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♯:入学式1



2013年、4月6日。


今日は岡野第一高校の入学式。

新品の制服に身を包む私は誰一人知り合いがいない中で緊張してる。



岡野第一高校は県内1の進学校で、東都医大進学率92%を誇る。


私、小川楓は医者になりたくてこの高校に入った。



ここに集まるのは、ずば抜けて頭がいい人だけらしい。


私はそんな才能無いから、がむしゃらに勉強した。

お父さんのような医者になりたくて。



緊張して体が動けない中、1年A組の教室に先生らしき人が入ってきた。


進学率No.1の学校の先生はどこか緊張感で張り詰めた空気をまとっている。


「えー、では、これから入学式に入ります。

1年A組の皆さんは早速入場です。……」



しっかり説明を聞いてても、この学校に入れた嬉しさは未だ薄れない。






先生に並ぶように促されると

入学式の独特な雰囲気を醸し出しながら並び始めた。


出席番号は名字が小川のせいか前から5番目。


並んで行く間は視聴覚室、技術室、200台のパソコンが置いてある情報室を通る。



前まで通ってた中学校と違って小綺麗だ。



こういう場所で、三年間を過ごすと思うとワクワクが止まらない。



目に飛び込んで来るのは全てが新しく、1つ1つをしっかり見てはそこに居る自分を想像、の繰り返し。



全面ガラス貼りの渡り廊下から見えるのは最近新しく建てられた体育館だ。



「でっかー。そう思わない?」


後ろから小声で聞こえた女子の声。

後ろをチラッと見ると、目が合ってしまった。


ツインテールの一目で可愛いとしか言い様のない容姿。


私とは随分違う…とほんの0.数秒で考えると慌てて目をそらした。




「なんで反らすの?アタシ、あなたに話し掛けたんだけど。」


口調からして、ちょっとわがままな人かな?と思ってしまった。





「うん…。そうだね。」


例えると何だろう。


地味な生徒と可愛いギャル?


コップとグラス?


心臓とハート?


カエルとヘビ?



ここまで可愛い人を見たのは初めてて見とれていると、



「アンタって口下手なのね。」


すました顔も可愛いと思った。


あ、誤解はしないで!

私はレズとかじゃなくて、純粋に可愛いと思っただけです。



「アタシの名前は…」


可愛い彼女が名前を言おうとしたとき、後ろにいた先生が軽く睨んできた。


まずい。


苦々しい顔しながら前に顔を向けた。



気づけば目の前は大きな花のアーチが掛かっている。

豪華な飾り付けには周りも微かな声をあげるくらい。



ああ…緊張する………。

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