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12話 険悪な朝のカラフルな食卓





ワカナが起きて来た。


今日もちゃんと着替えて、身だしなみもちゃんとしてる。

すごい中学生ね。


ワカナは起きて来るとすぐに顔を洗って、お弁当を作り始める。

モエナの分と二つ。

お弁当箱を二つ並べて、ママがタイマーでセットした炊きたてのご飯を詰めてる。


卵をボールに溶いて卵焼きを作る。


これが良い匂いなのよね。

たまにもらっちゃうけど、甘くておいしいのよ。


今日はママが起きて来た。

昨日パパさんのお誘いがあったからちょっと機嫌悪いのかもしれないな。


「おはよ」


ママはワカナに声をかけて、顔を洗ってた。


「おはよ」


ワカナはニコッと笑ってウインナーを焼き始める。


あー美味しそう。


ママは新しいタオルで顔を拭きながら、濡れた前髪を気にしてた。


「手伝おうか」


ママは冷蔵庫を開けていう。


「ううん。大丈夫よ」


ワカナはレタスをちぎり弁当箱に詰める。


「そう。じゃあ私は朝ご飯の準備でもするわ……」


ママはトーストをトースターに放り込んだ。


「おはよ」


今度はモエナが下りて来た。


今日はみんなどうしちゃったのかしらね……。

早いわね……。


「珍しいわね……。今日は雪かしら……」


ホーが私の隣に来て笑ってる。


まだ秋になったばかりだから、雪が降るはずはないんだけどね。


「私、雪好きよ」


ホーは嬉しそうに窓から外を見てた。


「まだ雪は降らないわよ」


私はホーの傍まで行って教えてあげた。


「わかってるわよ。もっと朝起きた時に尻尾までピーンって寒くならないと雪は降らないわ」


今度はパパさんの足音がした。


「パパさん下りて来たわね……。しばらく険悪ムードよ」


ホーは階段を振り返ってニヤリって笑ってた。


そりゃそうよね。

自分の奥さんに夜の生活断られるんだもん。


「そうね。でも仕方ないんじゃないかな……。パパさんも自分の撒いた種が原因だもの……」


「安い香水の女の事……」


「それだけじゃないのよ……私たちにはわからない色んな事があるんじゃないかな……」


私はテクテクとパパさんの足元へ歩み寄る。


たまにはパパさんのご機嫌も取っておかないとね。

そろそろシャンプーしてもらいたいしね。


「おはよ」


パパさんが声をかけるとワカナとモエナが小さな声で返事した。


ママはやっぱり返事しない。

黙ってパパさんの前にトーストを出した。


おー険悪ね。


前回こんな感じになっちゃった時に、ワカナとモエナ、ケンサクの三人がリビングで話してたの聞いちゃったんだけど。






離婚……


「パパとママが離婚したらどっちに付いて行く……」


ワカナは本を読みながらさり気なく二人に聞いてた。


「え……パパとママ、離婚するの……」


ケンサクは手に持ったゲームのコントローラーを放り出して、ワカナに飛び付くように聞いてた。


「もしもの話ね……」


「なんだ、もしもか……」


そう言うとケンサクはまたゲームに夢中になる。


「私はこの家に住む方かな……。引っ越すの嫌だし」


モエナは携帯でメールしながらクールに言ってた。


そうよね……。

私もホーも引っ越すのは嫌かな……。

って私たちの話じゃないもんね。


「パパに付いていった方が経済的にはいいのかな……」


ケンサクはテレビの画面を見たまま、そう言ってた。


ガキンチョが経済的だなんて……わらっちゃうわね。


「馬鹿ね。パパはお金持っててもお小遣いくれるかどうかわかんないじゃん」


モエナは身を乗り出して言う。


子供たちも色々と考えてるのね。

感心感心。


「ママは再婚するかのしれないよ。パパはわかんないけど」


「えー。ママ再婚したら新しいパパ出来るの」


ケンサクは顔を歪めて嫌そうに言う。


「そうよ。新しいパパ、興味ない……」


ワカナは本を閉じて、テーブルに置く。


「それ良いね。なんかカッコイイパパなら最高かも、玉木宏みたいな」


モエナは目を輝かせる。


ったく。

どーなってるのかな。

最近のガキンチョどもは……。


私とホーはその話を呆れて聞いてた。






朝から静かな食卓。


一番遅くに起きて来たケンサクは半分目を閉じながら、トーストにかじりつく。


「ヨーグルトも食べなさい」


ママはケンサクの前にフルーツの入ったヨーグルトを出す。


「僕、お腹弱いから……」


ケンサクはそう言うとその皿をママの方へ押し戻す。


私が食べてあげるのに……。

フルーツって美味しいんだから。


「今日は飲み会で遅くなるから……」


パパさんは手に付いたトーストの粉を払いながら言う。


ママさんは返事をしない。


関係無いのね。

パパさんの帰りが早かろうが遅かろうが。


そうやってみんな各々出て行った。


ママはいつもの様に薄いコーヒー入れて、パソコンの前に座った。


「もう……気持ち悪い」


昨日の事を思い出したのか、ママは自分の身体を縮めて震えてた。


わかるわ。

私も嫌いな相手となんてゾッとするもん……。


彼氏に報告してるのか。

いつもより激しくキーボードをカチャカチャやってた。


あらあら、ママ、かなりお怒りね……。

でもどうして人間って嫌いになっても一緒に住めるのかな。

私たちはペットだから仕方ないけど、嫌いなら寄りつかないしね……。

人間は不便ね……。


あ、モエナがパパさんのお財布からお金抜いたの、バレてないわね……。








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