5話 カラフルな朝
今日も朝からオカモト家はごった返す。
朝一番早く起きて来るのはワカナ。
私たちはノンレム睡眠だからすぐ起きちゃう。
ワカナはちゃんと着替えて自分の部屋を出て来る。
ちゃんとした子だね。
冷たい水で顔を洗って、私とホーを撫でながら朝の挨拶。
最近は朝の洗顔にも時間かけてる。
お小遣いで買ったにきび予防の洗顔で丁寧に数分かけて顔洗ってる。
だんだん後ろ姿がママに似てきた。
ワカナはちゃんと女らしい体になってきてる。
これでモエナくらい人づきあいが良ければ男子からも人気がでるんだろうけどね。
まあ、時間の問題かな。
私とホーは、リビングとダイニングの境でじっとしてる。
するとワカナは私たちに朝一番のクッキーをくれる。
「おはよー」
ワカナはそう言うと冷蔵を開けて、妹のモエナと二人分のお弁当を作りだす。
本来はママが作ってたんだけど、ママに、
「もう自分のお弁当くらいつくってみたら……」
って言われて、毎日早起きしてお弁当を作ってる。
何度か弁当箱覗いたけど、結構さまになってるよ。
モエナも何度か作ってたけど、やっぱダメ。
ワカナの作ったお弁当の方が美味しそう。
だんだん手際良くなってきて、二人分のお弁当をワカナは十分くらいで作っちゃう。
そのお弁当のあまりモノのオカズで朝ご飯の準備もしてるし。
今日はワカナが落しちゃった卵焼きもらった。
すごく美味しいのよ。
ホーはまだワカナの足元うろちょろしてるし。
もう何にも落ちてないってば……。
そうこうしてるとママが起きて来る。
ママはワカナと違って、Tシャツとハーフパンツで部屋から出て来た。
もちろんノーブラ。
ワカナやモエナと違ってオッパイ目立つのにさ。
恥ずかしくないのかな。
このままゴミ捨てとか行っちゃうからなー。
私とホーはママが起きてきたら、リビングへ戻る。
色々と食べ物もらってると怒られちゃうから。
ママって本当に怖いんだから。
次に起きて来るのはケンサク。
完全に寝ボケた顔で起きて来る。
ケンサクが階段を下りるとドスドスと音がする。
朝からドスドス。
もっと軽やかに階段下りれないのかしら。
朝なんだから……。
ケンサクは朝起きると、顔を洗う前に冷蔵庫を開けて牛乳を飲む。
腰に手を当ててグラスの牛乳を一気飲み。
ガキのくせに何故かさまになってるし。
でもお腹が弱いの。
牛乳飲んでしばらくすると朝ご飯食べてる途中でもトイレ行く。
私たちでも食事中にウンチはしないのにね。
玄関から新聞取って来るのはこのケンサクの仕事。
新聞取ってパパさんの席に置く。
そして自分の席に付くと、ママがケンサクの朝ご飯を出してくれる。
モエナと違ってワカナとケンサクは何でも食べる。
ケンサクの朝ご飯はその日のママの気分で出て来る。
パンだったり、ご飯だったり、シリアルだったり。
ケンサクは文句言わずにそれを半分寝た状態で食べてる。
次がパパさんとモエナ。
二人で毎日競うように二階から下りて来る。
二人とも髪の毛ボサボサ。
それがよく似てる。
ホーと二人でそれ見てよく笑うの。
みんな、「おはよう」の声が小さいのよね。
低血圧なのかな。
モエナが私とホーのトイレの掃除をしてくれる。
私たちのウンチも結構臭いから。
これも手際よくなってきた。
新聞ごとクルクルって丸めて、ビニール袋に入れて、ゴミ箱にポイっと……。
パパさんは新聞広げて、トーストかじる。
パパさんが食事始めると、ワカナは学校へ行っちゃう。
朝から大変だね。中学生なのに。
モエナは極端で朝ごはん食べれない事もあるみたい。
パパさんもトーストかじり終えるとすぐに顔洗って、歯を磨く。
「行って来る。今日は残業ないから」
って感じでネクタイ絞めながら出て行く。
モエナもそれに続く。
中学生になってから髪とかして行くようになったけど、それまでは寝癖の付いた頭のままよく出掛けようとしてママが怒鳴ってた。
ボーイフレンドも出来てその辺も気になるようになったかな。
あれ……。
モエナ、顔洗ってたっけ……。
いつまでもダラダラとご飯食べてるのはケンサク。
毎日ママが、
「いつまで食べてるのよ」
って言ってる。
「だって僕、お腹弱いから、よく噛まないと」
これもいつものケンサクの返事。
そこからトイレに入る事もあって、朝はトイレが混むからってよくおねえちゃん達に、
「ケンは二階のトイレ行って」
って言われてる。
今日はもうママしかいないから、ケンサクもゆっくりとトイレに入ってるみたい。
その間にママは洗面でコンタクトを入れてる。
今日はコンタクト入りにくいとか、たまに叫んでる。
ママの眼鏡姿もいいと思うんだけどな。
トイレから出て来たケンサクと入れ替わりでママがトイレ。
以前はママ、トイレのドア開けっぱなしで入ってたのに、最近はちゃんとドア閉めて、カギまで閉める事も。
なんかあったのかな……。
ケンサクは顔を洗って歯を磨く。
小学生のスポーツ刈り頭なのに、ちゃんと髪の毛にもブラシ入れて。
変わんないよーケンサク。
そこからケンサクは一度自分の部屋に戻って着替える。
そのまま寝ちゃう事があったりもする。
その時のママの怒りっぷりは世にも恐ろしい。
ケンサクは半べそかきながら慌ててるもんね。
今日はちゃんと起きてた。
ランドセルカチャカチャ鳴らしながら階段をドスドス下りて来ると、
「あーあ。まだ時間あるし……」
と言ってリビングのソファに横になる。
「少し早くてもいいでしょ……」
ママはテーブルの食器を片づけながらケンサクに言う。
私もそう思うな。
早く行けばいいのに。
そうやって今朝のオカモト家の時間は過ぎていった。
ケンサクは結局慌ただしく出て行って、ママはいつもの様に玄関のカギを閉める。
「なんかやっと終わった感じ……」
今日はママはソファに座り込んでた。
お疲れなのかな……。
ママは週に何度か仕事に出掛けてる。
何の仕事してるかとか知らないけど、たまに私とホーのおやつなんかも買って帰って来る。
ママのお仕事の日は、帰って来るのが楽しみだったりするの。
今日はそのお仕事の日みたい。
いつもパソコンの前に座って飲む薄いコーヒーの準備しなかった。
それでもパソコンの前に座ってる。
ママの朝から大変だね。




