18-4~7日目
まず結論から言おう、恐ろしいものを作ってしまった‥‥。
セイジさんに相談した日は道具集めに奔走した。お店で使っているものを見せてもらい、それに併せて説明もしてくれた。<裁縫><細工>についてはあまり変わらず、針・ハサミ・型紙・ボタン、ペンチ・ニッパー・ヤスリ・金槌・木槌・ピンセット等。
そして<錬金>については道具はあるけど専用って程でもなく、調理道具で行けそうだったのでそちらを購入することにした(決して私利私欲ではない)。その後行きつけの道具屋兼雑貨屋さんを教えてもらい、オビトと2人で鞄に詰め込み宿との間を何往復もした。調理道具と食器等も大量に買ったので、全部で222,750ギルの出費となった。
製作2日目。
丁度セイジさんのお店がお休みだったので、材料と道具を持ってまた突撃した(ちゃんと約束済)。手始めにスキル取得がてらウルカの皮を鞣し、革の製作をする。
皮から不要な毛と脂を『分離』、させようとして茹でる?いや、水と油みたいに分離しないかなって思いながら、自分の魔力を水に見立てて皮を触っていたら<錬金>を取得。そして『分離』に成功、まずこの時点でセイジさんが驚いた。
この世界のスキルはレベルで出来ることが増えるのではなく、材料のレベルよりスキルレベルが下回っていれば失敗、上回っていれば成功というものらしい。またスキルレベルが高ければ高い程、高確率で良いものが出来る。
決められた技がない分、戦闘系も含め想像力・発想力がものを言うそうだ。<錬金>を取得したとはいえ、Lv1でLv2のウルカを成功すること自体があり得ないみたい。
ちなみにスキルレベルを聞いたらこんな感じだった。初心者Lv1~3、中級者Lv4~6、上級者Lv7、達人級Lv8、伝説級Lv9、神話級Lv10。
ここで私の育成は、カンストでLv10だったことが判明。これについては、イトだからの一言で見送りに‥‥。調子に乗って全てのウルカとラビの皮を鞣していると、セイジさんがお店の奥からギュシ・ホスマ・ベアントの皮を持ってきた。
3つの皮はLv3、流石に出来ないと思うけどね~って言われてやってみたら、ハイ成功!「僕の日頃の苦労は一体‥‥」と落ち込むセイジさんはほっといて、ギュシは牛・ホスマは馬・ベアントはやっぱり熊もどきだった。
鞣した革はあげるよと言われたが、オビトに聞くとざっくりでもかなり高額だったのでちゃんと買うことにする。計算すると166,667ギルだったので、オビトの賛同を得て2人で折半した(リーダーなので端数は私が出した!)。
折角なので牛革紐のレザーネックレスを目指して、革紐を作ってみることにする。モクの糸をピンピンと引っ張ってみると、ちょっと強度が弱い。
切れたら嫌なので『分離』のときのように固くなれ~、と自分の魔力で糸をコーティングする感じで触っていたら、釣り糸より柔らかい柔強度な糸になった。これは『硬化』の一種なのだろうと思う。
そうだ、鞣した革も『硬化』して強度を上げれば、壊れたり・破れたりしなくなりそうじゃない?あ、汚れるのも嫌だな、こういう場合は『状態維持』でいいのかな?魔力で全ての革をコーティングしていけば、なんだか光沢が出てこなれた感じになった。
ギュシの革を長さ太さを決めて、切って・縫ってしたところで<裁縫>の取得‥‥、かと思いきや取得出来ず。これにはオビトも首を傾げる。鞄から石を取り出して革紐で編み込む、ちょっと金属を入れたら格好いいかも、と思いセイジさんに聞いてみると鍛冶道具を貸してもらえた。
黒みを帯びて渋い蒼色をしている蒼鉱石を、金床の上でノミとハンマーを使い「えいやぁ!」っと叩いたら割れて<鍛冶>を取得。こんな小さい欠片、火で溶かしたらなくなっちゃわない?柔らかくならないかなって思いながら、自分の魔力を火に見立てて触っていたら『錬成』に成功。
急いで金槌で叩いて、革に覆わせるようにして整形。石のパーツと首に通す革紐を繋げてから切れ目を縫うと‥‥うおぉ~、超格好いいっ!
もうこのときには、セイジさんの目に涙が浮かんでいた。ツンツンっと服を引っ張られたので横を見ると、オビトがネックレスをじ~っと見ていた。
無言の要求をされたので、無言でオビトの分も作る。石はもうないので石の代わりに小魔石(透明)で、同じようにギュシの革と蒼鉱石を使って製作してオビトの首に掛けてあげた。そこで<分析>。
+-----+-----+-----+
[ブルーレザーネックレス]
ギュシの革で作ったネックレス
〈効果:STR+15・VIT+35・使用者重量軽減〉
〈製作ボーナス:不壊・防汚〉
+-----+-----+
ギュシの革+モクの糸+蒼鉱石+小魔石(透明)
作成条件:裁縫・細工・鍛冶・錬金Lv4
+-----+-----+-----+
内容を伝えると、セイジさんとオビトが固まった。まず効果の数値が、レベルに合っていないらしい。効果値にはLv1~3:0・5・10、Lv4~6:15・20・25、Lv7:30、Lv8:50、Lv9:70、Lv10:100という理があるらしく、私が持っている他のものも見たら本当にそうなっていた。
この場合だとLv4(それも不思議)なので効果値が合計15のはずが50あり、それだけでLv8相当となってしまう。スキルレベルが高ければ高い程、高確率で良いものが出来るというのに当て嵌まってしまうのだ。そして何故か<細工>も取得出来ず、オビトの首がさらに傾いた‥‥。
後は製作ボーナス。これは達人以上から付くものらしく、レベルでいうとLv8以上になる。もちろん私はLv1、もうオビトは身体ごと傾く勢いだ‥‥。
私のネックレスについては、久々の<鑑定><分析>失敗。5日目にして何となくわかってきたのは、単純にレベル不足じゃないかということ。わからないものは他の人も知らないことが多いのだ。まあ、レベルが高い分にはいいよね。とまあ、ネックレスだけでこんな感じ‥‥。
製作3・4日目。
連日お邪魔するのは申し訳ないので、宿の自室でオビトの監視付きにて製作。取り掛かったのは服・靴作り。防具は勿論だけど、普段着と寝間着が欲しかったんですよ。手にはサアとコトン、 さてどうしようか‥‥。
サアは麻で、茎の繊維をバラして柔らかくしたら糸が紡げる。コトンは綿で、綿状の部分を使い繊維をならしてシート状にしてから糸を紡ぐ。無理だな、布を織る機械もないし。はてさて‥‥、とりあえず採寸すっか。
考えた末、サアの形状を強引に変化させるように自分の魔力をゴリ押しして触っていたら布になった。これは『形状変化』でいいのかな?撫でるとちょっとゴワゴワする感じ。
う~ん、涼しくて放熱・放湿性と速乾性があるって聞くけど、これはちょっと私の柔肌を傷つけるやもしれん‥‥。材料が勿体なかったな、サアに戻らないかなって『形状変化』をしてみると、ハイ元通り!
コトンは吸湿・保水性があって通気性がいいって聞く。ただ縮み易いんだよね。ということは‥‥、『合成』してみましょ!え~っと、右手にサアを1・左手にコトンを9持って『合成』、それから『形状変化』だ!「いやっふぅ~!」これは肌着向きの柔らかさだね、下着とTシャツにしよう。って考えていたら「いきなり奇声を発しないでよ」とオビトに怒られた‥‥。
おっと、忘れずに『硬化』『状態維持』をしなきゃ、ネックレスみたいに不壊・防汚を付けたいからね。ん?うわぁ、ダメダメ!『硬化』は最後にしなきゃ縫えなくなっちゃうよ、あっぶねぇ!
それからサアとコトンの比率を変えて『合成』『形状変化』『状態維持』、何種類かの布を大量に作る。サラッとしたYシャツや制服のようなもの、少し柔らかめのシャツとかトップスに使えそうなもの、ちょっと厚地なズボンに出来そうなもの、少し固めでバリっとしたコートになりそうなもの等。
その途中で比率を何度か変えやり直したが、そこでは『合成』したものを『分解』して元に戻すことが出来た。セイジさんに借りてきた鍛冶道具を使って、ジッパーも作る。
さてさて、じゃあ縫いますかね。『硬化』したモクの糸を使って、下着・寝間着・Tシャツ・トップス・ズボン・スカート・ワンピース・コートなんかを作っていく。ちなみに色が白一色だったので、これまた魔力を注いで色を変えてみた。敢えて言うなら『色彩変化』でいいと思う。
+-----+-----+-----+
[アンダーセット]
サアコトンの布で作った下着・靴下
〈効果:DEX+30・LUK+20〉
〈製作ボーナス:着心地∞・不壊・防汚〉
+-----+-----+
サアコトンの布+モクの糸
作成条件:裁縫・細工・錬金Lv2
+-----+-----+-----+
+-----+-----+-----+
[ナイトクロス]
サアコトンの布で作った寝間着
〈効果:LUK+50〉
〈製作ボーナス:着心地∞・快眠・不壊・防汚〉
+-----+-----+
サアコトンの布+モクの糸+木のボタン
作成条件:裁縫・細工・錬金Lv2
+-----+-----+-----+
+-----+-----+-----+
[インナーセット]
サアコトンの布で作ったTシャツ・ズボン
〈効果:VIT+30・AGI+20〉
〈製作ボーナス:着心地∞・不壊・防汚〉
+-----+-----+
サアコトンの布+モクの糸+蒼鉱石
作成条件:裁縫・細工・鍛冶・錬金Lv4
+-----+-----+-----+




