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そのに

 絡み酒うぜえ

 酔っ払って管を巻く紗依に、柊は心の底からそう思った

「最近の若い奴らはさ~なんであんなにチャラチャラしてんだよ」

「姉ちゃんまだ二十五じゃねえか……」



 事の発端は、姉――紗依の会社で行われたらしい、新入社員歓迎会だった

 新入社員歓迎会と銘打ってはいるが、その実態はただの飲み会である。酒が嫌いでなく、宴会のノリが大好きな紗依が酔って帰ってくるのも自明の理だ

 とまあ、ここまではいい。酔った紗依の処理は慣れている。水を飲ませて風呂に入らせて寝かせれば立派な二日酔いOLの完成だ

 しかし、今回はそうもいかなかった

 酔った紗依のグダグダな言い分を整理すると、どうやら今年の新入社員には紗依の嫌いなタイプが多かったらしい。そういえば、確かに前にも少しだけ愚痴をこぼしていた

 嫌いなタイプ、というのはチャラチャラした不良もどきみたいなタイプのことだ

 まあ、嫌いなタイプが多いだけならこんなことにはならなかっただろう。問題は後輩の行動にある

 その後輩は、あろうことか紗依を口説いたというのだ。確かに紗依の見てくれはなかなかである。が、しかし……ある程度面識があれば地雷だというのは一目瞭然だと思うのだが

 まあ、そこは酔った勢いなのだろう

 で、同じく紗依も酔っていたので、悲劇は起こった

 紗依は、宴会の空気が云々 (聞き取れなかった) だとか言ってキレたらしい。宴会の空気を壊したのはどっちなんだ……

 結局、そのまま会費を払って帰ってきたという

「もー、飲み足りないよー!」

 途中で抜けてきたせいで満足に酔っていないらしく、帰ってきてから缶ビールを開ける始末だ

 柊としては、手間が増えるのでとっとと寝てもらいたい

 幸いなのは、今日が土曜日だということか

「柊も飲めよぉ!」

 絡み酒うぜえ

 柊は酒に弱い上、酔うと自制が効きにくくなるので飲みたくない

「嫌だね。一人で飲んでろ」

 そもそもここで柊が飲めば、紗依の暴走を止める人間がいなくなってしまう。部屋中ゲロまみれとか嫌だ

「飲めよぉ、飲めよぉ!!」

 ぶん殴りたい

「だから嫌だって……」

 迫ってくる紗依に、柊は後ずさる

「どうしても飲まないならぁ……こうだっ」

 紗依が口内にビールを含み、飛びかかってきた。まずい、ここは壁際だ。いつの間にか追い詰められていたらしい

 それでも横に飛び退けばいいのだが、一瞬判断が遅れてしまった。紗依にマウントポジションを取られた柊は、為す術もなく組み敷かれる

「ほーらっ」

 紗依の顔が迫ってきた。なんだかんだで美人だから困る。目前にあるせいで、少しドキッとしてしまった

 そのときめきが命取りになる

 角度のせいで、紗依のメガネが落下した。柊の目にゴトリと当たり、目潰し効果を生む。太黒縁はかなり痛い

 不意に、唇を柔らかい感触が襲う

「んー……っ」

 遅れて瞼を開くと、紗依の顔が肉薄していた。いたずらっぽい笑みを浮かべるその様は、やはりドキッとしてしまう

 そのせいで、柊の口元がわずかに緩んだ

「んふふふんんーっ」

 紗依が柊の緩んだ口を無理矢理舌でこじ開ける。同時に、生暖かい液体が柊の口内に侵入した

(しまった!)

 ファーストキス――は 秘技:身内はノーカン を使えばいいだけなのだが、口内に侵入したビールだけはどうしようもない。吐くのも困難だし息苦しいしで、結局飲み干してしまった

「っ、やべえ、水水」

 これだけで大分頭がぼうっとしてきたあたり、我が身の酒の弱さを恨む

 とりあえず紗依のために用意しておいた水入りコップの中身を一気に飲み干した。間接キスなんて気にしてはいけない。あれ、量が増えているような……

 なんだか……意識が……

 ふと見ると、紗依が缶ビール片手ににししと笑っていた

(やられた……)

 どうやら水入コップに酒を混ぜられていたらしい。まさかここまで頭が回るとは思わなかった

 そうこうしている間にも、柊の理性は遠のいていく

(ああ……)

 まあ、いいか

 柊は遠のいていく理性を、そのまま見送ることにした



 もう缶ビールを何本開けたかも覚えていない

「大体なんだよ、口説かれたぐらいでさー」

「軽い男は嫌いなんだよぅー」

「そんなんだから彼氏できねえんだよ」

「うるさいなー! 別に男なんていらないんだよー! そもそもお前も童貞のくせにさー!」

「別にいいしー、俺は趣味に生きてるだけだしー」

 柊が言うと、紗依はにんまりと笑った

「その割にはさー、お前の部屋のゴミ箱ん中、汚れたティッシュばっかりなんだけど」

「ぐ……。仕方ねえだろー男なんだからぁ」

「大量のエロ本も男だから仕方ないのかー?」

 なぜ知っている

「エロ本探してやろうと部屋漁ったらー、年上ものばっか出てきて気まずくなったあたしの気持ちを考えろよ!」

 漁るなよ

 言葉とは裏腹に、紗依は楽しそうだ

「見たのかー、このやろー!」

 柊がムッと睨むと、ニヤリと口元を吊り上げる

「赤くなってるー。なに、あんたお姉ちゃんのこと好きなのー?」

「なっ、んなわけねえだろ!」

 柊のエロ本が年上ものばかりなのは、紗依に散々いじめられたせいで年上のお姉さんとゴニョゴニョしたい性癖を開花させたからだ。決して紗依が好きなわけではない

 そもそも柊にそんな規格外のシスコン属性があれば、紗依はとっくの昔に性奴隷になっている。今頃、柊に突かれてアヘッているはずだ

「んふふー、童貞君のくせに意地張っちゃってー」

 こんな生意気なことを言う口も、柊に使い込まれ――

(想像したら、息子が……)

 まずい

 酒のせいもあってか、柊の柊は完全に臨戦形態だ

 もしこれが紗依にバレたら――

「……あれ? おや……? へえ……」

 こうなるのは明白だった

「童貞って、こじらせるとこんな……って、う、嘘!? 服の上からなのに、こんな、おっきい……」

 もうこうなったらヤケだ

「お? 姉ちゃん見るのも初めてか? 処女はこの程度で驚くのか?」

「なっ、し、調べたことぐらいあるし!」

「やっぱ実物は見たことねえんだな?」

「う、うるさい!」

「なんだ。悔しかったらここで処女捨ててみるか?」

「あ、あんただって童貞捨てたら?」

「お? ヤるか? ヤっちまうか?」

 柊がズボンを下ろしながら挑発すると、紗依も応戦するようにスーツの上を脱ぎ始めた

「いい度胸だ! ヤってやろうかこの野郎!」

 柊は対抗して上着と下着を脱ぎ捨てて、パンツ一丁になる。紗依も負けじとタイトスカートとカッターシャツを脱ぎ捨て、下着姿になった

「あたしの部屋布団敷いてないからお前の部屋な」

「いいぜ、ヤってやる」

 遂には下着まで脱ぎ捨て、お互い全裸で柊の部屋に向かう

 二人で勢いよく布団にダイブする

 それ以降の記憶はなかった



 翌日、柊はチュンチュンという鳥のさえずりで目を覚ました

 目を覚ましてから、体にかかる重みに気づく。頭も痛い

 体全体の感覚からすると、どうやら柊はその重みを抱きしめているようだ。なんだか柔らかくて温かくてスベスベしていて、とても抱き心地がよい

 柊はゴシゴシとまぶたを擦ってから、重みの正体を確かめるべく、自らの胸元に目を向ける

 ――柊の胸板の上で、紗依が寝息を立てていた

「……お?」

 それも全裸で

 だとすると、腹に当たる二つの膨らみはおっぱいで、右手に当たる膨らみは尻だろう。とりあえず尻を揉んでおく

「んっ……」

 紗依の体がわずかに反応するが、起きない。柊は紗依の尻を揉みつつ、どうしてこうなったかを回想した

 そして、何度回想しても、布団に飛び込んでからどうしたのかが思い出せない

 記憶がないのは、恐らく酒の飲み過ぎだろう。その上で、記憶を失うほど激しいことをしたという仮説も立つ

「……やっちまった」

 まさか酔った勢いでここまでしてしまうとは。記憶もないので、いいことがない。これでは、 『酔った勢いで姉とセックスした変態弟』 の称号を手に入れただけだ

 記憶にない童貞卒業など、卒業していないのと変わらないではないか

 『童貞野郎』 『酔った勢いで姉とセックスした変態弟』 相反する二つの要素があわさって最低に見える

 同時に紗依も 『処女』 と 『酔った勢いで弟とセックスした変態姉』 という二つの称号を得ることになるのだが、まだ二十五なので処女はそこまでマイナスポイントにはならないだろう

「あー……ちくしょう」

 柊は深いた溜息をついた。左手は無意識に紗依の尻を弄んでいる

 もう少し頑張って酒に耐性をつけておくんだった。そうすれば、この悲劇は防げたというのに

「んっ……あっ…………んん」

 そんな後悔をしていると、紗依が目を覚ました

「……」

 紗依はズレたメガネを直してから、トロンとした目で周囲を見渡し――柊に視線を向ける

「……あれ? ……え?」

「……おはよう、ハニー」

「え、ちょっと、これ、どういう……」

「見ての通りだろ……多分」

「……お尻、離して」

「あ、すまん」

 言われて、柊は慌てて手を背中に移動させた

 紗依はしばらく考えてから、口を開く

「……しちゃったの?」

「多分な」

「……」

 そうだ、悩め悩め

「……記憶、ないんだけど」

「俺もだ」

 紗依はまたも口をつぐみ、何事か考えているようだった

 そして、柊にこう言う

「……もう一回、する?」

「……いやいやいや」

 なんでそうなるんだよ

 言外に問うと、紗依は視線を外しつつ、わずかに頬を染める

「初めて、覚えてないから……仕切り直し?」

「俺としてはなかったことにしたい」

 できることならそうしたい。しかし紗依はそれを許さないようで、不機嫌に眉をひそめた

「……女の初めては、一生ものだから」

 そんなことを言われると、 『知らんがな』 と切り捨てるのも憚られる

 だが

「男には膜がないからいくらでも偽造できる」

「童貞線が切れるんだけど知らないの?」

「嘘言うなよ」

 なかったことにしたほうが、お互い社会的に幸せになれるのではないだろうか

「ていうかさ、俺でいいのか?」

 一生ものなら、それこそ相手を選ぶべきだ

 柊が問うと、紗依は少し間を置いてから答えた

「……まあ、嫌では……ないかな」

「嫌か嫌じゃないかって……それは妥協だろ」

「でも……こうしてて、嫌な気分はしないし」

 二人は今、裸で抱き合っている状態だ。それが嫌でないということは、確かに――

「それにさ、一回ヤっちゃったんなら、何回ヤっても同じだと思う」

 柊の心が傾いた

 この場で紗依を押しのけるという手段もあるのに、それをしないのは柊が迷っている何よりの証左だ

 このまま、紗依と――

「いや、駄目だ。……避妊もできないしな」

 すんでのところで押しとどまる。苦し紛れで、自分と紗依に言い訳した

「……そ。気遣ってくれるんだ」

「まあ……昨日のが当たってたら無駄だがな」

 柊が出したと思われるものが周囲に残っていないので、昨晩は恐らく紗依に出したのだろう。まさか掃除したとも思えない

 紗依は一瞬だけ満足と不満の中間のような表情をしてから、ニマッと笑った

「でも……あたしのこと、離そうとはしないんだ」

 言われて柊は気づく。柊は先程から、紗依を抱きしめたままだ。右手で背中を、左手で頭を押さえ、ガッチリと固定している

 紗依が胸板に顔を埋めてくる

「まあ、いいけどさ。あたしはもう少し寝るから、好きにしていいよ」

 好きにしていいとは、どういう意味なのだろうか

 訊ねる間もなく、紗依は眠りに就いていた

 ……寝よう



 結局昼まで寝てしまった

 寝過ぎたせいで、体が痛い

「着替えるから、見るなよ」

 紗依に言われ、柊は背中を向ける。すると、衣擦れの音が聞こえてきた

「てーか、一回ヤっちゃったんならそれも関係ないんじゃね」

 別に紗依の着替えが見たいわけではないのだが、気になったので訊いてみる

 すると紗依は恥ずかしそうに答えた

「それとこれとは……話が別だ」

 そこで一旦区切ってから、紗依はまた言葉を紡ぐ

「それに……朝のは、少し言い過ぎたというか……寝起きで、テンションがおかしかったというか……だから……」

 また途切れる言葉。もう一度再開された時には、大分ボリュームが落ちていた

「あんまり期待は……しないよう、に」

「……へいへい」

 その日はいつもより会話の量が減ったものの、特に何事もなく経過する

 気まずい雰囲気こそあったが、それだけだ

 ……少なくとも、二人の関係に変化はなかった



 翌日、職場

 柊はカタカタとパソコンに文字を打ち込みつつ、邪な感情に苛まれていた

(あー、姉ちゃんの体柔らかかったなー。抱いたら気持ちいいんだろうなー)

 二十三歳にして、 『彼女いない歴 = 年齢』 を誇る柊の童貞力は高い。姉がいることで生じる女慣れを差し引いても、平均以上の童貞力を保有している

 そんな柊が女体に触れでもしたら――結果はお察しだ

 実際に触れている間はそうでもなかったのだが、離れた瞬間にむしろ自制心がおかしくなった

 思考は煩悩にまみれ、息をするたび紗依の感触が蘇る

(姉ちゃんと、か……)

 純粋に性欲処理だけで考えるなら、紗依はとてもいい物件だ

 美人であり、体つきもしなやかでありつつ程よく肉がついている。バストサイズは並だが、その柔らかさは身をもって体験した。尻の揉み心地も素晴らしい

 そして、既に同居しているということ、結婚願望を持たないことなど、継続的に関係を持つ上でも障害が少ない

 今の関係を壊さず、お互いに性欲を処理し合うだけならば……これ以上にない程の好条件だった

 その事実が、柊の煩悩を加速させる

(姉弟だと相性がいいとか聞くけど、どうなんだろうな……)

 だとか

(母乳って出るのかなー)

 だとか

 正直、仕事どころではなかった

 それでも、こんな理由で早退するわけにもいかないので、必死で仕事を片付ける

 早く帰りたい。その一心で、柊は仕事を進めた



(柊の胸板、凄かった……抱かれたら、気持ちいいんだろうな)

 給湯室でお茶を飲みながら、紗依はそんなことを考えていた

 紗依も紗依で、伊達にこの歳まで処女をやってきたわけではない

 たとえ弟だとしても、あそこまで行くと意識してしまう

 それに、純粋に性欲処理だけで考えるなら、柊はとてもいい物件だ

 顔は悪くないし、性格も紗依が自分好みにある程度軌道修正したので良好。体も、昨日抱きしめられた感触を考えると、上々といったところか。まあ、比較対象を知らないのだが

 そして、既に同居しているということ、結婚願望を持たないことなど、継続的に関係を持つ上でも障害が少ない

 今の関係を壊さず、お互いに性欲を処理し合うだけならば……これ以上にない程の好条件だった

 その事実が、紗依の煩悩を加速させる

(姉弟だと相性がいいとか聞くけど、どうなんだろうな……)

 まさか弟も同じことを考えているなどとは毛ほども思わない

 ズズッとお茶を飲み終えると、丁度後輩がやってきた

「先輩も休憩ですか?」

「ん、ああ」

 後輩はしげしげと紗依を観察する。一体なんなんだと言おうとしたところで、後輩が耳打ちしてきた

「先輩……男、できましたか?」

「……え? は、はぁ!?」

 突然そんなことを言われて、紗依は困惑する。後輩はいたって冷静に続けた

「雰囲気が……なんか違うんです」

「そ、そう……まあ、勝手にそう思ってたら……?」

 まさか弟としたなんて言えないだろう

 すると後輩は突然ニヤニヤし出し、下ネタ全開のトークを振ってきた

「避妊はしました? ゴムはしました?」

「え、あ、いや」

 なんだこの子

 紗依は困惑しつつ、言われたことを整理し、考える

 ゴミ箱の中にはティッシュもコンドームも入っていなかったので、恐らく生で出されたのだろう。つまり柊の出したものは、紗依の中で――

 無言の紗依を見て察したのか、後輩はこう訊ねてきた

「中に出されると、後で出てきて気持ち悪くないですか?」

 ……後で出てくる、だと?

「え、なにそれ詳しく」

「え?」

 突然興味を持った紗依に、後輩は一瞬だけ困ったような素振りを見せたが、親切に教えてくれた



 いつもの帰り道を外れて、薬局に来てしまった

 柊は軽く深呼吸し、呼吸を整える。ここまで来たら、もう後戻りはできない

 昨日は、避妊できないことを言い訳にして紗依を拒絶した

 その壁を取り払ってしまったら、自分は一体どうするのだろうか

 きっと、紗依を――



 薬局でコンドームを購入し、帰宅

「ただいま」

「おかえり」

 いつも通り先に帰ってきていた紗依が、本を読みながら言った

 向こうから誘ってくる素振りはない。まあ、風呂も飯もまだなので妥当だろう

 ささっと入浴と食事を済ませ、紗依の隣の椅子に座る。紗依はこれといった反応を見せない

 柊は自らのポケットに手を突っ込み、コンドームの箱の存在を確認した。軽く深呼吸して、覚悟を決める

「姉ちゃん……これ」

 ポケットから取り出した箱を、紗依の目の前に置く

 紗依の眉が、ピクっと動いた

「姉ちゃんがいいなら、俺は――」

 柊が勇気を振り絞って切り出すと、紗依は気まずそうに視線を逸らす

「あー……そのことなんだけど……」

 柊は一度言葉を止め、無言で続きを促した

「……あのね、あたし達、まだヤってなかったみたいなんだ」

「……は?」

 一字で明を求めると、紗依は気恥ずかしげに頭の後ろをかく

「あんたの出した奴が、どこにもないんだよ」

 確かに、部屋に使用済みティッシュなどは落ちていなかった。だが――

「それって、姉ちゃんに吸収されるんじゃ――」

「されないらしい」

「……マジか」

 衝撃の事実

「記憶がないのも……多分、あの後すぐ寝たからだと思う」

 確かに、布団にダイブしてすぐに寝たのなら、記憶に残るはずがない

 拍子抜けである

「……じゃあ、俺は……」

「あんたは童貞。あたしは処女。今まで通り」

 良かったのか良くなかったのか。変化はリスクを伴うので、リスクがなくなった分良かったとも考えられるが――

「……というわけで、お互い初めてはもう少し大事に……ね?」

 気まずい空気の中、二人は視線を逸らしあった

「……ああ、そうだな」

 ……コンドームどうしよう

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