21話 カラフルな行動分析
パパさんが出て行ったのはお昼前。
いつものように着替えて出て行ったけど、やっぱ顔色悪い。
ママはソファに座ってテレビを見たまま、パパさんが出て行く音を聞いてた。
そして、パパさんが玄関のドアを閉めると同時に、パソコンの電源を入れてた。
さっきの続きかな……。
どうやら彼氏に連絡するのかもしれないわね。
私はリビングの窓際から動かずに目だけでママを追ってた。
わたしのところからも少しパソコンの画面が見えるわ。
どうやら地図を開いてるみたい。
ママはケータイで彼氏に電話で話すのね……。
そりゃそうね……。
誰もいないし。
良かった。
私たちも続きが聞けるわ……。
ママの見てないテレビの音とキーボードのカチャカチャって音の合間にママのため息が聞こえる。
「もしもし」
ママは彼氏に電話したみたい。
「うん、うん、今出て行った。ねぇ……さっきの話だけど、変だと思わない。怪しいわよね……」
ママはニコニコ笑いながらそんな話を電話でしている。
やっぱり怪しいわよね。
私もそう思うわ。
「ダンナを見つけた場所もさ……。ホントに民家の間なのよね。どう考えてもそんなところ普通行かないのよね」
多分ママが今朝パパさんを迎えに行った場所なんだと思うけど、その場所を地図上で指さしながら彼氏に説明してる。
ねぇねぇ……。
これはやっぱりパパさんの浮気相手の家の近くなのかな……。
ホーは私の横に来て同じようにママの触るパソコンの画面を見た。
そう断定はできないけど、限りなくクロに近いわね……。
え……。
クロってあの池田さんちのクロの事。
ホーは訳のわからない事を言っている。
確かに池田さんちの庭に真っ黒の犬で「クロ」っての居るけど、その犬の事じゃない。
限りなく怪しいってこと。
ああ……そう言う事ね。
本当にわかってるのかしら……ホーってやっぱり少しおバカさんなのよね。
「駅からその辺りまで歩くって、どのくらいかかるかな……」
ママは座った椅子をクルクル回してる。
目が回るわよ……。
私は少しママから視線を逸らした。
「一時間じゃ少し厳しいわよね……。私が最初電話した時国道を歩いてるって言ってたから、その場所から見つけた場所までいけないわよね……」
なんかママ、テレビドラマの主人公みたいよ。
少しカッコいいし。
「怪しいわよね……絶対」
少しうれしそうなのは何故だろう……。
パパさん。
ヤバくない……。
不自然だと浮気ばれちゃうわよね……。
ホーは私に身体を擦りつけながら言う。
もう、パーソナルスペース守ってよ。
ホーったら。
私は少しホーから離れた。
そりゃ、これだけ怪しけりゃね……。
でも逆に考えるとさ、ママにかまってもらいたいから、少し怪しい素振りを見せてるって事も考えられるわね……。
なるほど……。
パパさんも頭使ってるのね。
あくまで仮説よ仮説。
仮説なんて言葉一生使う事ないと思ってたわ……。
「場所覚えておくわ。何かの時に役に立つかもしれないし」
ママはそう言って笑った。
あ、そう言えば余所の犬が来るのって今日だっけ、明日だっけ。
ホーが突然声を上げた。
週末って言ってたから、今日か明日になるわよね……。
パパさんが今日の帰りに連れて帰って来なかったら、明日ね。
その犬がもしかすると、パパさんの事知ってるかもしれないわね……。
えー。
パパさんの彼女の犬って事。
可能性はあるでしょ……。
っていうか、彼女の犬じゃなきゃ預からないんじゃないかな……。
どんな子が来るんだろう……。
ホーは少し落ち着きなく歩き回ってる。
大丈夫よ。私とあなたならそんな犬の一匹や二匹何とでもなるわよ。
生意気な犬だったら虐めてやるんだから……。
ママの電話はまだ続いていた。
金田一だかコナンだかしらないけど、色々とママの推理も面白いわね……。
ママの話を要約すると、やっぱりパパさんを迎えに行った場所の近くに彼女なのか何なのかわからないけど、女がいて、その女と喧嘩したか何かで夜中に外に放り出された。
それで仕方なく、パパさんは歩いて帰ろうとして、お酒も飲んでたのでそれを断念。
ママに迎えに来てという事になった……。
って事らしい。
仮説よ、あくまで仮説……。
パパさんに聞けばいいのにね……。
ホーはそう言うと窓際で丸くなってた。




