17話 モエナのカラフルな嘘
どんどんモエナの足音が近づいてくるわ……。
大丈夫かな……。
ケンサクに何にももらえないってわかったホーが戻ってきた。
モエナ帰ってきたね。
そう言うと小さく吠えた。
帰って来たけど……。
いいのかな……。
私も小さく吠えた。
ママの視線が私たちに刺さってる。
どうしよう。
ばれちゃったかな。
私はかなり動揺してた。
ホーはどのタイミングで玄関まで行こうか悩んでるみたい。
やめておいた方がいいわよ……。
ママはじっと私の方を見て、どうやら気付いたみたい。
「帰って来たのね……」
そうつぶやくと、ソファに深く座り直してたわ。
やっぱり怖いわ……ママ。
ガチャってカギを回す音がした。
あーあ。
モエナ……。
大丈夫かな……。
「ただいまー」
いつも通りにモエナは帰ってきた。
「お姉ちゃんお帰り」
ケンサクがオレンジジュースを飲みながらモエナに言う。
「ただいま。私のお菓子も残しておいてよ」
そう言うとリビングのママに、
「ママ、ただいま」
と声をかけて、階段を上ろうと脚をかけた。
「待ちなさい」
その静かなるオカモト家のドンの響く声……。
正直私は鳥肌が立ったわよ。
犬だけど……。
モエナもそのママの怒りに気付いたのね。
ちょっと声が震えてたわ。
「何……」
モエナは鞄を階段に置いて、ママの方を見てた。
「何じゃないでしょ。あなたどこにいたの」
ママはモエナに淡々と言う。
これがものすごく怖いのよね……。
「どこって学校にきまってるじゃない」
「学校の先生から電話あったわよ。早退したのですが体調はいかがですかってね」
モエナ……。
顔色悪いわよね。
ホーがモエナを見たままいう。
「早退しようかなって言ったけど、そのまま学校に残ったのよ」
モエナは少し口調を強くした。
あれって嘘よね。
ボーイフレンドのところに行ったわよね。
ホーがいちいちうるさい。
うるさいわね。
わかってるからちょっと黙ってて。
私はホーにいうとホーは少し拗ねてた。
「ホントなのね。先生に確認するけどいいのね」
ママも一歩も引かないわね。
モエナも必死だし……。
けどまた嘘付いたわね……。
もう、この家の中、嘘でいっぱい。
「良いわよ。確認の電話でもなんでもしてよ」
そう叫ぶように言うとモエナはケンサクみたいにドスドス音を立てて階段を上がって行っちゃった。
こんなのでいいのかな……。
ホーが私の横に来た。
良いんじゃないのかな。
とりあえず治まれば。
私はその場に寝そべった。
一つ嘘付いたら、その嘘を守るためにまた嘘つかなきゃいけないのよね。
そんなことしてると、いつか全部嘘になっちゃうわよ。
良い子に育ってほしいな……。
モエナ。
ホーがぼそっと言って私の横に同じように寝そべった。
もう、ホー。
パーソナルスペース守ってよね。




