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26話 カラフルな赤い彗星





ケンサクがケージを組み立て終わると、


「パパ、出来たよ」


と声をかける。


ママはその間、ずっと腕組みをしてそのケンサクをじっと見てたわ。


なんか怖いし……。

もしかすると私たちが虐める前にママが虐めるんじゃないかしら……。


ねぇねぇ。このニオイはオスよね……。


ホーが私に近づいてきて小さな声で言う。


そうね……。


私はホーを尻目にじっとパパさんの抱えるケージを睨みつける。


どんな奴が現れるんだろう……。


そればかりが気になって仕方なかった。


ホーはパパさんが床に置いたその訪問者のバッグに近づいて鼻をクンクンさせてた。


ねぇ、ちょっと来てみて。


ホーが私を呼ぶ。


なになに……。


私もゆっくりと歩いてホーの傍まで行く。


匂ってみて……。


ホーにそう言われて、そのバッグのニオイを嗅いだ。


女のニオイがするわ……。


でしょ……。

パパさんの女かな……。


ホーはそのバッグのニオイを必死に嗅いでた。


やっぱり、だたの部下の犬を預かるって不自然だもんね……。


なんかあるわね……。

っていうか、パパさんも大胆よね。

自分の彼女の犬、ママに面倒見させる気なのね。

男って馬鹿ね。

そんなところから浮気ばれるのよ。


パパさんが手に持ったケージをケンサクが組み立てたケージの中に入れた。


いよいよね……。

なんかドキドキしてきたわ。


パパさんがケージの蓋をあける。


どんな子出てくるのよ……。


私とホーはケンサクが組み立てたケージの前までゆっくりと移動。


どんな子かな……。


ホーはケージに向かって鼻をクンクンさせてる。


パパさんがケージを傾けると、ゆっくりと小さくなった赤茶色の子が出てきた……。


ケンサクもワカナもモエナもじっとそのケージを見てた。

ママだけが、ダイニングで腕を組んで遠巻きに見てる。


全身小さくして震えながらそのダックスフントは出てきた。


「かわいい」


モエナが手を伸ばそうとする。


その手をパパさんが叩いて、触らないように注意する。


知らない場所に連れて来られた時ってデリケートなのよね……。


かわいいだって……。

私たちの方がかわいいわよね。


横でホーがちょっと拗ねてるし……。


「パパ。この子名前は……」


ワカナが聞く。


そうよ……。

名前聞いてないわよね……。


私は身を乗り出してケージの中に鼻先を突っ込んだ。


「あー、シャアって言うらしい」


シャアって……変な名前。


「赤い彗星の……」


モエナがそのシャアの顎を撫でながら言う。


何よ……。

赤い彗星って……。


そこで初めてママがケージの近くにやって来る。


「ケン。お水入れてあげて」


ママはケンサクに言う。


「あーお皿がバッグに入ってるらしいから」


パパさんは床に置いたバッグを指差した。


「はーい」


ケンサクはバッグからお皿を出してお水を入れにキッチンへ。


シャアはまだ震えてるし……。

どんだけ怖いのよ。

意気地無しね。


ホーは呆れ顔で笑ってた。


あら、あなたもそうだったわよ。

このうちに初めて来た日。


そうだったっけ……。


そうよ……。


オカモト家はそのシャアを囲んで微笑んでた。


この雰囲気は嫌いじゃないわ……私も……。


久しぶりにみんなでホンワカしてた。








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