9話 カラフルな食卓
いい匂い。
今日は珍しく家族そろっての夕飯。
私とホーも一緒にご飯。
今日のメニューは、ママの焼いたトンテキに付け合わせのスパゲティ、そしてポテトサラダにコンソメスープ。
モエナだけ、ポテトサラダの代わりにレタス乗ってるみたい。
マヨネーズ嫌いなんだって。
ホントに変な子。
パパさんも早くに帰って来て、オカズ食べながらビール飲んでる。
やっぱこのビールの匂いがホーは嫌いみたい。
リビングの隅っこに引っ込んじゃった。
「今日さ……」
パパさんが口を開く。
でも誰もその声にこたえない。
で、勝手にパパさん話し出す。
まあ、これもいつもの事。
パパさんも慣れっこかな。
「犬をさ、しばらく預かってくれって言われてさ」
なに……。
犬を預かるって……よその子が家に来るって事……。
ママもピクリと顔を上げてパパさんを睨むように見てるし。
よその犬預かるって、人間より私たちの方がオオゴトじゃん。
どーすんのよ、仲良くできないくらい性格の悪い犬だったら。
「人の家の犬なんて預かって、何かあったらどうするのよ」
ママは捲し立てるように言うとご飯を口に放り込んだ。
「仕方ないんだよ。海外研修で十日程アメリカ行っちゃうんだからさ」
パパさんは残ったビールを飲み干した。
「だからって何故うちで預からなきゃいけないのよ」
ママは怒ってる。
そうだよ。
もっと言ってやってよ。
私もいやよ。
「仕方ないだろ。俺の部下なんだから」
「意味わかんない……」
「とにかく、週末から預かるから」
「知らないわよ。面倒見てよね……」
ママはパパさんを睨んだまま口調も強い。
相当怒ってる。
「いいじゃないか。うちにはすでに二匹も居るんだし」
パパは私の顔を見て同意を求めてるし。
やだよ。
私は。
変なヤツだったら虐めるからね。
私はリビングのホーの隣へ急いだ。
「何……よその犬が来るの……」
ホーにも聞こえてたらしい。
「そうよ。パパさんの会社の人の犬だって。十日も預かるらしいわよ」
私はホーの横に寝そべった。
「変な奴だったら二人で虐めようよ。追い出してやるわよ」
「もう、何でも勝手に決めるんだから」
ママは自分の食器をカチャカチャと音を立ててシンクに運んでいる。
これは相当怒ってるな……。
「十日だけだよ。そんなに怒らなくてもいいだろ……」
パパさんの声も少し大きくなってる。
三人の子供は何にも言わない。
自分には関係ないって感じなのかな……。
それぞれに食べ終わると食器をシンクに運ぶ。
ケンサクは相変わらず食べるのが遅い。
「お前、いつまで食ってんだよ」
パパさんはあからさまにケンサクに八つ当たり。
ケンサクは、
「僕、ゆっくり食べないとお腹壊すから……」
と、マイペース。
私から見てもまったくかみ合っていない家族。
普通の家族は食事の後、リビングで団欒なんかありそうだけど、ワカナとモエナはさっさと自分の部屋に入っちゃった。
ママは自分のお茶もってソファに座る。
パパさんは残ったオカズでご飯食べてる。
ケンサクもやっと食べ終えて、食器を片付けてリビングのテレビの前へ。
「ママ、ゲームしていいかな」
ママは小さく頷いた。
ケンサクのゲームは大音量で始まった。
私はその光景を見てた。
どーなってるのよ。
この家は……。
バラバラじゃん。
パパさんも自分の食事終わると食器をシンクに運んで、二階に上がって行った。
私はママの顔をちらっと見た。
ケンサクのやっているゲームの画面を険しい顔で見てた。
パパさんも失敗ね。
世話するのママだし、そりゃ怒るわよ。
でも本当に困るのは私とホーなんだけど。
私とホーの意見も聞いて欲しいわよ。
まったく……。




