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「‥‥上がってる」
「やっぱりね、何が上がってた?」
「レベルが2になってステータスが上がったのと、<鑑定><分析>がレベル4、<体術>がレベル2になって何故か<棒術>が増えててしかもレベル2‥‥。あと<感知><索敵>が増えてる‥‥」
「なるほどね、<棒術>はさっき木の棒を振り回してたからだと思うよ。<剣術>は上がってないの?」
「全く」
「‥‥<家事>持ってるって言ったよね?包丁だから<剣術>じゃないのかも。<家事>のレベルは?」
「特殊スキルはレベルがないんだよ」
「それも面白いね、‥‥もしかしたら高いのかも。包丁捌きって言うの?見たことない位凄かったから」
「ふむ。それじゃあ、剣豪を目指そうか!」
「包丁は剣じゃないから無理だよ‥‥、いや、それでもなりそうで怖い」
解体したものを全てオビトの鞄に入れる。こんなこともあろうかと袋を持って来ていたオビトは偉い!このまま入れたら鞄の中が血だらけ‥‥、うひゃ~!私も次までに色々と準備しなきゃ。
「そうだ。売るものと売らないものを決めていい?」
「いいよ、殆どイトのものだし」
「いやいや、最初が肝心って言うでしょ?今後のこともあるし、ちゃんと半分こにしようよ」
「じゃあ売るつもりなのはどれ?」
「え~っと、薬草・魔草・癒やし草はまだ薬を作るつもりがないからいい」
「‥‥薬も作るつもりでいるの?」
「まあ、いずれはそんな日が来るのかなって思っただけ」
「イトが言うと本当になりそうだから止めて」
「後はラビ・ウルカ・モクの肉‥‥あれ?モクの肉って食べられるの?」
「うん、結構美味しいよ」
「そ、そうなんだ。モクの皮も使い道があるの?」
「防具に使ったりするって聞くけど、止めとく?」
「いや、モクはいい。売るよ」
「じゃあ、売らないのはサア・コトン・小魔石・魔石・蒼鉱石・ラビの皮・ウルカの皮・モクの糸でいいね」
「内臓とか骨・牙はどうするの?」
「大きな魔物だと売れるけど、小さい魔物は価値がないから捨てるよ。解体したときにもう埋めて来ちゃったけど」
「そっか、気付かなかったよ。え~っと、そしたら売ったお金を半分に分けて、そこから売らなかったものの半額を私がオビトに払うってことでいい?」
「売らないものは共有にしようよ。その代わり、俺の分もイトが作ってくれない?」
「えっ、それでいいなら私は構わないけど。これからスキル取得するから、そんなにいいものは作れないと思うよ?」
「大丈夫」
帰ろうとしたところで問題発生!どっちが城下町か2人ともわからなくて非常に焦る。少し歩けば草原に出れるはずなんだけど、如何せん間違った方向に行ったら大変だ。う~ん、それにしても困ったぞ。やっぱり地図がないとダメだな。
「うわっ!?」ステータスのように目の前に地図が出た。今まで行ったことのある所は道が表示されていて、行ったことのない所は道がない。ちゃんと現在地も表示されていて、向いてる方向に矢印まで付いてるよ。頭いいなこの子。横にマーカーがあったので今いる所にブっ刺してみると、吹き出しが出たので「魔石1号」と打ち込んでおいた。
その後は魔物に会うこともなく、すんなりと城下町まで戻ってくることが出来た。門番の人が変わっていて、またカードと私の顔を何度も交互に見比べる。「13歳ですか?」と聞かれたので「違います」と答えてやった。
「こんにちは~」
ついに普通の音量、2回目からは大丈夫な子なのです。受付カウンターを見ると、いた、メリダさん。夕方で人があまりいなかったから、並ばずに済んだ。
「冒険者ギルドへようこそ。サエキ様、本日はどのようなご用件でしょうか」
「今日受注したクエストの報告に来ました」
「報告‥‥ですか。では、ギルドカードの提示をお願いします‥‥」
ん?何かを凝視してる。
「‥‥本日受注された薬草採取の報告ですね?」
「はい、カウンターに出せばいいですか?あ、数が多いんですけど大丈夫ですか?」
「‥‥全てお願いします」
鞄から薬草を200本出す。
「‥‥‥‥‥」
「あの、多過ぎるのがダメなら持って帰りますけど」
「い、いえ‥‥確認させていただきます」
カウンターから降ろして、下の机で根元を確認しながら数え始める。10本ずつ束にして、纏めたものが20束になった。
「確認させていただきました。薬草200本、間違いございません」
「ありがとうございます。あと見てもらいたいものがあるんですが、いいですか?」
「‥‥では、カウンターに出していただけますか?」
「はい。え~っと、これです」
鞄から魔草と癒やし草を出す。
「これは‥‥」
「魔草40本と癒やし草10本になります」
「‥‥‥‥‥」
「すみません、まだこのクエストがあるのか確認していないんです。探してからもう一度来た方がいいですよね?」
「‥‥確認させていただきます」
受付する前に探しておけば良かったな。遠目にクエストボードを眺めていると、メリダさんが魔草と癒やし草を薬草みたいに確認しながら数えてくれた。
「‥‥確認させていただきました。魔草が40本と癒やし草が10本、間違いございません」
ここで初めてメリダさんと目が合う。驚きと、でも呆れたような顔で私を見ていた。
「サエキ様は、魔草と癒やし草の知識をお持ちだったんですね」
「え、え~っと。い、いやぁ~、お持ちだったみたいです」
バカってオビトの小さい声が聞こえた。痛いっ!メリダさんの視線が痛いってば!
「はぁ‥‥、他にも何かお持ちでしょうか?」
あるなら出しなさいっ!て心の声が聞こえますけど‥‥。
「はい、ラビとモクそれからウルカを討伐しました。ラビは達成条件と肉が3匹分、モクは達成条件と肉・皮が2匹分、ウルカは達成条件と肉が2匹分になります」
オビトが言いながらカウンターに出していく。
「‥‥今日討伐されたんですよね?」
「はい、なり行きで」
「そうですか‥‥、少々お待ち下さい」
そう言うと、メリダさんがクエストボードから何枚か取って戻って来た。
「こちらをご覧いただけますか」
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【依頼クエスト/rank2-8】
草原・森に自生する魔草採取/1日
達成条件:10本/一束
報酬:100,000ギル
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【依頼クエスト/rank3-9】
草原・森に自生する癒やし草採取/1日
達成条件:10本/一束
報酬:400,000ギル
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【討伐クエスト/rank1-2】
草原・森に棲むモク討伐/2日
達成条件:モクの触肢1対/1匹
報酬:250ギル
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【討伐クエスト/rank1-3】
草原・森に棲むラビ討伐/2日
達成条件:ラビのしっぽ/1匹
報酬:500ギル
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【討伐クエスト/rank2-7】
草原・森に棲むウルカ討伐/2日
達成条件:ウルカのしっぽ/1匹
報酬:25,000ギル
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「今回のポイントは薬草5Px20=100P、魔草8Px2x4=64P、モク2Px2=4P、ラビ3Px3=9P、ウルカ7Px2x2=28Pとなります。また、癒やし草についてはランク3のため受注出来ませんので、ポイントは発生しません。合計で205Pですが、どのように分けられますか?」
「こちらで決めるんですか?」
「はい、通常はパーティーリーダーが決められます」
「ん~っと、では私に102P、オビトに103Pでお願いします」
「イトに1P多くしてよ」
「え~、じゃあ次のときにそうするから今回はこれでいいでしょ?」
「うん」
「次に報酬金額ですが薬草5,000ギルx20束=100,000ギル、魔草100,000ギルx4束=400,000ギル、モク250ギルx2匹=500ギル、ラビ500ギルx3匹=1,500ギル、ウルカ25,000ギルx2匹=50,000ギルとなります。こちらも癒やし草はクエスト外になりますので、販売は買取りカウンターでお願いします。合計で552,000ギルになります、こちらをお納め下さい。
さらにご提示いただきました達成条件以外の討伐部位ですが、大体の目安として肉が報酬の2/3、皮が報酬の1/3となりますのでご参考にして下さい。また糸や高ランクの骨・牙などの特殊素材は別途金額が発生しますので、こちらは買取りカウンターへご確認下さい」
造作もなく置かれた大金を、慌てて鞄にしまう。メリダさんの説明だと癒やし草40,000ギルx10本=400,000ギル。魔物も解体してきたから5割の差っ引きなしで、モクの肉・皮250ギルx2匹=500ギル、ラビの肉333ギルx3匹=999ギル、ウルカの肉16,667ギルx2匹=33,334ギル。買取り金額は434,833ギル、クエストとの合計金額は‥‥986,833ギル!?1人約500,000ギル‥‥、4月分は稼げちゃった。
「も、もしかして結構多かったですか?」
「討伐は多いように思われます。ただ‥‥薬草類は異常です」
「異常‥‥ですか‥‥」
「はい。話は変わりますがランク1で100Pを超えましたので、お二人ともランク2へ昇格となりました。上位ランクへの持ち越しポイントは半分となりますのでご注意下さい。次回ランク3への昇格ポイントは200Pとなります。また今回のランク昇格に伴い、パーティーランクもランク2へ昇格となりました。おめでとうございます。では、ギルドカードをお返しします」




