表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ、怪奇現象探偵事務所へ!  作者: 鵺這珊瑚
第一章 霊感ゼロの女が霊感バリバリの男と出会っちゃいました。
1/17

第一話 飛び級制度

 静まり返った、ありふれた教室。ここは、私が今日入学した白鷺中学校だ。本当なら一番初めには入学式がある。そこで、少し大きい制服を着た生徒達は、担任に名前を呼ばれ返事をする。そして、親は成長したね、と涙を流すのだ。……だけど、私にはそれが無かった。必然的に、私は中学生になった気がしなかった。


 先生の紹介で、一斉に好奇の目が向けられる。


うぅ……。そんなに見られると緊張しますよ、先輩方……。


「大西さん、どうぞ」


 美人教師に急かされるまま、口を開く。


「お、大西里奈と言います。入学したてでまだまだ分からないことが多いですが、この白鷺中学校で精一杯頑張っていきたいと思っています。よろしくお願いします」


 礼をすると、まばらな拍手が起こった。思った通り、私を歓迎しているというわけではないみたいだ。

 それどころか、私を笑っていたり、顔をしかめている女子もいる。男子の方はそうでもないみたいだが。


 はあ。こんな目に遭っているのも、全部あの一通の手紙のせいだ。


 郵便局の人がいかにも大事そうに扱っていた封筒。封筒ごときになんでそんなに手間を掛けるのかと思ったが、中身を見た私は思わず手をポンと打った。それは、国務大臣からの物だったのだ。内容は、私に一年飛び級を命じるものだった。


 今年から実施された飛び級制度。どうやらそれに選ばれてしまったようだ。小六のテストで満点以外を取ったことが無かったから、それが原因だと思う。


 でも、入学して周りが一年上って、なんだか転入生になった気分だ。しかも、丁寧語を常時使わないといけないという……。ああ、ストレス溜まりそう。


「大西さんは、飛び級で二年生の教室に入ることになりました。皆さん、この学校の事や、色々な事を教えてあげてください」


 はーい、と気の抜けた返事。大丈夫なのか、先輩。


「それじゃあ、大西さんはあそこに座ってください」


 言われた通り、教師が指さした空席に座る。思わず、ため息が出てしまった。


 荷物を脇に置こうとした時、私はふと視線を感じた。見ると、隣に座っていた男子生徒がこちらを凝視していたのだ。目が合うとその男子は慌てて目を逸らした。何か顔に付いてた……? いや、付いてない、大丈夫。……このままでも気まずいし、一応挨拶でもしとこうか。


「あの、よろしくお願いします」

「……よろしく」


 向こうを向いたまま挨拶? 無愛想だなあ。うーん。結構イケメンなんだけど、性格に難あり?


 それにしても、頭痛がなかなか治んない……。寝不足かな。最近良く眠れた気がしないんだよねぇ。


「……それでは、もうすぐ始業式が始まるので、体育館の方に移動してください」


「起立! 気を付け! 礼!」


 きびきびした号令に、私はやっと二年生の風格を感じることができた。

 へえ。本当に号令ってするんだ。漫画の中だけだと思ってた。


 ところで……体育館ってどこだっけ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ