫ですか?」

 「はい、問題ございません。確認させていただきます」


 カウンターから降ろして、下の机で根元を確認しながら数え始める。10本ずつ束にして、纏めたものが4束になった。


 「確認させていただきました。魔草が30本と癒やし草が10本、間違いございません」

 「それからこちらのクエストもお願いします」


+-----+-----+-----+

【討伐クエスト/rank2-5】

草原・森に棲むトング討伐/2日

達成条件:トングのしっぽ/1匹


報酬:7,500ギル

+-----+-----+-----+

+-----+-----+-----+

【討伐クエスト/rank2-6】

草原・森に棲むヒジム討伐/2日

達成条件:ヒジムのしっぽ/1匹


報酬:10,000ギル

+-----+-----+-----+


 「トングの達成条件が2匹分、ヒジムの達成条件が3匹分になります」


 オビトが言いながらカウンターに出していく。


 「今回のポイントは魔草8Px3=24P、癒やし草9Px2x1=18P、トング5Px2=10P、ヒジム6Px3=18Pとなります。合計で70Pですが、どのように分けられますか?」

 「35Pずつでお願いします」

 「次に報酬金額ですが魔草100,000ギルx3束=300,000ギル、癒やし草400,000ギルx1束=400,000ギル、トング7,500ギルx2匹=15,000ギル、ヒジム10,000ギルx3匹=30,000ギルとなります。合計で745,000ギルになります、こちらをお納め下さい」


 お金を鞄にしまう、ブースがあると慌てなくていいね!


 「では、ギルドカードをお返しします。本日はありがとうございました」

 「こちらこそありがとうございました。また宜しくお願いします」


 ペコっとお辞儀をすると、メリダさんは小さく手を振ってくれた。その足で買取りカウンターへ向かうも、こっちはちょっと混んでいた。


 「オビト、混んでるからあそこに座って待ってようか?」

 「うん」




 ギルド左側の空いている椅子に座る。この椅子ちょっと高くない‥‥?足が着かないためブラブラさせながら待つ。買取りカウンター早く空かないかな~。


 「ねえ、タクマさんに夕飯ご馳走になること、レイアさんに言わなくて大丈夫かな?」

 「確かにそうだね‥‥、夕飯に招かれたの初めてだったから気付かなかった」

 「そしたら一回帰ってから行こっか」

 「ありがとう」

 「くふふっ、タクマさん家で砂糖「サアヤ、早く来いよ!」を‥‥」

 「ロビン待って!」

 「買取りカウンター丁度空いたぞ」

 「じゃあ受付と別れようぜ」

 「ニイナ疲れちゃった」

 「だったら俺とここで待ってる?」


 ロビン君達のパーティーが冒険者ギルドにやって来た。綺麗な女の子と可愛い女の子が増えてる。‥‥くっ、あの日の出来事を思い出しちまったぜ。思わず眉間に皺が寄ったのが自分でもわかり、指で触って皺をグリグリと伸ばした。

 6人は私達に気付かず、買取りカウンターと受付カウンターへ別れて入って行った。無駄に声が大きいのか丸聞こえだ、わざとやってるとしか思えん。


 「今日は何だ?」

 「ウルカを2匹だ」

 「解体なしか‥‥、ウルカの肉・皮12,500ギルx2匹=25,000ギルだ」

 「相変わらずシケてんなぁ。戦いもしない癖に差っ引き過ぎだぜ。俺達がいなきゃメシも食えないんじゃねぇの?なあ?」


 非常に失礼極まりないことを言っていて、思わず拳を握りしめてしまう。オビトを見ると、口を噤み机を見つめていた。知れば知る程、彼らがオビトの友達だったとは思えなくなる。その後受付カウンターの方も終了したようで、ギルドの真ん中に輪になって集まった。


 「よし、分配するぞ。ポイントは全部で14P、俺が4P、5人が各2P、ギルドカードを返すぞ。金は全部で75,000ギル、俺が15,000ギル、5人が各12,000ギル。取り決め通りだ、問題ないな?」

 「うん、大丈夫」

 「明日はどうするの?ニイナお昼からがいいな~、どうせ魔物見つからないし」

 「今日のウルカも5日振りか?‥‥おい、あれ」

 「何だよ、‥‥ロビンあそこ見てみろ」

 「ああ?よう、オビト。まだそいつと一緒にいんのかよ」

 「何か用?」

 「全然会わねぇから、冒険者を辞めたのかと思ってたぜ」

 「まあ、今日で2回目だからね」

 「あれから2回?ははっ、向いてないんじゃねぇの?俺が薬草の見分け方から教えてやろうか?」

 「ひっでぇ~!せめてチキリの倒し方位は教えてやれよ、ひゃはは!」

 「コイツらに教えたところで無理に決まってんだろ、なあオビト」

 「そうかもね」

 「今日は何しに来たんだよ」

 「これからラビの買取りをしてもらうんだ」

 「ぶはっ、聞いたか?ラビだってよ、ダッセぇ!俺達は最初からトングを討伐してたぜ」

 「へえ、凄いね」

 「弱っちいんだから、俺達みたいにウルカを討伐出来ると思うなよ。って忠告するだけ無駄か。お前達には一生掛かっても無理だろうからな」


 言いたいだけ言って、ゲラゲラと笑いながら帰って行った。口を挟む隙もなく終わったあっという間の出来事に、遅ればせながら怒りが沸々とこみ上げてくる。


 「オビト、他のも言えば良かったのに!」

 「いいよ、言っても揉めるだけだし」

 「でも、あんな奴らにバカにされてるのが悔しいよ」

 「俺は気にしてないよ。逆にアイツの話を聞いて、パーティーに入らなくて良かったって実感してたところ」

 「‥‥もしかして、ネコババ?」

 「それもあるけど、一番嫌なのは成果が良くないのにそれについて何も考えていないことかな」

 「私はヤミルさんに失礼なことを言ってたのが許せないよ」

 「‥‥昔はあんな奴らじゃなかったのに」

 「それは多分、冒険者のせいだな」

 「ヤミルさん、こんにちは」

 「ああ、久し振りだな。待ってたのにバカ共が割り込んでくるわ、いなくなってもお前達は来ないわでこっちが来ちまったぞ」


 ヤミルさんに促されて買取りカウンターに移動すると、オビトが鞄から売るものを出していく。


 「薬草が335本、魔草が1本、癒やし草が8本、モクの肉・皮が2匹分、ラビの肉・皮が12匹分、トングの皮が2匹分、ヒジムの肉が3匹分になります」

 「今回も多いな、薬草500ギルx335本=167,500ギル、魔草10,000ギルx1本=10,000ギル、癒やし草40,000ギルx8本=320,000ギル。

 解体してあるから差っ引きなしでモクの肉・皮250ギルx2匹=500ギル、ラビの肉・皮500ギルx12匹=6,000ギル、トングの皮2,500ギルx2匹=5,000ギル、ヒジムの肉6,667ギルx3匹=20,001ギル。

 合計で529,001ギルだ、受け取ってくれ。ところで、さっきメリダにはどの位の薬草類を渡したんだ?」

 「魔草30本と癒やし草10本です。出来れば毎日魔草20本と癒やし草10本の要望ももらっていますよ」

 「お前達今日もかなり採取してくれたんだな。助かるが無理はしないでくれよ。それにしても今日の肉と皮は凄くいいな、オビトが解体したのか?」

 「‥‥はい、そんなにいいですか?」

 「解体に慣れてる俺がやっても出来ない位だ」

 「ありがとうございます。ところで先程の話なんですが、冒険者のせいというのはどういうことでしょうか?」

 「ああ、中途半端だったな。オビトは知ってるかもしれないが、冒険者の中には柄の悪い奴らがいてな。アイツらが何を気に入られたかはわからんが、奴らに目を掛けられているのは確かだ。付き合っていくうちに奴らの考え方に染まっちまった、で今に至るって訳だ」

 「‥‥そうだったんですか」

 「俺達も慈善事業じゃないからな。ギルド内はともかく、外までは目が行き届かない。登録可能とされる13歳という年齢は、この世界において自分の責任で行動出来る大人という扱いになる。だが俺達がどうにかしなかったのも事実だ、申し訳ない」

 「いえ、教えていただいてありがとうございました」

 「ああ、こっちも助かったよ。また宜しくな」

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