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一日で書いた物です
卒業文集をろくに書かなかったので卒業してから、春休みにかきました。
卒業文集です(笑)
一日一話のせます
ポケットの中の携帯電話が振動して、私は驚きの声と共に目が覚めた。
夢の世界とこちら側の世界を頭の中で移動しながらケータイを開く。………クラスメイトからのメールだ。内容は、平たく言えば「起きてる?」といった物だった。
うつらうつらとする意識の中、私は状況を理解するために周りを見渡す。……落書きがしてある茶色い机に、夕陽が暖かく射し込む窓、少しだけ開いたままになっている扉。それに綺麗に反射をしている黒板、その上には運動会で取った表彰状と合唱祭で取った表彰状。隅の方には行き場を失って放ってかれている学校目標。
「教室………?」
いつもいる3年3組の教室に、一人だけで私は寝ていた。
どうやら授業中に居眠りした私を放置してみんな帰ってしまったらしい。メールしてくるくらいなら帰る前に起こしていけよとか思いながら返信を返す。ケータイをポケットにしまって机に入っていた教科書類をスクールバックにしまいながら、先程見た景色に違和感があったことに気づく。
教科書をしまい終えた私は、スクールバックを机の上に置いて、椅子を引いて立ち上がった。
床と椅子がすれあう、嫌なぎぎぎ……という音が閑散とした教室中に響きわたる。あんなに煩い3組でも、放課後になるとこんなに静かになることに少しだけ驚いた。
私は足を進め、黒板の前で足を止める。
黒板にうっすら乗ったチョークの粉を手で軽く払うと文字が浮かび上がってきた。
「助けて」
一瞬で書いたような綺麗とは言えない字で黒板に三文字、隅の方に書いてあった。
最近書いたにしては文字が薄くなっているし、昔からあるにしては誰も気づかないわけがないだろう。
必死さが伝わってくるが、この「助けて」の三文字では何をすればいいのか分からない。この文字の主は何を求めていたのだろうか。さては、宿題を忘れたか、友達と喧嘩をしたか、悪事を先生に見つかってしまったか。連想ゲームをするように次々と考えが浮かんでくるが、どう頑張っても答えが何が分からない。
私は苦笑い混じりに、文字を書いた。
「何を?」
明日になれば誰かしらから答えが帰ってくるかもしれない。別に、手伝う気は更々ないが伝言ゲームには付き合ってやろう。そう思って書いた。
「………………」
私はもう帰ろうと振り向こうとしたとき―――――
かっかっと黒板に何かを書く、独特な音が教室に響き渡った。