28話 パパさんのカラフルな浮気相手
いつものように一気にお風呂リレーが始まって、お風呂上がりのニオイが部屋中に充満した。
いつもと違うのはみんなが部屋に行かずにリビングにいる事。
だから更にお風呂上がりのニオイがするのね。
パパさんが頭拭きながらリビングにやってきた。
するとママが最後にお風呂に行く。
アンカーは大抵がママ。
パパさんが遅い日はパパさんだけど。
シャアもやっとケージの端に置いた自分のクッションの上に丸くなってる。
少しお水を飲んで、ご飯ももらってるけど、手をつけてない。
そのご飯を狙ってか、ホーがその辺りをうろちょろしてる。
こらこら、ホー。
それは取っちゃ駄目よ。
私は少し離れたところからホーに言う。
でもほら、美味しそうなニオイしてるでしょ……。
ホーはとうとうケージの隙間から前脚を入れてそのご飯を引き寄せようとし始める。
それを見たパパさんがホーのお尻をペシンって叩く。
「ホー。これはシャアのご飯」
パパさんが少し眉間にしわを寄せて言う。
それでホーもあきらめたみたい。
「ほら、今日はそっとしててあげなさい」
パパさんはそう言って、シャアのバッグから小さなブランケットを出して、シャアに掛けてあげた。
パパさん優しいね……。
私たちそんな事してもらった事ないわよ……。
あったとしてもかなり昔ね……。
パパさんがそう言うと子供たちは自分の部屋のある二階へ上がって行った。
ワカナは今からお勉強ね。
モエナはマンガでも読むのかな……。
ケンサクはゲームでもするんでしょ……。
パパさんは冷蔵庫からビールを出してきてリビングで開けた。
くさい……。
ホーはやっぱり嫌いなビールのニオイに部屋の隅まで移動した。
するとシャアも自分のブランケットの中で方向を変えた。
あれ……シャアも苦手なのかな……。
私はシャアの傍まで行く。
アンタも嫌いなの。
ビールのニオイ。
私はブランケットの中のシャアに聞いた。
うん。
このニオイはあんまり好きじゃないんだ。
シンちゃん、うちに来た時もこのニオイさせるから、ホントは来てほしくないんだけど……。
シンちゃん……。
シンちゃんって誰だっけ……。
あ、パパさんか……。
オカモトシンイチだっけかな……。
シンちゃんって呼ばれてるんだ。
単なる部下にシンちゃんなんて呼ばせないわよね……。
アンタのご主人とうちのパパさんってどんな関係なの。
私はブランケットにもぐったままのシャアに聞いてみた。
うーん。
よくわかんないけど、シンちゃんがうちに来たら、リツコと二人でベッドの上にいる事が多いかな。
シャアはぼそぼそとそう言う。
ベッドの上って……。
それって確定じゃん……。
はぁ……パパさんも好きね……。
ママさんが相手してくれないんじゃ仕方ないか……。
パパさん浮気してるの……。
ホーも遠くから聞いてきた。
そうみたいよ……。
このシャアのご主人さんとね。
パパさんも浮気相手の犬、家に連れてくるかな……。
男ってツメが甘いのよ……。
ママだってそれくらい気付くわよ。
パパさんはビールを飲み終わると、ゲップをする。
これがまたホーは大嫌い。
シャアも嫌いみたい。
そしてお風呂のママに外から声をかけて自分の部屋に上がって行った。
ママがお風呂から出ると髪を乾かして、リビングの明かりを消し、自分の部屋へ。
オカモト家の一日はこれで終了。
私たちも寝ることにするわ。




