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「これがオーラ黒が見れるSP一覧、冒険者になろうって奴は殆ど知ってる。それで問題なのは<鑑定>取得に60SP必要だってこと」
「一覧だと結構下の方にあるけど‥‥、あっ、そういうことか」
「わかった?」
「その前に教えて、冒険者の人達のオーラの色は何色が多いの?」
「黄色かな。緑と赤が少しで、青が極まれにって感じだと思う」
「黒はいないんだ」
「黒は国の要人に多いかな。後はいても、大抵は国の機関に所属してる神殿・騎士団・魔術師団とかね。冒険者は安定した生活じゃないし、この3つは高給だって聞くよ。ごめん、話が逸れた」
「ううん、参考になった」
私は黒/黄色で例えて説明する。レベルアップ時に毎回8SP/4SPが貰える、でも60SPの<鑑定>を取得しようとすると8/15レベル分貯めなくちゃいけない。3つの機関、それよりも冒険者が15レベルもの間、何もスキルを取得せずに冒険者を続けられるのか?
誰もが死にたくないのは一緒、自ずと安全と目先の利益を取るに決まってる。仮に<鑑定>より戦闘系と魔法系が低くなければ取る人がいたかもしれない。でも低いポイントで取れるようになってしまってることが原因と言えるんじゃないだろうか。
このSP一覧でスキルを取得していくとしたら、私もやっぱり<鑑定>を後回しにすると思う。後回しっていうか必要なのを全部取得した後、余ったら取ろうかなって感じ?でもいざ貯まったとしてもここまで貯めたんだからって、その上の便利そうな攻撃・魔法スキルに目移りしちゃう気がする。
下位戦闘系と魔法系を取得したいとなれば(10SP戦闘系x7)+(20SP魔法系x4)+(30SP戦闘系x2)+(40SP魔法系x3)=330SP、この時点での必要レベルは42/83。少し考えるかも‥‥。
さらに上位の戦闘系と魔法系も取得したいとなれば330SP+(70SP戦闘系x2)+(80SP魔法系x2)+(90SP戦闘系x3)+(100SP魔法系x2)=1,100SP、この時点での必要レベルは138/275。あり得ない‥‥。
戦闘系と魔法系に分けた場合だと戦闘系合計が540Pで必要レベルは68/135、魔法系合計が560Pで必要レベルは70/140。でも、それだけのはずがないか‥‥。
「俺、そこまで考えたことないよ」
「私も途中から訳わからなくなった」
「簡単に纏めると、見つけられない魔物を少しでも早く倒して次の魔物を探したい、容量が決まっている鞄に少しでも価値のある魔物を倒して入れたい、ってなるから攻撃系のスキルを取得するんじゃないかな。俺も実際そう思ってたしね。だから<鑑定>を取る人が少ないんだと思う」
「オビト、簡潔に纏め過ぎ!私の説明必要なかったじゃん‥‥」
「イトの話を聞いて俺は凄いと思ったけど。でね、<鑑定>を持っている人がいないってことが異常の原因なんだよ」
「<鑑定>がないと薬草類を探すのも大変、というか無理だよね。私、頑張っても1日で薬草10本が精一杯だと思う」
「うん、俺もそんなものだと思う。もうちょっと頑張って、1日に採取出来たのが2人で3束だとしても15,000ギルにしかならない。しかも見分けの難しさは魔草が10倍、癒やし草が20倍だったよね。皆<鑑定>を持っていないから、この難しさの度合いも知らないんだよ。
それに長くても3日で腐るから、期限が1日だったよね?受注を採取開始から3日目にする予定にして1日に何本かずつ見つけて貯めたとしても、薬草ならともかく5,000本に1本の魔草を3日間で10本集めることは大変だと思う。3日掛けて1束集めて100,000ギルだったら、1日で100,000ギルのウルカ2匹を探して討伐した方が楽だし稼げる。
あと時間を掛けて採取したものが集めてる途中に腐ったら、誰だって無駄な時間を使ったって思うよね。まあ、1束じゃなくても買取りで売れるけど、40,000ギルする10,000本に1本の1日で見つかるかもわからない癒やし草を探すのなら、50,000ギルのウルカの方が俺も見つかる気がするし。
だから、魔物を討伐しようかってなるんだ。2人で15,000ギルだったらトング1匹と同じだから、解体しないなら2匹必要になるけどね」
「私の私物と今日の採取と討伐で、2人の鞄ギリギリだったよね?」
「そう。採取なしで魔物だけだったら、同量で解体したウルカ6匹ってとこかな?換算すると300,000ギル、解体なしで225,000ギルになる。数値化すると、尚更魔物を見つけても持って帰れる量が決まっていることが厳しく感じるね。それに対して俺達は986,833ギル+α、だから異常なんだよ」
オビトって13歳1日目だよね、頭良過ぎでしょ‥‥。いや、昼から思ってたけどさ。あっ、ヤバい!
「遅くなったけど、誕生日おめでとう!」
「‥‥急に思い出したように言ったね」
「いやいや、ちゃんと覚えてましたよ!今は何も用意してないけど、絶対お祝いするから期待しててね!」
「期待しないで待ってるよ」
「それにしても私、全然わかってなかったから危なかったよね?」
「うん。でも今日会った人達は皆いい人だったから大丈夫だと思うよ」
「こんなことってあるんだね」
「多分イトの人徳、俺もその内の1人かな」
「えっ、私人徳があるって生まれて初めて言われたよ!何だか照れますなぁ」
「面白い人に生まれて良かったね」
「そういう意味かよっ!」
晩ご飯を食べて部屋に戻ってきた。今日のメニューはチキリのソテー。チキリは鶏肉にそっくりだと思う。塩・胡椒で味付けして、皮がパリパリになるまで焼いてありとても美味しかった。まあ、パンは相変わらずだったが‥‥。
「イト、お湯持って来た」
「は~い」
扉を開けると桶を抱えたオビトが入って来る。
「ここに置くよ」
「うん、ありがとう」
「後で話してもいい?明日からの予定なんだけど」
「そしたら15分位待ってくれる?」
「じゃあ、また来るね」
急いで身体拭かなきゃ。「うわぁっ!」背中に血が付いていた。白いから超目立つ!今考えると、ワンピースで採取も討伐もしないよね。「うひぃ!?」靴が土でドロドロ。靴を脱ぐ機会がなかったから気付かなかった(お腹で見えなかった訳では断じてない)。とりあえず制服に着替えて、服と靴は後で洗おう。
「イト、入るよ?」
「いいよ」
「‥‥変わった服着てるね」
「うん、ワンピース汚れてたから洗おうと思って」
「気付いてなかったんだ、背中に血が付いてたの」
「知ってたの!?教えてくれれば良かったのに。あの格好でご飯食べるってないよ」
「それで明日からどうする?」
「それなんだけど、とりあえずセイジさんのお店に行こうかと思ってるんだ」
「わかった」
「え、いいの?」
「イトがパーティーリーダーだよ。余程のことがなければ反対しないから。昼も色々あったけど、反対してないでしょ?」
年上だからってリーダーになったけど、他称7歳の言うことを聞くのに抵抗感ないのかなぁ?
「今さらだけど、なんで年上ってだけで私をリーダーにしたの?リーダーに決定権があるなら、オビトがなれば良かったのに。見た目他称7歳だよ?言うこと聞くのに抵抗感あるでしょ?」
「イトは、俺が楽しみながら親の役に立つ冒険者になりたいって言ったの覚えてる?」
「うん、昼に言ってたね」
「だからイトがリーダーになった方が面白そうだって思っただけ」
「えっ!?それだけ?」
「あと年上だから」
「それはもう聞いたよ」
「ん~、じゃあネコババしなさそうだから?」
「ネコババ?」
「あれ?ネコババ知らない?人の物を自分の物にしちゃうことだよ」
「いや、知ってるけど‥‥、何でネコババが出てくるの?」
「よくあることなんだけど、ランクポイントも報酬もリーダーが分け方を決めるよね?」
「うん、実はちょっとビックリしてた。半分にしたけどダメだった?」
「いや、その逆だよ。リーダーには決定権がある分責任を負わなきゃいけない、俺が小さい頃はそうだったって聞いた。でも最近は冒険者の質が年々落ちてる、それが今日のヤミルさんの愚痴。自分の若い頃と比べての発言だと思うよ」
「採取しない、解体しないってやつ?」
「そう、目先の利益だけを考える奴が増えてるってこと。だから酷いリーダーだと、どれだけ採取したか、討伐にどの位貢献したか、とかの理由を付けて減らす。自分は何もしてなくても、責任手当で一番貰うって感じかな?」
「そんなことする人本当にいるんだ‥‥、計算するの面倒臭いのによくやるよね」
「‥‥イトは純粋過ぎて危ないよ」
「そ、それ程でも~、えへへ~」
「単純で良かったね」
「そんなこと言われるためにリーダーになったんじゃないよっ!」
私、どんどんいじられキャラになってる‥‥ちぇっ。
「で、俺達は当分冒険者ギルドに行かないよね?期間としては1週間位でいいと思うんだ」
「話が急転換したね‥‥。そういうのはオビトに任せた方がいいのは私もわかってきたから、それでいいよ」
「人って1日で結構成長するんだね」
「ちょっと、もうお姉さん虐めるのは止めてっ!」
「あっ、そっか。忘れてた、つい年下だと思って」
辛辣さが留まることを知らないよ‥‥。
「冗談はさておき、1週間でイトがやりたいことは?」
「むぅ‥‥、昼にも言ったけど、私の予定は魔法鞄・ネックレス・防具・服・靴を作ること。だからセイジさんのお店に行って材料と作り方の相談、あと裁縫・細工・錬金道具を揃えないと。出来れば鉱石を見つけたから武器も作りたいけど、鍛冶道具は流石に買っても置くところがないから保留」
「昼より野望が増えてるね」
「食材がなくなった分、私的には大幅なマイナスだから!」




