10話 パパさんのカラフルな夜
食事が終わって、みんながお風呂に。
この家の凄いところはお風呂にリレー形式で入り、時間がまったくかからない事。
一番長いのはワカナ。
それでも二十分程度。
次がモエナで、十分くらい。
パパさんと、ケンサクは十分かからないし、ママでさえもそのくらい。
あっという間に全員のお風呂が終わる。
カラスの行水って言葉があるらしいけど、そんな感じかな。
ワカナとモエナがもうすぐ徐々に長くなるんだろうけどね。
ママが短いのがどうにも不思議なんだけどね。
お風呂を出るとみんな自分の部屋に入ってしまって、リビングのある一階は静かになる。
今日もママが一人でソファに座ってお茶飲んでた。
そこに二階からパパさんが下りて来た。
それだけでママは嫌そうな顔してた。
私とホーはその光景を寝そべったままじっと見てた。
「なあ、今日……どうかな」
パパさんはママの横に座った。
「何よ……」
「良いじゃないか……長い事ご無沙汰なんだしさ……」
あー、パパさんがママさんを誘ってるんだ。
久々に見たよ。
「馬鹿じゃないの……。冗談じゃないわよ。触らないでよ」
ママはそう言うと立ち上がって、お茶の入ったグラスをシンクにおいて、さっさと部屋に入り、思いっきりドアを閉めてた。
そりゃそうよね……。
昼間彼氏とテレフォンセックスしてたし。
電話で彼氏に、もうパパさんとエッチするのは無理って言ってたのも聞いた事あるし。
男って呑気よね。
したい時にいつでも出来るって思ってるのかしら。
ありえないわよ。
そうしたけりゃ、ちゃんと手をぬかずにママのケアしなきゃって私は思うわよ。
パパさんがママさんとエッチ出来る事はもう無いのかもしれないわね。
かわいそうだけど……。
安い香水の女とやるしかないわね、パパさんは。
ママが部屋に入った後、パパさんは少し怒った様子で、自分の部屋に入っていった。
ママからしてみれば、危機をまぬがれたって感じかな。
明日彼氏に電話して、また慰めてもらうんだね。
良く出来た話ね。
パパさんはリビングの蛍光灯を消して二階に上がった。
それでこの家の一日は終了。
みんな早寝なんだよね。
ママは遅くまで自分の部屋で起きてる事多い。
パパさんもだね。
自分の部屋で小さな声で電話してたりする。
誰にも聞こえないかもしれないけど、私とホーには聞こえるのよね。
犬だから……。
相手は間違いなく女だわ。
考えてみればすごい家ね。
でもこれが現実なのよね……。
それよりもどんな犬が来るんだろう。
気になって眠れやしないわよ。
パパさんのバカ。




