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15話 ママのカラフルなお買い物





モエナが出て行ってからどれくらい経ったかな。

もう外がオレンジ色になってるわ。


私はホーを起こして、窓際に来た。


「ママ、そろそろ帰って来るわね」


なんとなくママの車の音が聞こえた。


「そうね。もうご飯作らなきゃだしね」


ホーはすでに尻尾を振ってる。


「モエナ。帰ってこないわね……」


私は少し背伸びしてママの車を待った。


「そうよね……。大丈夫なのかな、モエナ」


「知らないわよ。私たちじゃどうしようもないしね」


やっぱりママの車の音だったみたい。

ママの車がガレージに入ってきた。


私とホーは滑るフローリングを蹴りながら玄関へお迎えに行く。


「ママ、機嫌良くなったかな」


「どうかしら。でも車の音からしてそんなに怒ってる感じじゃないわね」


私くらいになるとママの車の音でその日のママの機嫌もわかるの。


玄関のカギを開ける音がして、ママが入ってきた。


私とホーはママにお帰りの挨拶アピールをする。


これはお決まりなのよね。


「はいはい。ただいま」


ママはそう言いながら荷物を抱えてスリッパをはいた。


いつもより一生懸命アピールしてると、


「うるさいわね。静かにしないとオヤツあげないよ」


ってママ。


その一言で私とホーは吠えるのをやめる。


オヤツ欲しいしね……。


そうね。

ここは言う事聞いてる方が無難ね。


私とホーはママの部屋の外で尻尾を振りながら中を見る。


基本ママのお部屋には私たちは立ち入り禁止なのよね。


「なんかママうれしそうね。鼻歌歌ってるわ」


「そうね……。いい事あったのかな」


ホーは身を乗り出すようにしてママを見てた。


「入っちゃ駄目よ」


そのホーの気配を感じたのか、ママのちょっと怖い声が。


「怒られちゃった……」


ホーは少し後ずさり。


「馬鹿ね……。そんな乗り出さなくても見えるじゃない」


私はホーに軽く身体をぶつけた。


ママは袋から買ってきたモノを取り出してた。


「ん……。なにかな……」


「あれ……下着ね」


食べモノじゃない時点で私たちは興味ゼロ。


「行きましょ。向こうで待ってましょ」


私はホーにそう言って先にリビングへ向かった。


ホーもその後を滑るフローリングを気にしながら付いてきた。


「なんかさ、下着も今までのママの趣味と違うわね」


ホーは窓際で丸くなりながらつぶやく。


「そうね……。やっぱり彼氏できるとその辺も気を使うんじゃないかな」


私はホーから少し離れたところに座った。


下着から浮気がバレるって言うのに。

ママったら大丈夫なのかしら……。

まあ、パパさんに見せるわけじゃないしね。


リビングの電話が鳴った。


この音あんまり好きじゃないのよね。

耳が痛いわ。


ママが買ったばかりの白いパンツもったままリビングにやってきた。


「はい。オカモトです」


電話に出るママの声はすごく作った声なのよね。

一オクターブ高くなるの。


そして、あー……なによ……。

って瞬間的に二オクターブくらい下がるのよね。

あれ……今日は下がらないわね。


「はい。はい。ええ……。いえ……帰ってないようですけど……。はい」


あれ……これは、もしかして。

モエナの先生ね。

前にも風邪でモエナがダウンした時にこんな感じで電話かかってきてたわ。


ホーも耳をぴくぴくさせながら、ママの電話を聞いてた。


「わかりました。はい。すみません。はい。失礼します」


ママはそう言うと電話を切った。

そして階段の下から二階に声をかけてた。


「モエナー。いるの」


「いないわよね」


「そうね……これは大変な事になりそうな感じね……」


私とホーはそのママをじっと目で追った。


ママはそのままドシドシ音を立てて二階に上がって行った。


あーあ。

モエナ。

今日はヤバいわね。

ママ、お怒りモードに入っちゃったわ。


すぐにママはパンツ握りしめたまま階段を下りてきた。


これは私たちのオヤツどころじゃなさそうね……。








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